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弱々でごめんなさい~現代ダンジョン物語  作者: 炉里 邪那胃(ろり じゃない)
第三章
171/175

ズレ

※昨日6/13 00:00に続き、今日最初の更新です。


■今回から、ある程度キリのいい長さで「原則一日一回更新」にします。

 執筆に時間を取られすぎでしたので、ご容赦ください。

「とりあえずは水面下での法案作成になりそうです。

 月~金曜の17時以降、都合がつけば手伝ってもらえますか。

 今日の件がうまく行けばの話ですが」


 井上議員から頼まれた。


 それはいいが元総理と話したい……。

 今日は無理のよう。





「もう終わったんです?」


 少しバックして入り口から離れていた生見さんの車に乗る。



 後で知ったが。

 10数分遅れになった総理会見では、特に何も無かった。


「クリーンエネルギー法案はそのまま」

 との事、ダンジョン関連の質問には答えなかったよう。


 波風を立てないよう気をつけつつ継続、みたいだ。

 一安心。







 帰ってきた。


 全員で、すっかり溜まり場になった僕の部屋でくつろぐ……。

 夕食の相談だ。




 電話、また井上議員から。


 この人、本当に忙しいのか?

 いや、こまめに連絡してくれてる、そういう役目だ。



 北村さんが自衛隊を辞めさせられたらしい。

 無断外出による懲戒免職……、でっちあげだ。


 本人は申し開きするのも馬鹿らしいと言っているそう。

 なにせ、陸上幕僚長の差し金。

 手続き等々、めんどくさいし時間がもったいないんだと。


 それより、無給でいいから“こっち”に参加したいそう。


 生見さんにすぐに言うが、『絶対大丈夫』らしい。

 自衛隊の探索者トップ、かつ日本の探索法案の最大功労者。

 そう伝えるそう。

 僕からもメールしておこう、通訳さんに。



 ついでに、探索者の育成について軽く話す。


 最初はゴブに勝てる程度までで止めておく。

 時期が落ち着いたら個々の探索へ。

 そう話すが。


『なんでそんな必要が?』

 要領を得ない井上議員。


 探索希望者の犯罪歴などきっちり調べる。

 武器はまずは国が管理、猟銃のような免許制は追々考える。

 そこは一致した。


 今長話ししても仕方ないので、またということで電話を切る。




 生見さんにも探索者育成について話す。


 一旦ゴブリンに勝てる程度で様子を見る話をするが。

 分からないでもない、でもわざわざそんな必要があるのかと言う。


 探索者の能力が『兵器のような力』であることは分かるはず。



 ユイと僕の2人と、それ以外の人間になにかズレが有る?


 最初は単に“時間を(さかのぼ)って来た”感覚の違いかと思ったが。

 確かにそう、だがもっと決定的な事実に気付いた。


 “経験の差” だ。


 僕達は未来の『討伐隊』にいた。

 だから、Bランク探索者クラスの力を目の前で見ている。


 だが今の人々は、魔物の『アフれ』さえ実際には見ていない。


 認識にズレが有るのはそういう事だろう。

 だから総理にも北村さんの能力を見せた。


 それに便乗し、逆に利用した僕も僕だけど。



 それに……。


 確かに、仲間内では北村さんの速さを。

 総理の前では僕らもスキルを見せた。


 だが、それだけだ。

 ビックリしたようだが、単に速いのと初めて見た魔法。

 実際に魔物との血まみれの戦闘など見ていない。


 例えば、国会で証人喚問されあの能力を見せたなら……。

 重箱の隅さえつつく、野党の攻撃があっただろう。


 しかし、見たのは総理1人。



 小心者っぽい(?)総理には安心できるよう言ったつもりだが。

 あの【会話】スキルにどの程度効果が……。


 いや、大事なのは言葉そのもの。

 スキルは小手先だ。


『命を捧げる覚悟』と、重い言葉を総理に言ったが。


 多くの探索者の育成がムリなら、どうせ全員死ぬ。

 ただそれだけの事……。


 すぐには無理でも、いずれ真意が伝わることを祈るだけだ。



 “認識のズレ”に戻そう。


 いつか、ある程度レベルの高い者が殺人等犯す事もあるだろう。

 そういう事が起これば、多くの人に危険性が認識されるのだろう。


『アフれ』はどうだろう。

 魔物の被害とともに、探索者は頼れる存在と思ってもらえるだろうか?


 だが一旦、探索者がいても当然という空気ができれば。

 それに馴染んでしまうのだろうか。


 昔読んだ『現代探索者』のラノベを思い出す。


 最初からそういう世界なら簡単だったんだろうな……。


 自分で意味がわからない。

 パラドックスに入り込んだような変な感覚だ。




「ヨウ、北村さんこっち来るって。

 一緒にレストラン行くから予約とかするね。

 時間たっぷりあるから、とりあえずおやつタイムで」


「きょうおやつあるのですね。

 よかったです」


 ヨッシーの日本語がますます冴え渡っている。

 おそるべし。

お読み頂きありがとうございます。

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