説得
※昨日6/11 05:00に続き、今日最初の更新です。
■次の更新は今日夜か明日になります。
おまたせしますm(__)m
電話を終えたあとも全員が落ち着かないようだった。
ユイだけはヨッシーへの説明で忙しかったが。
ヨッシーのメモを見るとかなりキレイな平仮名だった。
相当勉強してるよう。
この字は見本を見ながら相当練習したんだろうな……。
「そういえば、掲示板のチェックが途中だったですね」
「いや生見さん、もういいですよ。
あちこち調べても少なかったんでしょ?
全部調べなくても『まとめ』の方を見てれば大丈夫ですよ」
また電話だ、慌ただしいな。
あれ、井上議員?
忙しいんじゃ。
「はい、もし……」
『大変です!
総理が計画中止にするって言ってます!』
「えっ、一体何が?」
『自衛隊員の面会があったんですが、その後突然。
同席できなくて何があったやら』
「僕達、行ったほうがいいです?」
『助かります。
北村さんは元総理の手配でもう呼んでます。
5時過ぎには官邸に戻って定例インタビューなんで、それまでに。
真裏入り口で待ってます』
「わかりました!」
もうすぐ4時だが、ここから40分あれば着くはず。
渋滞なら走って行く……。
「生見さん、車出せます?
緊急……総理が心変わりしたって。
議事堂へ行きましょう」
ヨッシーには悪いが、留守番してもらうことにした。
「この辺どこにでも停めてれば分かりますんで。
いつもすみません、生見さん」
議事堂裏側の入り口。
北村さんはもう着いていた。
元総理と井上議員ともう一人、確か防衛大臣だ。
そりゃ急いで来るな。
「とりあえず手続きだけして中へ。
話は通してあります」
元総理だ。
多分いろんな準備はしてあるはず、この人なら。
僕も一張羅のスーツを着てきた。
ユイは地味なフォーマル(?)っぽい。
「委員会室を借りてますので。
長くて10分程度取れるとは思いますが。
初めましてですね、お二人は」
「あ、お会いできて光栄です!」
「はじめまして」
石田総理が現れた、SPらしき人も3人。
「悪いですね、忙しいところ」
「いえいえ、あなたの頼みなら断れませんから」
「この3人の身元は保証します。
機密事項ですので……」
元総理が顔を向けるとSP達は下がった。
ほど近い首相官邸までの、一応の警備なんだろう。
入ったのは会議場だ、委員会室って言ったか。
7人もいるし、机が多すぎて狭く感じる。
側面のイスだけの場所は少し広い。
そこに、総理から順に腰掛けた。
「北村君」
立場上か、言ったのは大臣だ。
「はい。
総理、隊員が来たそうですが、スライムの話ですか?
魔石の採取の危険性も?
もしかしたら、脅しのような文言も?」
「ああ、その通り。
脅しなどは受けていない。
危険な法案を通せば政権が危ないと言う程度で……」
「総理はご正直ですね」
なるほど、危険性が問題と思ったか。
それと、ある意味脅しのような……。
次は井上議員だ。
「彼らは魔石の利権を独占したいだけですよ。
統合幕僚長がもう内部調査で突きとめてますので。
ですよね、大臣」
「ああ、その通りだ。
その横やりの本質は陸上幕僚長以下の思惑だけだ。
自衛隊はあの法案作成とその後処理に全面協力させる」
「魔石はゴブリンという相手から取れます。
まずスライムで基礎を。
その上で多少訓練すれば安全に採取可能ですよ」
北村さんのアドバイスに総理は顎に手を当てる。
「うーん、なるほどそうなのか。
事情は飲み込めてきた」
「北村君、あれを」
井上議員に言われ、北村さんが後ろの通路へ。
それだけでも人間離れした速度だったが……。
通路を軽く走って往復する。
常人には信じられない速さだろうな。
「安全というのは、こういう能力のおかげです」
総理が口を開いた。
「もう少しだけ考えてみるか。
あのネット調査を覆せる唯一の道かもしれない」
そう、『石田政権を全く評価しない』70%超え。
昨日からネットを賑わせている大手サイトの調査だ。
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