銃刀法違反?
※今日6/04は00:30に続き2回目の更新です。
読み飛ばしなきようご注意ください。
「実は……。
これを見てください。
この【収納】は比較的普及するスキルです」
黒い穴が見えるよう、立ち上がり反対を向く。
取り出したのは両手細剣。
「おお! 凄い剣ですね!」
先に反応したのは議員。
未知のスキルには理解が追いつけなかったか。
「これは……官製のものですか?
菊の紋が付いていますね。
立派なものです」
北村さんも見ている。
「はい、極右の武器とかじゃないですよ。
先に言われちゃいましたが……。
国の『討伐隊』で支給されたものです。
北村さんが薦めてくださったものです」
「私が……そうなんですね。
まだ理解が追いつきませんが」
「本物です、抜いてみてください」
北村さんが少し抜くが、長すぎて全部は無理だ。
「ほぉー」
「議員、これ無登録です。
銃刀法違反ですよ」
ちょっと挑発してみる。
ユイが呆れている。
「自衛隊員は任務中は武器を携帯します。
制約はありますが。
あなた方もある意味、任務中なんですね」
大丈夫なの、と突っ込みたくなる。
必死で探索者のスキルとかしゃべってた人だからな。
僕のカキコ情報だけど。
まあ、本来なら僕達をハメていると疑うところ。
だが、膠着状態のままはやめておこう。
ユイの言うように。
「林さんは教官、北村さんはAランクでその補佐でした。
僕を『討伐隊』に連行……。
というか入隊手続きしてくれたのは北村さんです」
「Aランクなのに教官補佐?
林と一緒?
分かるように最初からいいですか」
「並行世界?
まさかスキルなんですか?
SFっぽいですが、ダンジョンが生えてくる世の中なら……」
「はい、僕とユイが戻って来れたのは固有スキルです。
25歳から7年もの歳月を戻って高校生に」
まずは桜さんやイアンに話したように、知っている歴史を話す。
最後は「負けた」とだけ。
そして、ダンジョン発生日に戻ってから。
桜記者、イアンやイーチェンの話。
秘密裏に探索者協会所属であることも。
話していないのは実際のレベルと訓練ダンジョンの存在だけ。
「ヨッシーと呼んでいたのはイーチェンです。
本名と漢字が同じ『佳子』にするそうで」
彼女が日本好きになった経緯を話す。
日本で探索者になる悲願も。
「真偽の確認はいいんですか?」
議員に尋ねる。
「今更疑う余地はありません。
北村さん、そうでしょう」
「はい、すべて真実です。
ですが……。
これからまた相談する必要がありそうです。
どこまで報告するかを決めないと」
「あ、そうですね。
そこが問題ですね」
珍しく【多重思考】が目まぐるしく働く。
単に、この場合はこうなるという思考を繰り返しただけ。
僕の知識や想像力以上の事はできないが。
「まずは、元総理に『ありのまま』伝えてみては?
あの方なら対外的にどう振る舞うか……。
いや、僕達を『どう使うか』。
そのツボを見つけてくださる気がします」
結局丸投げだが。
これしか選択肢はないとも思えた。
「度胸が要りますね……。
けど、ベストは尽くしましょう」
「私もAランクで新人担当は繰り返したくないです。
それがあったから私たちはこうして出会えたんですけど」
なるほど、前回この件は失敗。
あの地位にいた、という事か。
「忘れてました、固有スキルのあの『先達』の事を。
これには大きな意味がある、と思っています。
なぜなら……」
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