『大人の関係』
※昨日6/03 05:46に続き、今日最初の更新です。
読み飛ばしなきようご注意ください。
コーヒーを作ったままだ。
「全員、コーヒーしか無いですけど。
ユイもそれで我慢して」
立ち上がって、キッチン側に。
死角になった場所に4組の器が現れる。
洗わず、【ボックス】内で汚れを分離してるのは内緒。
(『先達』ってお揃いだね、決まり?)
(待って、ユイ)
「あのー、その『スキル』の確認方法ですけど」
議員だ。
「自分しか知らないことを聞いてみては?」
なんてこった。
当然【看破】では北村さんの固有スキル以下は僕らに見えない。
ステはユイにも送ってる。
だからふたりして、確認方法が無いと思いこんでた。
実演してもらえば済むのに。
(ジッチャンの名が……)
ユイが悔しそう。
コーヒーを配りながら言う。
「それじゃ、僕達ふたりはもう……訂正。
ふたりはまだ『大人の関係』ではありません。
これどうでしょう」
「ちょ、ヨウ!」
「もちろん本当ですね。
……でも過去にはそうでは無かった?
あれ?
何言ってるんでしょう、私」
「はい、今は僕達は清い関係ということで。
確認終了です、ありがとうございました」
「正解でいいんですか?」
ちょっと話をごまかそう。
「それで、いつもこんな風に複雑なことが分かるんです?
ややこしくなりません?
もちろんスキルはオフにできますけど」
「それ、使い手次第だから」
なぜかユイが答える。
謎解きのつもりか……。
「スキルは結局魔法そのものだから。
コンピューターのように断定するわけでは無いの。
慣れでいくらでもうまく使えるし。
つまり、もっと曖昧で便利なものなの」
「なるほど!」
議員が感心してしまっている……。
あと、聞くべきことは。
「さっきの『先達の助』ですけど。
『先達』に当たる人とか、心当たりは?」
「いえ……まったく。
あえて言うならあなた方くらいでしょうか……」
「あと、『助』という部分。
否定的な意味になる言葉ってありましたっけ?」
「犯罪では『幇助』って言いますけど、助ける意味ですね」
議員が答えた、さすが?
ユイがスマホで調べる。
「調べたけど、最初に助が来る言葉は……。
ズバリ、『助平』ですね!」
何がズバリなんだか。
「で、どうする?
『先達』の事まで話すのはいいとして」
「私は信用していいと思うよ。
ってゆーか、ずーっと探り合ったままでいる気?」
もし全部話したとしても公式には出ないはず。
出るなら『と、彼らは主張している』ていう感じかな?
女性の方がこういう決断は向いているそうだ。
雑誌に載ってた。
結局、北村さんの決断は正解だった。
本当だと分かるのだから。
僕達ふたりがどんな奇想天外な話をしても。
議員には納得してもらうしか……。
いや、こういう話は結構好きそうだ。
お読み頂きありがとうございます。
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