情報応酬戦
※昨日6/01 04:00に続き、今日最初の更新です。
読み飛ばしなきようご注意ください。
北村さんは若かった。
そして綺麗だ。
スキルで遠くから見るのとは違う肉感。
例の男は積極的だった。
でも、できたら北村さんだけと話をしたい。
一蓮托生って。
なんで僕の尾行に必死になるんだろうか。
仕方ない。
2人ともおやつタイムに連行させてもらおう。
「ユイとヨッシーは僕の部屋に行ってて」
(ヨッシーに余計なこと言わないように釘刺しといて)
管理人さん(?)に断っておかないと。
男性は名刺を出す、国会議員だと。
生見さんと僕に、襟の裏の議員バッジを見せた。
それと知り合いの自衛官、ということに。
生見さんは気を利かせて顔は出さないそう。
お茶とケーキは持って行くからと伝えた。
おやつタイムのようだ。
イチゴショートと好みのお茶、紅茶を選んだ。
アンパンに手を出さなくて良かった。
なんでこんなにリラックス出来ているんだろう。
井上さん含め、ケーキをおいしそうに頬張る全員。
「すみませんでした。
浜辺さんを監視するような真似をして」
謝り、調査書類を見せる。
井上議員も止めなかった。
「全部分かっちゃうんですね。
写真まである」
この男性は日本人だということになる。
前の報告で“脅威”とされた存在。
別人、ではない。
いや、日本人だと偽っていたら?
それは無いという確信がある。
確信って。
なぜ確信している?
固有スキル【洞察】だ。
「えーと、北村さんでしたよね?」
わざとらしい。
最初から名前を知っていたくせに。
「あちらの探索者情報なんですけど。
オークって言ってたな、その次くらいの魔物なんですが。
角があるやつがいて、それには絶対手を出すなって。
相当レベルを上げないと死ぬって」
最初、あちらの情報というのは嘘だ。
自分で知っている情報だろう、他は事実。
北村自身が確認したことでもある。
しかし、タイミングよく教えてくれる。
忘れそうになってた、この男性は200レベル超えなんだ。
続けてしゃべるようだ。
「【鑑定】というスキル持ちが増えてるようで。
これを使えば人や物の、魔物以外のステータスが分かります。
ステータスの数字や通常スキルは全部見えるそうです。
でも……」
これも同じパターン、本人からの情報。
「固有スキルや称号というのがあるそうですが。
それは【鑑定】では見えません。
カマをかけられ、教えてしまわないように……。
という事です」
井上議員が勝手にメモしている。
男性自身がこの能力を使っていても不思議ではない。
いや、その方が説明がつく。
今度はお返しとばかりに井上がしゃべりだした。
止まらない。
今、自分達が日本の探索者を作るために動いている事。
このままでは陸自上層部の思惑通りになる。
国による『討伐組織』による利権の独占。
女性2人には構っていない。
高レベル、間違いなく関係者だが井上さんはどう見ているのか。
どうやら、洗いざらいしゃべって協力を求めるつもりらしい。
それはいいと思う。
だが、“脅威”の件を聞いてどう思うだろうか。
いやそれ以前に。
まず、私たちの事が信じてもらえるかどうか。
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