【洞察】
※今日6/01は00:24に続き2回目の更新です。
読み飛ばしなきようご注意ください。
「うーん……」
どうするべきか、またあの人物が来ている。
一緒にいるのはよりによって北村さん。
「北村さんらしい人がいるのよね。
ヨッシーにはわけがわからないだろうけど……。
未来の知り合い、ってゆーか……」
「こゆうスキル、ですね。
わからないけれど、そのことわかってます。
ヨウとユイ、みらいしってる、それしかない、です」
そういえば、日本支部でヨッシーは指摘してた。
根本部分を、ヨッシーだけがすぐに理解していた。
なんとなくだろうけど。
北村さんは未来に起こることを知らない。
僕達は「知らない人」。
幸い、彼女には【洞察】というスキルがある。
それに賭けるしかない。
けれど。
もう一人の男、この前撒いた人物だ。
この人物をどう扱うか。
おそらく、この前跳ねて姿を消したが、それがまずかった。
後で見ると、あの場所には結構離れた非常階段しか無かった。
おかしいと思われても仕方ない。
わざわざここに来た理由を尋ねるしかない、か。
放ってはおけない。
北村さんにだけは、再会の約束をして色々話したい。
あとはのらりくらりごまかすしか無い。
書き込みから探索のスポンサーだと思っているはず。
わざわざ僕にこだわる理由はない。
「よし、普通に帰ろう。
途中で別れて僕一人で話すから」
ファミリーカーの中で彼らの動きを待っている。
今日はとりあえず様子見。
アンパンならぬ、菓子パンとコーヒー類が用意してあった。
勧められたが、缶コーヒーだけ飲む。
待っていれば、買い物や食事に出かけることもあるはず。
要するに、井上議員が言う「不思議な事」が分かればいい。
彼はおかしな事を想像しているようだが。
しかし、胸騒ぎが止まらない。
スキル?
どっちの?
突然、北村をとんでもない衝撃が襲った。
横を歩いて行く2人。
トレーニングウエアの女性ふたり。
200レベル手前くらい!?
どちらかがもっと高いが、そんな事はいい。
異常だ!
そして……。
気づいたがもう遅かった。
助手席扉が外から開かれた。
「北村さん、おひさしぶりです」
確かに久しぶり、この前訓練の時会った。
顔は初めてまともに見た。
若い、いや報告書通り。
逃げることは不可能だろう。
私の名前を知っている?
「あっごめんなさい、初めましてですね。
どうして僕のことを調べているんです?」
スキルがやかましい程警報を鳴らす。
一方で何かがそれを抑え込もうとしている。
固有スキル【洞察】が勝ったようだ。
通常スキルの方はもう働いていない。
落ち着きを取り戻した。
「あの、すみません。
お話を伺えたら、と思いまして」
井上だ。
見つかったからにはそうするのが一番だろう。
普通の判断ができないほど混乱してしまっていた。
男は一瞬考え、答える。
「北村さんだけではダメですか?」
「いや、僕も一蓮托生なんで。
僕からもお願いがありますし聞きたいことも。
一緒にお話を」
井上が引き下がらない。
「……分かりました。
僕の部屋へ行きましょう。
車はうちの駐車場に入れてください、案内します」
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