恐怖
※今日5/31は01:00に続き2回目の更新です。
読み飛ばしなきようご注意ください。
あれから数日、北村のレベルは順調に上がっていた。
ここのナンバー2が『盾』職となった事が大きい。
初スキル、【ヘイト】を取れたからだ。
最初は効果が不明で、使うたび北村が割り込み斬り伏せていた。
ラノベやゲームで言う、『ヘイトを取る』。
つまり魔物を引き寄せる効果だった。
この者に盾を持たせた。
直接魔物にぶつける盾だ、特注で作ってもらった。
これからも改良される予定。
盾職は定着するはず。
これで、余裕を持って他の者も投石できる。
魔法職を含む全員のレベルは20を超えた。
もっともトドメを刺した北村が24とトップに立った。
いや、もしかしたら同じ24がいるかもしれない。
はっきり全員がレベル報告はしないから。
だが、北村の【洞察】ではナンバー2も自分よりステは低い。
初っぱなの単独戦テストで分かっていた。
ステの伸びが違う、この結構優秀な隊においてもだ。
そして、空欄だった『ジョブ』に名前が出た。
「魔法剣士」だ。
魔法というのには疑問しか無いが……。
おそらく、ステがバランス良すぎるからのような気はする。
将来魔法は使えないことはないだろう。
なにせ、魔力だけ少し低めと言っても普通以上のはず。
例の「初期値の法則」で分かる。
オークを倒し切った。
目の前には下層への階段が。
オークエリアを踏破するのは初、この下に降りるのも初だ。
「全員ここで待て。
スキルで敵レベルを探ってみる」
ゆっくりと降りる。
しばらく待つと現れた、角の生えた肉塊。
いや、人の形だが。
全速力で階段を登った。
あれは……実質50以上、70レベル台?
人間とモンスターではおそらくステのバランスが違う。
オークまでの魔物で学んだことだ。
それにしても、自分たちの倍をはるかに超えた強さ。
スキルがなければ知らずに殺されていただろう。
少し体が震えた、武者震いとは逆のものだ……。
「絶対に下へは降りないように!
70~80レベル台が揃うまで無理だ」
冷静を保ちつつ、オークを倒していく。
25レベルになった。
違和感。
固有スキル:【洞察】
同じスキルが2つ?
帰ってゆっくり考えよう。
今は使えないようだ。
攻撃関係でないのは確かだろう。
「おう、遅かったな。
奥まで行けたか?」
ダンジョンを出れば偉いのは林。曹長だ。
雑用係だが。
「ええ、とんでもないのが……
上に報告してからまた」
「まあ食え、全員お疲れだった!」
林も一緒に食べている。
まあサンドイッチとお茶くらいでは太らないと思うが。
「ところで、また何かあるみたいだぞ。
今回は上からお呼び出しだ。
こっちの調整は上でするそうだ」
声を抑えて林が言う。
今回は書面での陸上幕僚長からの命令だった。
ある人物の調査に関する仕事。
衆議院議員と同行するようにとある。
基地に戻り着替えて門を出ると、見た事のある車が。
「こんにちは、この間はどうも!」
ちょっとニヤついた井上議員だった。
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