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弱々でごめんなさい~現代ダンジョン物語  作者: 炉里 邪那胃(ろり じゃない)
第三章
147/175

世論

※今日は5/28 04:00に続き3回目の更新です。

 読み飛ばしなきようご注意ください。

 今度は元総理が井上議員をさえぎる。


「井上君、ちょっと待って。

 まず状況を整理しましょうか。

 全員が理解していないことには、これからの時間は無意味です。

 私がメモを元に読みますが、間違いがあれば訂正を」



 日本の状況を憂い、情報をまとめていた井上議員。

 統合幕僚(ばくりょう)長と元総理の自分は彼を信頼、協力を申し出た。

 消極的ではあるが、防衛大臣も賛同。

 最終的に目指すのは、世界情勢に(なら)った探索者制度の制定。


 だが、陸上幕僚長以下陸将達は探索権益独占を画策。

 それは『国による新しい隊』のみでのダンジョン探索。


 また、現総理含む他の閣僚や議員の大多数は「成り行き任せ」。


 米国資産家イアン・マックスの予言は確証無し、論議に至らず。


 陸上幕僚長協力を装おう「特命隊員」達の派遣。

 緊急時などの細部の問題点を洗い出す予定だった。


 だが、今回その内一組からとんでもない報告が上がった。

 正体不明の、脅威となりうる人物との遭遇。


 偶然にもこの3人と井上議員本人が揃った場で。



「平和的に話したということですが……。

 警告とも取れる行為です。

 あえて自衛隊の訓練場所に現れ、追尾さえ許さなかった」


「自衛隊トップとして、現状改革が急務かと」


「私も消極的賛同などとは言っていられないですな」


「ですが……。

 この2人の証言があるとはいえ、現総理達にどう納得させるか」



「もういいでしょうか。

 ありがとうございました、元総理。

 失礼ながら、現状は変わり始めています。

 順番に表示頼む」


 井上議員の指示に、秘書がパソコンを操作する。

 もうモニターは全員が見れる角度に動かしてあった。


「お三方に、世論の変化をお伝えしようと準備したものです。

 こんな事になるとは……。

 ヨミケイと毎朝、2大新聞による調査です」


 2つのグラフは同じ数字。


『ほら穴騒動』に対し日本はどうするべきか。

「様子見」約90%、「積極的に世界に(なら)う」3%。

 残りは無回答。

 選択肢が2つしか無い。


「これは某国に超常的な探索者が現れた時のものです。

 大きな話題でしたからね。

 次は、ヨミケイが昨日出した調査結果です」


 探索者についての調査。

「やりたい」「やりたくない」「法制しだい」「様子見」。

 選択肢が増えている。


「やりたい」「やりたくない」が15%と同率。

「法律しだい」10%、無回答5%。

 やはり「様子見」70%、日本ならそうだろうな。


「賛同者が増えているのはもちろん、調査名に注視を。

 ダンジョン、この名称がいつの間にか定着しています。

 他新聞やテレビも同様です、よく『ほら穴』と併記されますが」


『ダンジョン探索をどう思うか』

 これがアンケートの名称だ。



「なるほど、ネット世論が実社会に大きな影響を与えている、か。

 我々もいつの間にか『ダンジョン』という言葉に納得しているし」

 元総理のつぶやきに、残り2人のお偉方が尋ねる。


「ネットが?

 大事な国防……まあ似たようなものですが。

 左右していると?」


「秘書は多少ネットには詳しいが。

 大臣失格かもしれません……」


「いえ、国防を担うお二人はそんな暇はないでしょう。

 私も、なんとなく考えていた程度です。

 井上君、それだけじゃないんだろう?

 重いモニターをわざわざ運んできたんだから」

お読み頂きありがとうございます。

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