平穏な日々
※昨日5/19 05:29に続き、今日最初の更新です。
読み飛ばしなきようご注意ください。
多忙のため遅くなりました。
今回も、何でもない閑話みたいな感じです。
晩ごはんを食べ終わり、風呂に入ろうかという時間。
「父さん母さん、ちょっと待ってて」
ダダダッと2階に上がり戻ってくる。
久々に全ステータスを初期値に下げて普通感を出した。
2人ともテレビを消して正座で待っていた。
バレてた?
いや、僕が「待ってて」なんてかしこまって言ったからだな。
「これ、2人に。
初給料の、なんていうか……
いつもありがとう、父さん、母さん」
「まあ」
「お、おう」
なんて言っていいか、……言葉が出ないか。
僕もそうだし。
早く開けて、見て欲しいんだけど。
こんなに立派に包んであったら開けにくいよな……。
リボンだけにしてもらえばよかったかも。
アメリカとかならすぐ開けて見るのが礼儀だったような。
ドラマとかでベリベリ破いて開けるよね。
ああっ包み紙、とか思ってしまう。
ゆっくりセロテープを剥がして解体されていく包み紙。
箱が出てきた。
開ける箱が一個で良かったと思う。
ペアウォッチ、一番シンプルな白の文字盤だ。
母に軽くおしりを叩かれ、「ありがとう」と言う父。
「高かったんじゃないの?」
まあ、母は予想通りだ。
僕も照れくさくて、答えるだけでいっぱいっぱいだ。
「いや、普通のしか買えないから」
特に盛り上がることもなく……。
母だけは台所へスキップして行ったけど。
母さんのは合わなければ革ベルトに変えてあげていいな。
実は安く済んでる、ちょうど5万のは無かったので。
父さんのは店で調整かな。
~~~~~~
昼1時過ぎ、大通りで待っていると黒い車が止まった。
スポーツカーぽいけど、フロントグリルのある高級車?
「のってくださいネ」
助手席ガラスから顔を見せたのはイーチェン。
「うしろ、あけてネ」
運転は女性のよう、サングラスを掛けている。
初めて会う人だ。
黙っている。
降りてから自己紹介とか順序があるのか。
最初から降りてくればいいのに……。
イーチェンがなんだか楽しそう。
着いた。
山奥神社入り口のちょうど向かい当たりだ。
車がゆっくり駐車場に入ると迎えらしき人が出てきて誘導。
ここ、まだ工事してるような?
降りるが、女性は無言だ。
相変わらずニコニコしているイーチェン。
(どうしたんだろ? まだ無言って)
(ヨウ、謎はすべて解けた!)
(はぁ?)
最上階に着いた。
「この階だけ、すべて先に内装工事が終わっています」
しゃべった!
鍵の束を取り出し、手近の部屋の扉を開ける。
「どうぞ」
全員入ると鍵を掛ける。
なんだ、この不穏な雰囲気は……。
サングラスを外す女性。
「探索者協会社員寮へようこそ!
福利厚生として、このフロアは社員寮といいますか。
そういう扱いですね、残念ですが差し上げられません。
ここは一番ダンジョンに近いですから」
探索者協会の人だ!
「日本支社からこちらへ引き抜かれました、生見です。
この付近と皆さんの担当になります、よろしくね。
あっ、聞いてると思いますが契約が変わりましたので。
日本語の雇用契約書に後でサインお願いします」
日本支社っていうのはさっきの車の会社だ。
「ふたり、おどろいたネ?」
「ちょっとドキドキしたよね」
「うん、まあね。ね、ヨウ」
(ジッチャンのくだり、言うチャンス無かった……)
アレ好きだなあ、ユイは。
お読み頂きありがとうございます。
もしよろしければ、この下の★★★★★(クリック)評価とブックマークをお願いいたします。