この国の実情
※昨日5/16 03:35に続き、今日最初の更新です。
読み飛ばしなきようご注意ください。
遅れました、すみません。
「あれは本当です。
理解されてなくても構いません。
そうならないよう、あなたと僕らが動けばいいんです。
それだけのことです」
イアンは通訳された僕の言葉を聞き、ゆっくり返した。
「『理解されなくていい』というのは?
君が『過去形』で話した理由の事ですか?」
「あはい、その通りです。
日本の事についてはじっくり相談するつもりです」
「それを聞いて安心しました。
では、今やりましょう。
日本の現状についてはニュースで知っているだけです。
実際どうなのかを詳しく知りたいです」
僕が順番に説明していく。
『内部調査』の死亡事故での自衛隊による救出。
政令で全国の『ほら穴』立入禁止に。
全国で金網と鉄条網設置。
後で調べたが、政令というのはとりあえずの処置だったよう。
政令は法律が無ければ実質効力は無いそう。
「なるほど。
今は法律はなくても実質入れないのですね。
それでこれからは?」
国が探索者と同等能力を持つ者を育成しているはず。
4ヶ月後に全世界で魔物が溢れる。
同時に他国による紛争、ただし大きな影響なし。
その後は国の組織が『討伐隊』として活動。
僕は続ける。
「アフれで非常に強い魔物が出たことがありました。
Aランク止まりの『討伐隊』では対応できませんでした。
政府はここの協会を通じSランクを呼び、収拾できました」
「なるほど、それは何年後ですか?」
「2~3年後だったと思います」
(ヨウ、過去形になってる)
(うん、このまま話す)
「しかし君ほどの実力者が更に成長すればなんとかできるのでは?」
「たったふたり、いや三人では何も出来ません。
事実、民営の組織はあっても利益が出ず探索者も集まりませんでした。
7年後は『討伐隊』にいた僕たちも巻き込まれ……」
イアンが立ち上がる。
「分かりました。
あなたの予言が本当か判明するのは4ヶ月後ですね。
今から4ヶ月も待てば、大きな利益を逃すだけで済みません。
日本が無くなってしまう可能性を放置することになります」
「コユウ スキル?」
突然のイーチェンの言葉。
「あなた方は必死でこの協会の出現を待っていたんですね。
本来ならその『予言』をもっと前から伝えたかった。
遅れてすみません」
「信じてもらえますか?!」
「いえ、エンジニアとしての現在最良の選択です。
可能性1は、あなた達が騙している。
2は集団で思いこんでいる。
3は特殊相対性理論で……今の科学ではムリでしょう、やめます。
4は魔法的な力による歴史修正、イーチェンの案です」
イアンはそれぞれの可能性に言及することはなかった。
決定済み、らしい。
「契約書にサインをお願いします」
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