ステと交渉
※今日5/14は04:00に続き2回目の更新です。
読み飛ばしなきようご注意ください。
「取材はついでで、君たちがメインですか?
冗談なら面白いですね」
通訳は相変わらず空気を読まない丁寧語だ……。
(ユイ、『見せステ』は白紙で隠して!)
(? わかった)
通訳さんを【看破】するとステ無し。
危ない、まだセーフだ。
イアン・マックスなら、【鑑定】持ちくらい同行させてるはず。
ここの40レベル台の二人のように。
気付けてラッキーだった。
【多重思考】のおかげっぽいけど、使ってる自覚がない。
ちょっと困るけど、結果オーライか。
気さくなイアンのおかげで中へ連れられて行く。
それに彼は日本好きなような?
名刺を彼が日本式(多分)で受け取ったのは大きい。
ポ○モンもだが。
(ユイには後で説明するから。それよりこの流れに乗って)
(いいけど。どこまで話すの?)
(まず話すより実践……戦う方の実戦にもっていきたいね)
(わかった!)
入ると広いリビング、大小テーブル2つにそれぞれ座っている。
小さい方、部屋の隅のローテーブルには女性1人。
黒いキャップを深くかぶり顔が隠れている。
デカいテーブル一つを想像したが、それこそ異世界物だな。
イギリスとかならありそうだけど。
6人用のテーブル片側に僕ら3人を座らせ、他は席を移動する。
座っていた女性が立ち上がり、そのままテーブル横へ。
僕の向かいにイアン、隣に通訳、更に謎の外人。
余った人達はローテーブルへ。
さっきの4人を除き、【看破】。
あ、こっちも【鑑定】された。
ちなみに【看破】はステルス、バレない。
(あっちに行った1人と立った女性はステ無し、他を送るね)
(……えっ、どういうことなんだろ。でもおもしろそう!)
大テーブルに残った1人は【鑑定】持ち、他のしょぼいステ省略。
ローテーブルにはさっきの探索者2人とステ無しと黒帽子女性。
こっちで立つステ無し女性は司会か、いや秘書っぽい。
あっちに行ったステ無し男性は通訳だろう、もう一人の。
なぜなら……。
あ、目まぐるしく考えているが一瞬のような。
時間感覚がおかしい、【多重思考】の難点かも。
早く使いこなさないと。
先手必勝、日本人と違って細かいあいさつは要らないはず。
「なぜ日本に来たんですか?」
「大事な用事がありましたので。
あとは、日本であの穴が事実上封鎖状態と聞いたので。
探索者は実質ゼロ、ここが無駄になるのかと心配です」
「何かアクションを起こすんですか?」
「私は日本が大好きです、『ハナレン』も見ましたよ。
マンガもアニメーションも良かったです、最高でした」
通訳前にしみじみ感情を込めていたのはこの話か……。
タイムラグと定形口調が悔しい。
「でも、知っているのはアニメーションやネットでの話です。
私にもできることがありそうですけど。
本当に日本人は不可解です」
「なら、日本人の僕たち2人にまかせてもらえませんか?
日本のことは良く知っています、当然ですが」
頭を抱えるイアン。
なにか思い出したようで、【鑑定】持ちを見た。
首を振る彼に落胆したよう?
誤解された【鑑定】持ちが立ち上がり耳打ちした。
言い合う2人、混乱している。
よし、ここだ。
「デモンストレーションの場所は……ありますよね、ここなら。
お見せしますよ、本当の探索者という存在を」
お読み頂きありがとうございます。
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