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バトルアイズ  作者: 八月朔日
1/2

1話目 ハズレは95%でアタリは5%の賭け

灰色の目をした男「迅雷和馬(ジンライカズマ)か、成る程。確かに想像よりもかなり速い」


迅雷「悠一(ゆういち)兄さんを返してもらうぞ!"灰の目"!」


灰の目「さて?何の事かなぁっ!」


──────────

────────

──────


1人の少年が家に着き玄関のドアを開く、すると


迅雷「ふぅ、部活疲れたぁ…兄さ〜ん、ただいまー!

って、なんだよこれ…!おい父さん!居るのか!?それとも兄さんなのか!?」


辺り一面に広がる血溜まりと、壁や天井に飛び散った無数の血飛沫。

そして血溜まりの中心に転がっている身体に幾つもの穴が空いた一つの死体。


迅雷「っ!うぶっ…!!」


バンッ!


それを認識し、吐きそうになる俺。

すると背後で大きな音がする。まるで何かが、それこそ何メートルも上から着地した様な音が響く。


???「チッ、遅かったか…!」


振り返るとそこには、真っ赤な瞳をした一人の少年が立っていた。


迅雷「アンタは…?」


夕丸「俺か?俺は夕丸火依(ユウマルヒヨリ)だ。それよりも悪かったな。

ソレさ、見た所、アンタと親しい奴だったんだろ?俺が遅いばっかりに、本当すまない。」


迅雷「あぁ、俺の父さんだ…」


夕丸「そうか、そいつは残念だったな。…さて、少年、名前は?」


迅雷「えっ?えぇと、迅雷和馬ですが…」


夕丸「そうか、では迅雷君。物は相談なのだが、俺の姿をこうして見られてしまったので秘密にして欲しい。

その代わりと言っちゃあなんだが、謝礼として最低100万は保証しよう。足りなければ条件次第で更に上乗せする。

どうだろうか?」


迅雷「…要らないです。」


夕丸「ん?なら何か別に欲しい物があるのかな?」


迅雷「あの、自分、迅雷悠一(ジンライユウイチ)って言う兄貴が居るんです。その兄貴を…」


夕丸「あー、はいはい、成る程ね。なんとなく分かったわ。お前そう言うタイプなんだね。家族失ったタイプね。

それじゃあ俺に着いて来いよ、色々説明してやる。」


そう言って彼は歩きだしたので、一応自分も着いて行く。



──────────

────────

──────



あの後、暫く歩く事数時間。

迷路の様な細い路地を通り続けて最低でも3時間は経つ。

それに痺れを切らし、俺は質問する。


迅雷「あの、どこ行くんですか?」


夕丸「いや、着いたよ。ここだ。」


聞いたタイミングで丁度着いた様で、夕丸が指差す方を見ると、そこはとてつもなく大きな大豪邸だった。


迅雷「うっそ…!こんな路地中になんでこんな大豪邸が…!?」


夕丸「いいから行くよ。」


迅雷「えっ!?あっ、はい!お邪魔します…」


そう言って門を開けて中へ入って行く夕丸。

それに遠慮しながら後を着いて行く。

豪邸内に入ると数多くのメイドさん達が目に入る。

そのまま玄関に着くと夕丸がドアを三回、三回、三回と分割して合計九回ノックする。

すると玄関のドアが開く。


夕丸「ただいまー、ちょっとお客さん一人連れて来たから、お茶とか色々お願いね。」


メイド「かしこまりました。」


迅雷「お邪魔します!」


夕丸が玄関近くに居るメイドさん達にそう言うと、頭を下げた後に一斉に動き出して様々な方向に去っていく。


夕丸「迅雷君、こっちだよ。」


迅雷「あっ、はい。」


色々と周囲を見ていると置いて行かれていたみたいで、夕丸の声で気が付く。

後を着いて行き、応接室の様な部屋に入るとメイドさん達が次々とやって来てお茶と様々な和菓子を持って来る。


夕丸「遠慮しないで食べちゃっていいよ。お、生八ツ橋あんじゃーん、ん〜美味い。」


迅雷「はぁ…それじゃあ、いただきます…あ、美味しい…」


夕丸「さて、何か君のお兄さんの事だったね。あ、メイドさん、悪いけどちょっと二人で話しするから出てって?」


メイド「かしこまりました。では、失礼致します。」


夕丸が指示すると部屋に居た数人のメイドさん達が去って行く。


夕丸「さて、何から話そうかなぁ…ねぇ、君。"視力"って知ってるかい?」


迅雷「え?えぇ、まぁ。そりゃ学校とかで検査しますし…」


夕丸の質問に俺がそう答えると、夕丸は頭を横に振る。


夕丸「違うよ、その視力じゃない。簡単に言ってしまえば同音異義語さ。

名前も漢字も全く同じだけど、その中身はまるで違う。

まぁなんとなく分かってはだけどね。それじゃそこから話して行こうか。」


迅雷「はぁ…お願いします。」


夕丸「これから言う事は、特定の人物以外には他言無用でただお願いする。まぁ別に言ってもらっても特に何も問題は無いんだけどさ。

それで、"視力"についてだけど、大雑把に説明するとね、まず誰もが持ってる物だけども、大抵の者はそれを扱えないんだ。

それは何故かと言うと、力に目覚めないからだ。

因みに、視力に目覚めた者は俺みたいにこうやって、目に色が付く。カラコンじゃないよ。

ここまではいいかな?」


迅雷「えぇ、まぁなんとか…」


夕丸さんが説明に合わせて自身の目を指差すのでそれに頷く。

そして俺が頷くのを見て真剣な表情に変わる。


夕丸「それでここからが重要な話だ。

君、行方不明のお兄さんが見つかる為に、死ねるかい?」


迅雷「…はい?それってどう言う」


真剣な表情で突拍子も無い事を言うのでつい聞き返してしまう。


夕丸「あ〜!すまない、少々急ぎ過ぎたね、言葉が足りなかったよね。

んん!改めて細かく説明させてもらうと、まず君には今、幾つかの選択肢があるんだけど、その中で将来的に君のお兄さんを見付ける為に最も近い道があるんだ。

ただその近道を選べば、君は非常に高い確率で死ぬ可能性があり、非常に低い確率でその近道を通れる。

具体的な数値としては100%中95%が失敗して死に、5%で成功、近道を通れるって感じさ。」


迅雷「100%中5%ですか…でも、それが兄貴を見つける為の一番の近道なんですよね!?」


夕丸さんを信じるなら、これが一番の近道になる。当然やらないなんて選択肢は無い。


夕丸「あぁ、そうなるね。だけどね、再度繰り返す事になるが95%で死ぬ事になるし、あまりオススメはしないよ。

それにね、遠回りになるけど、他にも道は幾らでもあるんだ。

よく考えるといい。俺はそれを幾らでも待つ。」


迅雷「いえ、兄貴を見付けるのもそうですけど、俺の父さんを殺した奴の敵討ちも兼ねてるんです!

その95%と5%の賭け、やります!やらせて下さい!」


夕丸「即決と来たか…分かったよ。それじゃあまず初めに君の適正視力を調べる。その為にも場所を移すよ。」


迅雷「はい!」

俺は夕丸さんに答えを告げると、若干苦笑した後席を立って後を着いて来る様に言う。

それに俺は元気よく返事をした。



──────────

────────

──────



夕丸「さて、着いたよ。この部屋だ。

さてと、早速だがちゃっちゃと済ませちゃいますかね。

君、そこの黒の椅子に座って視力検査って書いてあるやつ被って。」


迅雷「はい。こんな感じですか?」


案内された部屋に入ると、そこには色々な機械や本がかなり雑に置いあり散らかっている部屋だった。

そこで指示された通り、一つだけ置いてある椅子に座り、視力検査と大きく書かれたヘルメットの様な物を頭に被る。


夕丸「それじゃ、始めるけど最後の確認だ。これは高確率で死ぬ。覚悟はいいな?」


迅雷「はい、お願いします!」


夕丸さんが最後の確認をするが俺の答えは揺るがない。

そのまま返事をした。


夕丸「えーっと確かここの棚の引き出しに…あったあった、コレだ。

はいそれじゃまず、この薬をコレで飲んでくれ。

因みにその白いやつは全部飲んでね。」


迅雷「はい。」


俺の返事を聞くと周辺にあった棚を幾つか物色し始める。

数秒探した後に黒い液体の入ったカプセルと真っ白な液体の入ったコップ渡される。

それを俺は言われた通りに黒のカプセルを口の中に入れ白い液体で一気に飲み干す。


迅雷「飲みましたけど、この後は?」


夕丸「ん?その薬の効果が出るの待ちだよ?そうだなぁ…短いとそろそろ効果出る頃かな?」


夕丸さんがそう言うと体が突然痛みと苦しみに襲われ、呼吸が段々とし辛くなって来る。


迅雷「うぐっ!!あがあぁっ!!ぐぶっ!!うぅっ!!あぁっ!!」


痛みと苦しみに耐え切れず椅子から転げ落ち叫ぶが、それには一切興味を示さず、視力検査の機械とケーブルで繋がっている機械の画面を見ている夕丸さん。


迅雷「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


夕丸「うーん、そろそろかなぁ…今回はどう出るかなぁ…」


迅雷「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

ふぐっ!!うぅっ!!がっ!! はぁっはぁっはぁっ!!…っ!?アレ!?」


夕丸「…おぉっ!まさかコレは!」


痛く苦しい体が突然、元通りに。いや、元以上に楽になり視界がとてもクリアになる。

すると同時に、画面を見ていた夕丸さんが驚きの声を上げ、俺に近付いて来る。


夕丸「おめでとう迅雷君!君は成功したんだ!視力に目覚めたんだ!まさか5%の壁を乗り越えるとは!やるじゃないか!」


迅雷「い、いえ…」


夕丸「さて、成功したとなれば色々とやる事があるが、しかし何よりもまず先に君にはその目覚めた視力を使い熟す為の訓練がある!

さぁ!善は急げだ!早速行こうか!」


迅雷「え?ちょ、ちょっと!まだ呼吸が整ってな、うおぉぉぉぉぉぉぉ!?!?」


こうして、俺は視力と呼ばれる力に目覚めたのであった。


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