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政略結婚のため努力してきましたが、追い出されてしまいました  作者: あきづきみなと


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ブリジッタの母でパーサプル公爵の妹、イザベラは美貌と才覚を兼ね備えた人物だった。淑やかな振る舞いの反面、怜悧な判断力を備え持ち、必要な時に必要な決断のできる、人間的にたくましい女性(ひと)だった。

兄である公爵はもちろん、従兄に当たる国王も、彼女の強かさは今も覚えている。

しかしその彼らも、イザベラが何を考えてライアンを夫に選んだのかは知らない。

当時イザベラは引く手あまた、選択肢は幾らでもあった。血の近すぎる相手でなければ構わないと、当時父の先代公爵が公言している。

実際求婚者は多かったが、彼女が選んだのは当時から王宮で文官として勤めていたライアンだった。

彼は見た目は整っているし仕事もできる。だが実家の三男で先の見込みはなく、人付き合いの機微を読む能力がなかった。女性に人気がなかったとまでは言わないものの、本気で婚約を持ちかける相手もなかったらしい。当時から付き合っていたダリアも、先の見通しがない彼との婚姻を望んでいたかは疑わしい。

だが公爵令嬢イザベラとの結婚が決まり、侯爵家を興すことになったライアンの立場は向上した。

当時彼の上司は典型的な悪徳官吏で、部下の実績を我が物にし、賄賂を要求しては自分もばらまき、依怙贔屓や縁故重視でなおかつ自分は無能という人間だった。ライアンが侯爵家の婿になったというので、自分に便宜をはかれと騒ぎたてたその上司、イザベラが論破した上で徹底的に調べあげた悪行を公にされ、貴族社会から抹消されている。

今にして思えば、ライアンはその当時から全く進歩していなかった。与えられた仕事・出された指示に従うだけで、何故そうするのかそうなるのかも考えないし、業務の本来の目的についても興味がなく、本質的な理解が無い。

かつてイザベラの死を嘆き虚脱していたのも、的確な指示を与えて進捗を誉める、言わば理想の上司を失った嘆きではなかったか。

反面、今もダリアやデイジーを愛しているとは言うものの、如何にも薄っぺらい。「夫人(ダリア)がそう言わせている」、自分に愛情があることを示せ、と甘えるというより恫喝している、というのが使用人たちの証言だ。

ある意味、この男が諸悪の根源とも言えるが、当人全くその自覚がない。

現に今も、きゃんきゃん喚きたてている娘を宥めるのに必死ではあるが、いっこうに功を奏していない。言っている言葉に重みがなく上滑りで、ただでさえ荒ぶっているデイジーの耳には入っていないようだ。

「私やお母さんを愛してるなら、貴族としての地位とか十分な金をちょうだいよ!!」


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