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第3話 恋
"思い出"
誰しも思い出はあるだろう
それがたとえ辛いものだったとしても
僕はその日、定期検査の為病院に訪れていた。
病院に、訪れていた…
はずなのに、彼女がいた。
彼女が歩いていた
ガン治療センターへ続く道を。
間違えるはずもない
あのなびく髪と透き通るような目は
彼女の物だ
彼女がだけが持つものだ。
「まっ、、待って!」
そう、僕が声を掛けるが、
彼女は気づいていない
いや、もしかしたら気づいたいたのかも知れない。
気づいていないふりだったのかもしれない。
僕は
頭がどうにかなりそうだった。
胸が押し潰されているような苦しさ
これが、恋なのだろうか?
これは、恋なのだろうか?
そんな、答えのない自問自答を繰り返す。
お読み下さりありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。