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30.良からぬ前兆 -国王陛下視点-

短めです…

「陛下。お呼びですか?」


そういって執務室に入ってきたのは幼馴染だ。

相変わらず、表情が固く真面目なやつだ。


「堅いぞ。ルーイ。今は2人きりだ。」

「わかった。これでいいか?」

「あぁ、それでいい。」

「それで、一体話とは。」


ルーイは、無駄話などをせずにすぐ本題に入ろうとする。せっかちな性格だ。全く面倒な幼馴染を持ったと思う。だが、それ以上にルーイの良いところも知っている。私と妻である、オリーと今こうしていられるのもルーイのおかげだ。


「また数が減ったのだ。」


早速本題を切り出す。


「またか。3度目だな。」

「ああ。こっちで調べたが環境の変化は見られない。」

「人為的なものと言うことか?」


察しが早くて流石というかなんというか。


「そうだ。」

「ならば、騎士団を動かせという要請でいいか?」

「いや、そこまではまだだ。確実な証拠がない。騎士団を動かすにしても、もう少し様子を見る必要があるだろう。」

「スルビアナはなんと言ってる?」


スルビアナというのは、パッフェルト王国の隣国の一つである。


「あぁ、使者というか、まぁ、色々あってな力を貸して欲しいとは来た。だが、どこの輩が動いてるのかもわからん。それと、3度目ともなると1人や2人の行動ではなく、組織的なものかも知れん。」

「ならばどうする?」

「それが問題なんだ。」

「それで私に相談と言うわけか。」


ルーイは、右手を腰に添えながら私の話を聞いている。


「そうだ。こっちも動いてはいるが、こっちの者だと隠して行動しているため、調べるには限界が来ている。だからこっちも行動を移し始めていると圧をかけて欲しいのだ。そうすればあちらも何か動くだろう。」

「もし、向こうの行動が止まってしまう場合はどうするんだ?」

「それもあるな。だが、今のところスルビアナが動いても状況は変わっていない。むしろエスカレートしてる部分がある。」


しばらくの沈黙した後に、ルーイは頷いた。


「わかった。こちらも騎士団では無くヴァランガの下として、少人数を動かそう。」

「そうしてくれると助かる。ではこの話は終わりだ。」


話を終え、踵を返そうとするルーイに声をかける。


「それと、そっちはどうなってる?リリアナの事だ。」

「そんなに気になるか?」

「あぁ、もちろん。息子のことだしな。」

「ユール。お前も子煩悩になるとは、あの頃を思えば想像できないな。」

「それはお互い様だろう。」


ユール。久しぶりにルーイに愛称で呼ばれ、懐かしさに浸る。ユリウス・カーティス・ ド・フォン・パッフェルト。それが私の名前だ。


あの頃からは想像ができない、お互いの姿に呆れもするが、自身の子供を可愛いと思わないというのがむしろ無理な話だ。


「して、どうなんだ?」

「全てリリに任せている。それに殿下を見ているとまるであの頃のお前を見ているようだ。性格まで似てないといいがな。」

「ははははは。それは、無理な話だ。なんたって私の息子だぞ。」

「殿下のおかげでリリは殿下の婚約者だともう大部分の貴族が知っている。リリは……いや、なんでもない。」


王族と言うのも大変だと思う。

アルのあれほどまでの熱量を見れば彼女は本当にアルの番なのだろう。


「ルーイ。お前には申し訳ないとは思うが、協力してくれるな。私の時みたいに頼むよ。アルの道を外さないためにも。」


ルーイが少し顔を顰めたのを私は見逃さなかった。


「はぁ……わかった。」

「ありがとうな。」


扉の前までいくと、ルーイはまるで今までの会話の口調が嘘のようにこちらを振り向き一礼する。


「それでは私はこちらで失礼致します、陛下。」

「あぁ。行っていいぞ。」


1人きりになった部屋で考える。

何かが動き始めている。けれどこの国のため、やれることは悔いなくやろう。

これ以上黙って居られないのも確かだ。

何せ、狙われているのが《聖獣》となっては世界が揺るぎかねない。



はぁ………


平和な世の中にならないものだろうか…………

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