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僕、チート能力がないんですが  作者: 佐神大地
異世界でマイホーム
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ジャイアントレッドフロッグ



通常のエレメントフロッグは全長1メートル前後のカエルだった。

それでも十分大きいのだが、ジャイアントレッドフロッグは3メートル近くあった。

小さな小屋レベルの大きさだ。

キラータイガーも大きかったが、ジャイアントフロッグは見た感じあれ以上の大きさだ。


「すげえな。」

「大きい」


リブロスとセブンもその大きさにしり込みしていた。

まあ当然だろう。

ランクDと言われるだけのこともある。

とりあえず、鑑定っと。


--------------------

ジャイアントレッドフロッグ


レッドフロッグの巨大種

強さはランクC

うん、よくいる巨大種よりさらに大きいね。

これって結構強いんじゃない。

君たちレベルで大丈夫かな?

--------------------


・・・ランクC!?


「ねえ、二人とも」


僕が注意喚起しようとした時には二人は意を決していた。


「セブン、いくぞ。」

「うん」

「リーン、二人で戦ってみるから危なそうだったらソラの支援を頼む。」

「待って」


リブロス達はジャイアントレッドフロッグに突撃していった。

僕の制止の声は二人には届かず、二人はジャイアントレッドフロッグに突っ込んでいった。

途中でセブンの姿がスッと消えるとあっという間にジャイアントレッドフロッグの後ろに回り込んでいた。

何度見ても、セブンのこの動きは見とれるものがある。


リブロスは果敢に正面からジャイアントレッドフロッグと渡り合っていた。

いや、よくよく見るとリブロスが押されているような気がする。

リブロスはその場で持ちこたえてはいるのだが、少しずつ傷を負っていっている。

戦い始めて1分も経たないが、息も荒くなり、疲労の色も濃く見える。

セブンは後ろかジャイアントレッドフロッグにヒットアンドアウェイ戦法で攻撃を加えているが大したダメージを与えているようには見えなかった。

何しろジャイアントレッドフロッグの表皮が厚すぎてセブンのダガーでは表皮を突き破ることができないのだ。

それでも、後ろからチクチクされると気になるらしくリブロスに集中できないでいる。

そうでなかったらリブロスはあっという間にやられていたかもしれない。

セブンもそれが分かっているので、ダメージを与えられていないと分かりつつも背後から攻撃をし続けていた。

強敵相手に二人は十分善戦したのではないのだろうか?



「ソラ、そろそろ助けてあげて」


僕がソラにお願いすると、ソラは「ワン」と一声鳴いて、2メートルぐらいまで巨大化するとジャイアントレッドフロッグに近づいていった。

ソラは無造作に近づいていく。

ジャイアントレッドフロッグもソラの接近に気がつき警戒をする。

そのため、少しだけだがリブロスへの攻撃が弱まる。

リブロスもそれを感じたのか体勢を立て直そうと試み始める。

それを察知したジャイアントレッドフロッグがリブロスに強烈な一撃を加えようとした瞬間、ソラは動いた。

目にもとまらぬ速さでジャイアントレッドフロッグの足元まで潜り込むとその右足を食い千切ったのだ。

ジャイアントレッドフロッグはバランスを崩し倒れこむ。

すかさずにリブロスは近づくと脳天に剣を突き刺したのだった。


「はあ、はあ。流石にここを貫けば倒せるだろ。」


リブロスは息を切らしながら呟くと、ジャイアントレッドフロッグが息絶えているのを確認する。

しばらく様子を見ていたが、動き出す気配はなかった。


「倒したー」


リブロスはそう叫ぶと武器をしまい後ろに倒れる。

セブンはいつの間にか僕の横にやって来ていてにっこり微笑むと座り込む。

二人とも精魂尽きたのだろう。しばらくはここでゆっくり休むとしよう。


「ソラ、ジャイアントレッドフロッグの死体の回収よろしく。その後、周囲を警戒しておいて。」


ソラはいつも通り「わん」と吠えるとジャイアントレッドフロッグを一飲みすると、周囲を気にすることなくその場で丸まって眠りだした。

・・・ちゃんと周囲を警戒はしてくれているよね。





二人の体力が回復したのはそれから1時間ほど経ってからだった。

その間、一度モンスターが襲ってきたが、ソラが簡単に殲滅してくれた。

この平原の注意モンスターであるデザートイーグルも含まれていたのだが、ソラの敵ではなかった。

上空から襲い掛かってくるのでこちらから攻撃をすることはできないのだが、攻撃してきたところを見事に捕縛した。

上機嫌に生きたデザートイーグルを咥えて僕の所に持ってきた姿は正に狩猟犬の本能だったのかもしれない。

ちなみに僕は・・・襲ってきたビックリマウス相手に接戦を繰り広げて何とか勝利した。


--------------------

ビックリマウス


通常のネズミよりちょっと大きめのネズミのモンスター。

特筆すべきことはない。

ランクFのモンスター。

このモンスターに苦戦するリーン君って。ぷぷぷっ!

--------------------


おい、鑑定さん。何、勝手に鑑定してんの!




「リブロス。もう大丈夫?」

「ああ、ところで戦う直前何か言ってなかったか?」

「戦う直前?・・・ああ、鑑定で通常よりも巨大だから気をつけるようにって鑑定結果がでたんだ。ランクはCだって」

「「ランクC!?」」


リブロスだけでなく、隣でおとなしく休んでいたセブンも驚きの声を上げる。


「私たち、良く生き残った」

「ああ、そうだな。ランクDにしては偉く強いと思ったらランクCだったんだな。この分だと報奨金の上乗せがあるかもしれないな。」

「十分あり得る」


セブンもうんうんと頷く。

そんなこともあるんだ。


「それにしても・・・」


いきなりリブロスは真剣な顔をして僕の方を向き直る。

どうしたのだろうか?


「リーン。お前の鑑定、モンスターのランクまでわかるのか?なんだか非常識なのを通り越してちょっと不気味だな。」

「そうなの?」

「ああ、普通、鑑定がそんなのまでは教えてくれないぞ。ただ、その種族名と簡単な説明が頭の中に浮かぶって言われてるからな。」

「えっ!?僕の鑑定は人みないに語り掛けてくるんだけど」

「・・・お前、何かに取り憑かれてるんじゃないか?一回神殿でお祓いしてもらった方がいいかもしれないぞ。」

「えー、でもそうすると鑑定が使えなくなるよね。せっかく唯一使えるスキルだからなー。できればそれは避けたいなー。」

「・・・あのなあ。もし変な悪霊だったら体を乗っ取られるかもしれないだぞ。」

「そ、そうだよね」


リブロスには言えないが、鑑定さんは悪霊ではないと思う。

何しろ鑑定はこの世界に転生した時から持っているスキルで、その時から僕に語り掛けてきているからだ。

だから、この世界ではこのように喋りかけてくるのがこのスキルの仕様なのだと思っていた。

それが違うなら、この語り掛けてくるのは転生するときに会った神さまのいたずらの可能性が高い。

あの神様はならやりそうなことだからだ。





ジャイアントレッドフロッグを倒した僕たちはもう一つの目的である夜光虫の捕獲のため、ケロッグ平原の中央にある湖に来ていた。

ちなみに、各種エレメントフロッグの討伐数なのだが、レッド20、ブルー18、グリーン17、ブラウン13そして僕が倒したホワイト(?)1となっていた。

この調子なら帰りに討伐すれば各種上限の30近くにいくだろう。

ということで、現在野営の準備中だ。

とはいっても、初心者講習の時のように、食材集めや薪集めなどはする必要がない。

すでに準備済みだ。

・・・というか、常時僕の魔法鞄(マジックバック)の中に入っている。

リブロスとセブンはあっという間にテントを設置していく。

僕は夕食の準備をしていました。

料理を作れるのかって?

僕の小学校の時の家庭科の成績は5段階評価で3だった。

したがって、簡単な物しか作れない。

僕はけっして手際よいわけではないが、料理を作っていく。

その光景をリブロスとセブンはただただ見ていた。





「リーン、お前料理ができたんだな。でも、ちょっと変わった料理だな。」

「でも、おいしい。」


これが二人の評価だった。

料理ができると言っても、たいしたとのではない。

しかも、前世で覚えたレシピはほとんどが作ることができない。

なぜかというと、食材がないからだ。

醤油、味噌といった日本ではお馴染みの調味料がテムジンの街で見かけたことがないのだ。

もちろん、米も見たことがない。

異世界もの小説だと、主人公が米を探して辺境まで行ったり、調味料開発などをしたりするのだが、どうやらその必要なないようだった。

なにしろ、ラックさんに聞いたところ、東の国では普通に生産されていて、こちらにも出回っているそうだ。

ただ、テムジンまで流通していないだけで、頼んだところ仕入れてくれることになったのだ。

現在、入荷待ちなのだ。

ということで、僕が今日作ったのは単なる肉野菜炒めだ。

家庭科の成績3の僕にこれ以上を要求されても困るのだ。

もっとも、主食はご飯だった僕はお米が食べたくなってきたのは間違いないので、ラックさんが仕入れてくれたら料理に挑戦するつもりではあるのだが・・・。

まあ、何はともあれ、ご飯を一杯食べた僕たちは夜光虫の捕獲のために夜を待つのだった。





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