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僕、チート能力がないんですが  作者: 佐神大地
異世界に転生しました
30/67

この中で一番ランクが高いのは?



目を覚ましてから1週間が経つ。国王の使者はまだ来ない。

はっきり言って暇だった。

外に出ると英雄としてもてはやされる為、外に出ることもできない。

かと言って、この館の中でできることなど限られている。


「くーん。」


ソラが僕にすり寄ってくる。

ここ最近は、ずっと僕に甘えてくる。

散歩に行きたいのだ。

ずっと館の中にいるため、ソラも運動不足になっているのだ。

でも、街中を歩いていてもすぐに人に捕まって一歩も進めなくなるもんな。

実際、先日試しに外に出た時は、門の前で住民に捕まり大変だった。

ソラも撫でまわされて、とても不機嫌そうだった。

そのため、せめてもと、館内を散歩することにした。

ソラには物足りないだろうが。




「おう、リーン。暇そうだな。」


領主の執務室からバラックさんが出てきた。

そういえば、バラックさんはここ最近、よくここに訪ねてきている。


「また来てたんですね。」

「ああ、いろいろと手続きが複雑でな。」

「手続き?」

「そういえば、お前には言ってなかったな。この前のオークとの戦いで俺もついにランクBになったんだ。」

「おめでとうございます」

「それで冒険者を辞めたんだ。」

「えっ!?せっかくランクが上がったのにですか?」

「元々引退は考えてたんだ。なにしろ、もう34だしな。ただ、ランクCだと再就職先があまりないんでな。仕方なく続けてたんだ。」

「そうだったんですか」

「ああ、そうしたら、この間の戦いでランクがBに上がるだけでなく、再就職先まで見つかったんだ」


バラックさんはとてもうれしそうだ。

よっぽど良い、再就職先が見つかったのだろう。


「それでどこに就職するんですか?」

「ああ、この街の冒険者ギルドのギルドマスターに内定した。」

「ギルドマスター!?」


プッサンの新ギルドマスター選定はかなり難航したそうだ。

何しろ前ギルドマスターが信頼を地に落としてくれたからだ。

そのため、他所から来たものではまず務まらないだろう、ということになった。

ところが、街の有力冒険者は全員、街から逃げ出していた。

そのため、難航していたそうだ。

そこで白羽の矢が立ったのが、今回のオークとの戦いで活躍したバラックさんだったそうだ。

彼の雄姿は街の多くの人が見ていた。

そして、的確な指示は多くの冒険者が感嘆した。

そのため、街の住民、冒険者からの賛成を取り付けやすかったそうだ。

さらにはテムジンの冒険者ギルドのマスター、リカルドさんが強く賛成に回ってくれたのだ。

そのおかげで、バラックさんが新ギルドマスターの座に座ることとなった。




「おめでとうございます」

「ありがとう。」

「で、リーンは何をしていたんだ?」


僕は現状を説明する。


「なるほどな。・・・それならいい依頼があるぞ。」

「依頼ですか?」

「ああ、実はな、この館を捜索した時に、地下に秘密の通路を発見したんだ。」

「秘密の通路ですか。」

「ああ、たぶん領主が秘密裏に逃げるように作られた通路だと思うんだが、中にモンスターが生息していたんだ。そこで、封鎖するまえに中の調査とモンスターの討伐が決定したんだ。」

「はあ、」

「お前に中の調査を依頼したいんだが、どうだ?」

「僕一人ですか?」

「いや、お前ひとりだと、マッピングとかできないだろう。誰か補助を何人か付けるぞ。」


ソラの方を見ると、「いつでもOK」とばかりに目を輝かせている。


「それじゃあ、よろしくお願いします。」

「おう、3日で人選を決める。待っておいてくれ。」


そう言うと、バラックさんは足早に館を出て行った。





それから5()()()、地下通路探索のメンバーが集まった。

初心者講習でいっしょだったリブロスとセブン、回復呪文を使えるソフィアさん、そしてプッサンの冒険者ギルドの受付嬢だったフローラさんの4人だった。


「遅くなってスマン。プッサンの冒険者ギルドは人手不足でな。仕方ないからテムジンの冒険者に来てもらったんだ。」


バラックさんは遅くなったことをひたすら謝っていた。

確かにオークとの戦いの時、現役を引退した冒険者を含めて十数名しかいなかったのだ。

人手不足なのも当然だ。

「おう、リーン。大活躍だったらしいな。俺はオーク戦には参加できなかったからな。これにセブンと応募したんだ。」

「・・・・・・」


二人は臨時でパーティーを組むことにしたそうだ。


「リーン君、久しぶり。お姉さんのこと覚えてる?オーク戦の後、リーン君の治療をしたのもお姉さんなのよ」

「そうなんですか。ありがとうございます。」

「いいのよ。代金はマスターからもらっているから。」

「はあ」

「今回はあなた達のお目付け役って感じで呼ばれたの。そこの新マスターにね。おかげでお姉さん、懐があったかくなってウハウハよ」


そういって、バラックさんを指さす。

バラックさんは慌てて目を逸らす。

どうやら、心配したバラックさんがベテラン冒険者のソフィアさんに掛けあってくれたようだ。


そして、最後の一人に目をやる。

フローラさんだ。


「えっと、フローラさんは冒険者なの?」

「・・・はい。元々は冒険者だったんですが、領主の罠に掛かって奴隷に落とされてしまっていたんです。今回皆さんのお陰で無実が証明されまして、晴れて奴隷から解放されました。今回、マスターにプッサン代表として行ってほしいとお願いされました。職業は狩人でマッピングもできます。よろしくお願いします。」


こうして、即席のパーティーが結成されたのだった。





「それじゃあ、パーティーのリーダーを決めましょうか。」

「リーン君でいいんじゃない?」


僕の提案にソフィアさんが僕を推す。


「えっ。こういうのってランクの一番高い人がなるんじゃないんですか?」

「そうよー、私はランクDよ。」

「俺たちはEだな。」

「・・・・・・」

「私は元ランクDですが、ブランクが長いのでリーダーは遠慮させていただきます。」


僕はランクFだから、やはりソフィアさんが一番高い。


「ね、やっぱりリーダーはリーン君ね。」


ソフィアさんは納得したように言う。

それにリブロスとセブンが頷く。


「何言ってんですか。僕が一番したでしょう。ランクFですよ」

「リーン君、何言ってんの?」

「お前、聞いてないのか?」

「・・・・・・」

「リーンさん?」


僕の言葉にみんなが呆れた顔で見ている。

そして、その視線がバラックさんの方に向く。


「バラック。もしかして、リーン君に伝えていないの?」

「えっ?それって、リカルドさんが伝えるってことになってたはずだろう。」

「バラック。特例の昇格はギルドマスターが伝えるってきまりでしょう」

「ああ、だからリカルドさんが・・・。ああ、!?」

「そうよ。あなたがこの街のギルドマスターなのよ。しっかりしてよねー」


ん?何の話をしているんだろう?

緊張してカチコチなバラックさんが僕の前に来ると咳ばらいをする。


「おっほん、リーン」

「はい」


思わず敬礼してしまう。

その光景を外野はクスクス笑って見ている。


「この度のオークとの戦いで多大な功績をあげたことを考慮して、ランクをFからCまで一気にランクアップすることを決定した。これからも冒険者として頑張ってくれ。」


・・・・・・えっと、この茶番は何なんでしょうか。

僕がランクCまでランクアップ!?

いやいやいやいや、ありえないでしょう。


「ということで、リーダーはリーン君ね。なんでもお姉さんたちに命令してね。」


ソフィアさんが茶化すように言ってくる。

僕は何が何だか分からず、ただただ立ち尽くしていた。






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