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ジサツガール  作者: V-Jack
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ジサツガール

私は今、絶望している。理由はわからないけれど、絶望しているようだ。嫌だなあ。半紙に墨が染み込んでいくみたいに、私の心は黒く染まっていく。私は、なぜ生きているのだろう。自問自答した。答えなどわかるはずもなく、気分はますます沈んでいくばかりなので、もう死んでしまおう、と思った。



私は、布団の中でどのようにジサツをするか考えた。でも、考えるまでもないか。今日もなるようになるのだろう。私は、ジサツについて思いを巡らせた。その時にはもう、不安の影は薄くなっていたみたいだ。私は、ジサツを決行した。



自然公園の周りは、紅葉で溢れていて、とても美しかった。葉の赤を見ると、やっぱり秋なんだな、と、改めて感じる。まだ夕方なので人気があったが、日が出ている内に死にたい私だった。

夕日に照らされた公園で、追いかけっこをする子どもや、犬を連れて歩く老人や、手をつないでいるカップルを見ると、私も、この世界で生きていていい存在のように思えた。しかし、ジサツ願望の方が勝っていたのはいうまでもない。



人気のない場所に行って、バッグから縄と折り畳み式の踏み台を取りだす。

こんなに美しい紅葉の木で首を吊って死ねるのは、光栄なことだ。でも、後処理の人は困るだろうなあ、きっと。



太い枝に縄をかけ、その木の下に台を用意する。私は、縄を首に掛けた。遂に、私は死んでしまう。木々がざわめき、風が肌に冷たい。夕日が私を天に誘っている。死を意識した時、人は初めて世界を意識できるのかもしれない。



私は震えた。それは恐怖ではなく、むしろ興奮に近い感情だった。私……、死んでしまうのね……。ああ! 死の直前のこの高揚のなんと美味たることか!

私は思い切り踏み台を蹴り飛ばした。縄が私の首を絞める。苦しくて、死んでしまいそうだ。絞られる雑巾になった気分。

私は、意識が朦朧とする中で、紅葉を見た。紅葉の赤は、血の赤とは違う色だな。私も、落ち葉のように落ち、土に還りたいものね。



これが昨日のハイライトで、今日は少し気分がいい。ジサツの効用というものは、確かにある。枯れた葉が落ちるように、私の不安な気持ちも、きっと死ぬ。



ところで、この「ジサツ」というのは、実際に死ぬ訳ではなくて、私が生み出したストレス解消法の「想像自殺(通称:ジサツ)」なのである。自殺願望JKの自然な発露先だ。「死」というのは、一つの救いだと思う。でも、実際に死ぬのは怖いので、こうして想像の中で死んでいる。ジサツは、私にとってのエンターテイメントなのだ。次に、どんなジサツをするか考えて、私は明日も生きていける。








主人公の女の子は、高校二年生で、

如月桐 (キサラギ キリ) という名前です。

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