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高安女子高生物語  作者: 大橋むつお
94/112

95:〔金の心〕

高安女子高生物語・95

〔金の心〕         



 こんな夢を見た。


 どういうわけか、学校のプールサイドをグルグル歩いてた。誰も居てへん、そやけど学校の水着着てるよってに授業なんかもしれへん。かすかにみんなの声やら宇賀先生の声が聞こえる。やっぱり授業中。

 うちが一人勝手にうろうろしてても、だれもなんにも言わへん。シカトとちゃう。みんなうちの存在に気ぃつこうともせえへん。

 そのうち、胸がモゾモゾ(ドキドキとちゃう)してきて、あろうことか、水着を通してうちの心が出てきて、受け止めた手の上でプルンプルン。プルンプルンやけど、金色に輝いてた。せやからうろたえながらも、なんか凄いと思てた。


「うちの心は金でできてる!」


 で、喜んでたら、その金の心が手を滑ってプールの中にポチャンと落ちてしもた。金の心はドンドンプールの底に落ちていって見えへんようになっとしもた。なんでかプールのそこだけが深くなってて、暗く見える。

「先生、心を落としました!」

 そない言うても、先生はチラ見しただけでシカト。クラスのみんなは見向きもせえへん。

 いつもやったら平気で飛び込めるプールやねんけど、プールには大きな穴が開いてて底が見えへん。心は、その穴の中に飛び込んでしもたみたい。


 オロオロしてるうちに、プールの穴の中からヴィーナスみたいな女神さまが現れた。


「明日香さん。いま、このプールに心を落としたでしょう? 明日香さんが落としたのは、鉄の心? 銀の心? それとも金……メッキの心?」

 これて、なんかに似てるけど、ちょっとちゃう。金は金で、金メッキやあらへん。せやから、うちは正直に言うた。

「三つとも違います。うちが落としたんは金の心です!」

「困ったわね。落ちてきたのは、この三つしかないのよ」

「せやけど、ちゃいます」

「でもね……」

「うち、自分で探します!」

 そない言うて、水に飛び込もうとしたら止められた。

「そのままの格好で飛び込んでも、ここは、ただのプールよ。あの底の穴にはたどりつけない」

「どないしたらええんですか?」

「裸になりなさい」

「……裸みたいなもんですけど」

「ダメ、水着を着ていてはたどり着けないわ。それ脱がなくっちゃ」

 そない言うたら、女神様は、スッポンポン。微妙なとこは、ごく自然に手で隠してる。


 ……うう、どうせみんなシカトしてるんや!


 そない思うて、うちは裸になった。

「いやあ、あすかスッポンポンや」

「ヘアヌードや!」

「佐藤さん、裸になったらあかんでしょ!」

 そんな声が聞こえてきたけど、うちは構わんと、プールに飛び込んだ。いったん顔を出して精一杯空気を肺に溜めると、うちは穴を目指して飛び込んだ。穴の中に入ろうとしたら、なんか怖なってきて、なかなか進まれへん。やっとの思いで穴に入ろうとすると、妙な抵抗感。それも、なんとか突き破って中に入ると、真っ暗で先が見えへん。だんだん息が苦しくなってくる。

――あかん、もう、もたへん!――

 そこで目が覚めた。


 ゆかりからメールが来てた。


――美枝のことは、心配いりません。なんとかまとまりつつあります。アスカは自分のことに集中して――


 カーテンを開けると、台風一過の上天気、ちょっと寂しい心は押し殺して、MNB47の鬼のレッスンに出かけた。


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