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ガベージブレイブ(β)_067_アリー

4月15日に2巻が発売になります。

2巻ではいくつかのことが明らかになります。

楽しみにしてください。

挿絵(By みてみん)

 


 世間話をしてから聞こうと思ったが、テンプルトン王国の貴族であるアリーが他国である、このエンゲルス連合国までわざわざやってきているのだ。

 何か急ぎの用があるのだろう。


「大したことではありません。私をツクルさんの妻にしてほしいと思っただけです」

「ぶふっ!?」

 俺は口に含んだお茶を吹き出した。


「アルテリアス様……」

 ハンナの動きが止まり、ポツリと呟いた。

「カナン、一ノ瀬さん、そしてハンナ。私もお仲間に入れていただけないでしょうか?」

 アリーは三人を順に見て頼み込んだ。

 てか、そこに俺の意思はないのか? その前に妻ってなんだよ?


「ご主人様、少し席を外してほしいのです」

「ん、カナン、どうした?」

「ツクル君、ここからは女同士で話があります。少し席を外してください」

「一ノ瀬?」

「ご主人様、申し訳ありませんが、ご退室を」

「………」

 ハンナがリビングの扉を開けている。俺に出ていけということだろう。

 分かったよ、出ていけばいいんだろ! ああ、出ていくさ!


 ぽっつーーーん……。

 リビングから出された俺って、なんなんだろうか?

「なぁ、ベーゼ。俺はこの家の主だよな?」

「……然様で」

 なんだよその間は!?

 だいたいだな、お前が俺に断りもせずにアリーを連れてきたせいなんだぞ!

「………」

「………」

 お前、無表情すぎだぞ。なんか言えよ。


「ご主人様、お待たせいたしました」

 しばらくすると、ハンナが呼びにきた。

 別に待っていないどさ……。


 リビングに入ると、カナン、一ノ瀬、アリーの三人が談笑していた。

 さっきは少しトゲトゲとした雰囲気だったのに、今は和やかな雰囲気だ。

 いったいどんな話し合いがあったのだろうか?

「随分と楽しそうだな。何を話したんだ?」

「ご主人様、女同士の話を教えられないのです」

 カナンが俺に秘密を持った!?

「そうだよ、ツクル君。ガールズトークなんだから聞いたらダメなんだからね」

 ガールズトークって……一ノ瀬。

「とりあえずお世話になることになりました。よろしくお願いしますね、ツクルさん」

 そんなにいい笑顔で何があったんだ、アリー。

「……えーっと、よく分からんが、アリーが一緒に行動するのか?」

「その通りでございます、ご主人様」

 ハンナも納得しているのか。

「はぁ、分かった。よろしくな、アリー」

 三人とアリーでどんな話があったかは分からないが、アリーなら信用できるしいいか。

「こちらこそ、よろしくお願いします。ツクルさん。皆さん」

 アリーは丁寧に俺たちに頭を下げた。


 そうとなると、アリーの部屋を造らないといけないな。

 家を増築するとするか。

「こんなに簡単に家が増築されるなんて……素晴らしい力ですね」

 俺の作業風景を見ていたアリーがキツネ耳をピコピコさせて驚いている。

「この程度なら大した労力ではないぞ」

 アリーは貴族なので、ベッドは天蓋つきの豪華なものにしてみた。


「そういえば、アリーは伯爵家の跡取りなのに、こんなところにきてよかったのか?」

 ドルチェが殺害されてしまったので、アリーが伯爵家の跡取り娘なのは周知の事実だ。

「ご心配には及びません。父には多くの側室がいまして、もうすぐ三人が出産しますから」

「……え?」

 アリーは口を押えて楽しそうに笑った。

「ツクルさんからいただいたオークジャーキーの効果があったと父は仰っていましたわ」

 あれか……。俺は伯爵家を出る時に世話になった感謝の気持ちを込めて、オークの肉で作ったオークジャーキーを贈ったのを思い出した。

 オークジャーキーはオークの腰の肉から作った干し肉だ。その際にオークの肉と膀胱を酒につけ込んでいて、できあがったオークジャーキーを食べると、夜が強くなる効果があるのだ。

 三人もか……伯爵もがんばったんだな。

 基本的にオークジャーキーを食べた後に種つけをすると、男子が生まれるらしいから、伯爵家も安泰だな。


 ▽▽▽


「それでしたら、ルク・サンデール王国を完全に乗っ取ってしまえばいいのではないですか? その上で他国に圧力をかけ、他国の反応をみればいいのです」

 アリーにルク・サンデール王国の潰し方を相談したら、その上をいく回答をもらった。

「そもそも、乗っ取れるのであれば、乗っ取ればいいのです。このエンゲルス連合国もそうやって変えたのですから、同じようにすればいいだけです」

 もっとも被害が少なく、変革を手っ取り早くもたらす案だとアリーは主張した。


「アリーの話を聞いていたら、こんな簡単なことで悩んでいたのが恥ずかしいな」

「ツクルさんの仰る、クソジジィさんに嫌がらせするなら、クソジジィさんの周囲を全部こちら側に引き込んで、丸裸にすればいいのです」

「アリーさんってドライですね」

 一ノ瀬は感心したように呟いた。

「貴族なんてそんなものですよ。スズノさんもすぐに慣れますから」

「あはは……慣れたくない世界です」

 一ノ瀬は力なく笑うが、俺も貴族の世界に慣れたいとは思わない。

「他に意見はあるか?」

「「「………」」」

 誰もないようなので、早速ドッペルゲンガーを増員することにしたが、そこでまたアリーがいいことを言った。

「そのドッペルゲンガーに眷属を召喚するスキルをつけることはできますか? つけることができるのであれば、最初の一体を召喚すれば、あとはそのドッペルゲンガーが眷属を増やしていくでしょう」

「おう、そうだな! よし、その方向性でいこう!」

 元締め的なポジションのドッペルゲンガーをイメージして召喚してみた。

 ステータスを見てみると、なかなかの能力だ。これなら、人族至上主義の国を乗っ取るのを任せられるだろう。

 しかし、ロード オブ ドッペルゲンガーって長い種族名だな……。

 そうか、ベーゼのように名前をつけてやればいいんだ。

 そうすると、何がいいかな……? うーん、たしかイスラムの神か天使にイスラーフィールっていう審判の日にラッパを吹くのがいたな。

 善人ならドッペルゲンガーに存在を乗っ取られないのだから、審判みたいなものだろう。

 まぁ、善人と悪人を判断するのは俺の価値観なんだけどね。

 審判繋がりでイスラーフィールにするかな……でも別名のイスラフェルの方が俺的に言いやすいな。

「お前の名前はイスラフェルだ。全ての人族至上主義の国を乗っ取れ!」

「主様の命、しかと承りました」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 氏名:イスラフェル

 種族:ロード オブ ドッペルゲンガー レベル三百五十

 スキル:【存在吸収III】【存在隠蔽III】【眷属召喚III】【影魔法III】【物理攻撃無効】【魔法攻撃耐性II】

 能力:体力A、魔力S、腕力B、知力S、俊敏A、器用S、幸運B

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「ところで、人族の国には転移門というものがあると聞きましたが、このエンゲルス連合国にはないのですか?」

 転移門というのは、俺がクソジジィによってボルフ大森林に捨てられた時に通った扉のことだ。

「「「「………」」」」

 俺、カナン、ハンナ、一ノ瀬は顔を見合わせた。

「ある……と思うぞ……」

「それを使えば一瞬で人族の国々を回れるわけですよね?」

「そうだな……」

「でしたら、転移門を使って手っ取り早くそのドッペルゲンガーを送ってしまいましょう。なんでしたら、クソジジィさんのいると思われる、神殿に乗り込んだっていいのです」

「「「「なるほど!」」」」

 すっかり忘れていたよ。

 こういうことを思い出させてくれるアリーを仲間にできて、本当によかった。


「アリー……」

「はい、なんでしょうか?」

 俺はアリーの肩を掴んだ。

「アリーを俺の軍師に任命する!」

「……はぁ? 軍師ですか? 私などに軍師が務まるでしょうか?」

「アリーなら大丈夫だ!」

 アリーを抱き寄せた。

「まぁ……」

 軍師を得た俺の心の喜びがそうさせたのだ。

「ズルいです、ご主人様。カナンも抱きしめてほしいのです!」

 カナンが抱きついてきたことで我に返った俺は、アリーを抱きしめていることに気がついた。

「す、すまない……」

「いいのですよ。私はツクルさんの妻にしてもらいにきたのですから」

「おぉ……そうだったな」

「ご主人様~」

「カナン、分かったから、ちょっと離れてくれるか?」

「えー、嫌なのです~」

 まったくこいつは……。でも可愛い奴だ。頭を撫でてやると柔らかい髪の毛が気持ちいいな。

「ごほんっ!?」

「ご主人様……私も……」

 一ノ瀬とハンナがなんだか羨ましそうに見ている。

 分かったよ、二人も抱き寄せた。なんだか俺ってリア充だよな。

 四人から放たれる香りが俺の心を温かくしてくれる。こういうの、いいかも。


「ごほん。ちょっと取り乱した。すまなかった」

「御主人様にぎゅーっとされるのなら、いつでも取り乱していいのです!」

「ツクル君……。私もいつでもいいから……」

「ハンナの身も心もご主人様のものです。好きになさってください」

「うふふ、私はツクルさんのものですよ」

 おふ……やっぱリア充だ。やべー、ちょーやべー。俺がリア充だなんて、信じられないぜ!?

 いや、これまでもリア充を感じていたけど、こうして四人の美少女に囲まれていると、本気でリア充だと思ってしまうよ。


「えーっと、アリー」

「はい」

「俺の目的はクソジジィをぶっ倒して、人族至上主義の国を潰すことだ。その上で頼む。俺を導いてくれ」

「私の全てをかけて」

「ありがとう。頼りにしているよ」

 そうと決まれば、まずはアリーのステータス確認だ。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 氏名:アルテリアス・エイバス

 ジョブ:言霊師 レベル十九

 スキル:【言霊】【歌唱】【ソニックヴォイス】

 種族スキル:【聴覚強化】

 能力:体力E、魔力D、腕力F、知力D、俊敏E、器用D、幸運C


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 言霊 : 言葉の意味を具現化する。

 歌唱 : 【言霊】の強化スキル。歌によって【言霊】の力を増幅する。

 ソニックヴォイス : 音波による衝撃波で攻撃する。


 言霊師(ことだまし)は言葉に力を宿す職業のようだ。魔術師に似ているのかと思ったが、魔術師は魔力を具現化させる職業だから、言葉自体に力があるわけではない。

 それに魔術師は詠唱する必要はないが、言霊師は言葉に出したり、歌ったりする必要があるので、俺が魔術師に要求する詠唱をしないというのは論外だ。


 あと、イスラフェルにはエンゲルス連合にある転移門を使って、全人族至上主義の国へ眷属をばら撒くように命じた。

 あとは結果報告を待っていればいい。


「よし、装備を創るぞ!」

 俺が【等価交換】で創り出したアリー用の装備がこれだ!


 歌姫のマイク : 歌唱効果上昇(極)、ソニックヴォイス効果上昇(極)、私の歌を聞け!

 歌姫の衣装 : 魔法耐性上昇(極)、物理耐性上昇(極)、見えそうで見えないのがアイドルなの♡

 歌姫のカチューシャ : 言霊効果上昇(極)、知力上昇(極)、オプションでキツネ耳を犬耳や猫耳に見せる効果もあるよ♡


 完全にアイドル仕様だ!

 ピンクを基本にしたひらひらアイドル衣装である。

 アリーは美人だから、こういった可愛い服を着ても似合うと思うんだ。


 

書籍はWeb版とはかなり違ったストーリーになっています。

Web版が物足りない方は、書籍を読んでいただけるとスッキリするかもしれません。

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