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ガベージブレイブ(β)_041_しっかり見ればどうということはない

ネット小説大賞受賞。

ありがとうございます。

 


 ボアグノンのトリッキーな動きにも惑わされずにハンナは猿どもを殴り倒していく。

 数が多いので一体、一体倒していくハンナの攻撃は非常に効率が悪い。

 ハイエナウルフはカナンの先制攻撃でかなり減ったがそれでもまだ数百はいる。

 ここにきてサーニャの斧が凄いことになってきて一投で数匹を餌食にするが、魔物の圧倒的な数は一向に減る気配がない。


「貫け!ガトリングファイア!」

 小さな火の玉が高速で飛翔していく。

 しかも一度に百個程の火の玉が飛んでいくのでハイエナウルフの数を一気に減らす。

 この火の玉はハイエナウルフ程度なら貫き、そして燃やしつくすほどの威力を持っている。

 やはり数に対するにはカナンの魔法の方が分が良い。


 ハンナやサーニャから見たカナンの魔法は常識外れらしい。

 逆にカナンからはハンナとサーニャのケモミミ物理姉妹も常識外れだという。

 俺からしたら三人とも異常だ。

「「「ご主人様が一番異常です!」」」

 何故そこでハモる!?と思ったね。


 今戦っている群れは大群の先遣隊のようなものだ。

 この後にはレベル二百オーバーの魔物が控えている。それが本隊と言ってよいだろう。

 本隊が来る前に三人にはレベルを上げてもらおう。

「ぷっは~、ご主人様の作られたジュースは美味しいです!」

 カナンが小瓶に入ったジュースを飲み干す。

 風呂上がりのオヤジみたいに腰に手を当てて飲むなよと言いたい。

 カナンに与えたのはオレンジから搾ったジュースに魔力が回復する効果を与えている物だ。

 小瓶に分けてあるので、十本をカナンに渡してある。


「カナン。ハンナとサーニャの休む時間を稼いでくれ」

「分かりました!」

 魔力の回復したカナンはガトリングファイアを撃ちまくる。

 範囲攻撃の中でも魔力の消費が抑えられるガトリングファイアは圧倒的多数に対して使いやすい魔法のようだ。

 これは【魔力操作III】を持っているカナンだからできることでもある。


「はぁ、はぁ、数が多すぎます……」

「ふー、お姉ちゃん腕が上がらなくなってきたよ……」

 カナンの援護で後方に引くことができたケモミミ姉妹は限界を迎えていた。

 特にハンナの疲労は極限状態だったようだ。

 もっと早く気づいてやるべきだったと少し反省をする。


「これを食べろ。疲労が回復するぞ」

 二人に渡したのは忙しい戦場でも簡単に食べることができるハンバーガーだ。

 具はシンプルにジャイアントバッファローの肉で作ったパティとレタスと玉ねぎにトマトのケチャップとマスタードで味付けをしている。


「はむ、かみかみ……美味しい!それに疲れが吹き飛びました!」

「はむはむ……本当だ~、腕が上がるよ、お姉ちゃん!」

「「ご主人様、ありがとうございます!」」

「おう、辛くなったらこれを食べろ。行儀は悪いが動きながらでも食べられる。魔物を相手にしていておかしな話だが安全第一でな」

「「はい!」」

 疲れがにじみ出ていた表情が一変し二人は元気いっぱいで戦線に復帰した。


 都合、十時間。

 やっと雑魚魔物の群れをせん滅した三人。

 俺の作ったジュースやハンバーガーで魔力や肉体疲労、精神疲労が回復はできるので三人の表情は明るい。


「よし、今日はここまでだな。後方に下がって野営をするぞ」

「「「はい」」」


 千体近くもの魔物をたった三人で倒したのだから疲労するなと言う方がおかしいが、彼女たちに疲労はない。

 俺の作った物を食べたり飲んだりしたら回復してしまうのだ。

 考えたら凄いアドバンテージだよな。ちょっと疲れたと思った時点で食べれば疲労が吹き飛ぶんだから。


「よし、今日は三人とも頑張ったからスペアリブとパエリアにするぞ」

「スペアリブ?パエリア?それはどんな料理なのですか?」

 この世界にはスペアリブとパエリアはないのか?

「スペアリブはダンガーピッグの骨付きばら肉を甘辛いタレに漬け込んだものを焼いた料理だ」

 ダンガーピッグはレベル百八十の豚型の魔物で大きさは牛程もある。

 見た目はおっとり系で大きさを除けば可愛らしいのだが、近づくと縄張りを荒らされたと思い怒り狂って襲ってくる。


「うわ~美味しそうですねぇ~」

 カナン、涎を拭け!

「聞いただけで食欲が湧きますね」

「ダンガーピッグなんて食べられるのは世界広しといえど、私たちだけですよね。楽しみです!」

 ケモミミ姉妹は良いコメントするね。お兄さん、頑張っちゃうぞ!


「パエリアは米料理の一種だな。色々な具を入れた料理だ。これも美味いぞ」

「じゅるる~。ご主人様、早く食べたいです!」

 わ、分かったから涎を拭けよ!

「「楽しみです!」」


 ケチャップと醤油、砂糖、酒、マスタード、ニンニクのおろしたもの、ショウガをおろしたものをボウルに入れてタレを作る。

 ダンガーピッグの骨付きばら肉をタレに漬け込んで馴染ませる。

 程よく味がしみ込んだら本来はオーブンで焼くが、ここは【究極調理】で焼く。

 全ての工程を【究極調理】で一括でできるが、それでは楽しみがないので、できることは自分でしている。

 醤油ベースのタレが香ばしい香りを立たせる。

 その匂いを嗅いだカナンの目が獲物を狙う猛禽類のように鋭い……。


 パエリアはエルリン川で獲ったエビと貝、そしてグレートバードのもも肉が具となる。

 巨大なフライパンに油をひいてニンニクを炒める。

 そこに玉ねぎ、ピマーン、キノコ類を入れてグレートバードのもも肉と一緒に炒める。

 更にといだ米を入れて炒める。

 水を入れて塩コショウで下味を付ける。

 ケチャップを入れてから色付けにサフランのような香辛料を入れる。

 最後にエビと貝を入れ蓋をして炊くと出来上がりだ。

 蓋を取るとニンニクベースの食欲を誘う香りが立ち上る。

 だから涎を拭けよ。


 肉と米だけでは寂しいので最後にサラダを作る。

 レタスを適度な大きさにちぎり水にさらしておいた玉ねぎのスライス、キュウリ、トマト、そしてコッコというレベル百の鶏のような鳥の胸肉の薄切りを盛り付ける。

 そこにレモンベースの少し酸っぱいけど爽やかなドレッシングをかける。


 出来上がったスペアリブ、パエリア、サラダを机の上に並べ取り皿を置く。

 匂いがすきっ腹の俺たちを誘う。

「わ~、いい匂いです!」

 カナンの目は料理から離れない。

 待て状態の犬のように料理を右に左に動かすとその動きに連動してカナンの顔も右に左に動きそうだ。


「食欲を誘う匂いですね」

 ハンナは相変わらずクールビューティーで食べ物では釣られない感じだね。

 皆の取り皿にパエリアとスペアリブを取り分けていくその姿はメイドそのものだ。

 カナンの皿に料理を取り分けようとしたが、そこでハンナの手が止まる。

 カナンの無言のプレッシャーにあてられているようだ。

 ……山のように盛られたパエリアにドンッとスペアリブを積み上げていく。

 それを見たカナンの目が緩む。口も緩み涎が……。

 パエリアとスペアリブだけじゃなく、サラダも大盛のカナンの取り皿に苦笑いを浮かべる俺。


「お姉ちゃん、これがダンガーピッグの肉なんだね!」

 何故かサーニャはダンガーピッグの肉に執着心を見せる。

 いったい彼女とダンガーピッグとの間に何があったのだろうか?


「よし、カナンも待ちきれないようだから食べるぞ。いただきます」

「「「いただきます」」」

 俺は最初にサラダを食べる。

 どの野菜も瑞々しく新鮮なのが分かる。

 レモンベースのドレッシングも爽やかな風味で俺は好きだ。


 次はパエリアに口を付ける。

 ニンニクの香りが鼻を抜ける。

 他人のニンニク臭は好きではないが、食べるのは好きだ。寧ろ好んで食べる。

 今度餃子でも作ろうかな。ニンニクが効いた餃子も美味いよな。


 そしてメインディッシュのスペアリブを手でとりかぶりつく!

 醤油タレの風味が肉の臭みを消しているし、しっかりとした歯ごたえもある。

 脂身も上品な甘さだし胃がもたれるようなしつこさはない。

 素直に美味しい。


「ご主人様、美味しいです!」

「そうか、沢山あるからな」

「はい!」

 カナンの口が止まらない。

 いつも思うのだが、カナンの細い体のどこに料理は消えていくのだろうか?

 まるで料理専用のブラックホールのように巨大なフライパンのパエリアと山のようにあったスペアリブが消えていく。

 サラダは最初に盛り付けられたものをちょびちょびと箸休めのように食べている。

 サラダも嫌いではないが、主食とメインディッシュを食べるのに全力を注いでいるようだ。


 ハンナとサーニャの姉妹は一般的な食欲だ。

 獣人なので普通の人族(カナンは例外)に比べると食べる量は多いようだが、誤差範囲だろう。

 俺的には大して食べてもいないのに「お腹一杯」とか言う若い女性は好きではない。

 歳を取って食が細くなったとか、病気で食欲がないと言うのならいいが、健康なら食え!と言いたい。

 それに残されると、そんなに不味かったのか?と思ってしまう。

 カナンのように沢山食べてくれる女性の方がどれだけいいか。

 まぁ、これは料理を作る側の考え方だな。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 翌朝、魔物の本隊を迎え撃つべく軽い食事をした。

 まぁ、言うまでもなくカナンはガッツリだ。


 魔物の本隊はヘルベアーやムスクレパードのようなレベル二百以上の魔物が数十体だ。

 この群れをせん滅すれば今回はミッションコンプリートだ。


 ヘルベアーが地響きを立てながら進んでくる。

 そこにカナンの広範囲殲滅魔法が炸裂する。

 焼けただれた皮膚の放つ臭いが周囲を覆う。

 これが戦端となりハンナとサーニャが前に出る。


「はぁぁぁぁぁっ!」

 瀕死のダメージを負っているヘルベアーを殴り飛ばし勢いをつけるハンナ。

「やぁっ!」

 同時にサーニャの斧もヘルベアーの頭を吹き飛ばす!

「私も負けていません!」

 カナンの魔力が膨れ上がるとガトリングファイアが放たれる。

 カナンの無詠唱も板についてきた。


 ガトリングファイアはムスクレパードなどの動きが速い魔物には避けられることもあったが、それでも二十体程が大きなダメージを負っている。

「よし、俺も暴れるか。カナンはハンナとサーニャの援護を頼むぞ」

「はい!」

 レベル百代の雑魚でレベルを上げる必要はなかった俺は今まで手を出さなかったが、本隊の後方にいるアイツだけは別だ。


「ハンナ、サーニャ、雑魚は任せたぞ!」

「は、はい!お任せ下さい!」

「ご主人様、行ってらっしゃいませ!」

 俺は二人と二人が戦っている魔物を飛び越えその後方で戦況を窺っていたエンペラードラゴンを目指す。


「てかさ、何で三体もいるかな?」

(ふふふ。やっと私の出番だな!)

 三体のエンペラードラゴンを前にして黒霧が妙に高いテンションだ。

 アンティアとの戦いでは良いところなしだったし、地面に突き刺さったまま忘れられていたから拗ねていたことを考えるとこっちの方がいいけどさ。


(【覇動】だけは発動させるわけにはいかないぞ)

(分かっている。【覇動】を受けたら直撃でなくてもあの三人では死ねるからな)

 レベルが二百を超えたばかりの三人が【覇動】を受ければ、良くて瀕死、悪くて死ねる。

 スキルの【鉄壁】や【絶対防御】を上手く発動できれば良いが、タイミングが合わなければジ・エンドだ。

 カナンに至っては【覇動】を完全に防ぐ手立てもない。


「グルルゥゥゥゥゥ」

 三体のエンペラードラゴンはまるで俺を待っていたかのようだ。

「どうやら待たせたようだな」

 黒霧を抜くと正眼に構える。

 肩の力を抜き三体を見据える。


 一体のエンペラードラゴンがブレスの構えを見せる。

 俺は【俊足】を発動させそのエンペラードラゴンの隙だらけの首下へ潜り込み黒霧で突きを放とうとするが、そこに別のエンペラードラゴンの尻尾の攻撃が飛んできたので俺も飛びのく。

「ちっ、面倒な!?」

 エンペラードラゴンのブレスの溜の時間が終わり俺に向かって放たれる。

 大気が震え、木々が薙ぎ払われ、大地が抉らる。


「おいおい、お前たちの住処(すみか)だろ?もう少し自重したらどうだ?」

 ブレスを躱すのは大したことはない。

 闇の中に潜ってしまえばブレスは届かない。

 しかし俺は敢えて【鉄壁】を発動しブレスを防御する。

 闇に潜らなかったのは、俺の姿が消えると【覇動】を使いかねないからだ。


 【鉄壁】の有効時間が切れる前に一体のエンペラードラゴンに斬り込む。

「はぁぁぁぁぁっ!」

「グラァァァァァァァァァッ」

 左前脚を斬り落として、更に胴体に斬りかかろうとしたが、そこで別のエンペラードラゴンに邪魔をされ飛びのく。

 しかしそこで間を開けると斬り落とした左前脚が【超再生】で再生してしまうので畳みかける。

「うりゃぁぁぁぁぁっ、流星牙斬衝りゅうせいがざんしょう!」

 黒霧を通じて手応えが伝わってくる。

 黒霧の【必殺技(二)】である流星牙斬衝は一瞬で数十、数百の突きを放つ技だ。

 俺は流星牙斬衝を放ち手負いのエンペラードラゴンの胴体を爆散させてその勢いのまま爆散したエンペラードラゴンの上を前宙をしながら飛び越える。

 スタッと地面に着地して決まった!と思ったらその余韻に浸る間もなく生きているエンペラードラゴンが攻撃をしかけてくる。

 戦いの美学を分かっていないトカゲはやだねぇ~。


 二体となったエンペラードラゴンと激闘を演じる。

 こいつら上手いこと連携してきやがる。

 おかしいと思い【詳細鑑定】を発動して二体を見てみると、何とスキルの中に【連携】というスキルがあった。

 これはスキルを持っている仲間同士が連携するスキルだ。


 孤高の帝王であるエンペラードラゴンは俺に倒され過ぎて帝王の座から陥落したのかもしれない。

 まぁ、三体で現れた時点で帝王ではないと思う。

 帝王とは唯一無二の存在なのだから。


 しかし先ほど俺が倒した一体と残った二体では動きが違う。

 もしかしたら倒した一体には【連携】がなかったのかもしれない。

 何故そのような中途半端なのかは分からないが、【連携】する二体はお互いをフォローしながら隙がないのに、倒した一体はそこまでではなかった。


(面倒だな、何か対処法はないのか?)

(この程度の連携で泣き言を言うとは、修業が足りないようだ)

(ちっ、五月蠅いな)

(気が短いのもマイナスだ。面倒な相手でも穴が見つかるまで気長に観察するものだ)

(何だよそれ、まどろっこしいな)

(本当の達人は相手の雰囲気を見て弱点が分かるものだ)

(……)


 黒霧は相変わらずだ。

 戦いにおいて、とても厳しい。

 まぁ、甘々な黒霧なんて気持ちが悪いけどな。


 癪だが黒霧の言う通りに二体のエンペラードラゴンの動きを観察する。

 何度も同じ動きをしてエンペラードラゴンたちの動きを見続ける。

 そして分かったのがこの二体はオフェンスとディフェンスの役割をしっかりと分担していることだった。

 オフェンス型のエンペラードラゴンをAドラ、ディフェンス型のエンペラードラゴンをDドラと名づけ区別してみる。


 俺が動くとDドラが反応する。

 俺がAドラの方に攻撃を仕掛けようとして動いたとしてもDドラの方が前に出る感じでAドラをフォローする。

 なかなか緻密だが、しっかり見ればどうということはない。


「お前たちは体が大きすぎるんだよ!」

 AドラをDドラが庇おうとして動く。

 しかし体が大き過ぎるのが仇になり死角ができる。

 その死角に飛び込んだ俺はAドラへ接触すると【鱗落とし】を発動させる。

 このスキルはアンティアとの戦いの後に何故か発現していたスキルだ。

 スキル一の欄に発現していたので『調理師』由来のスキルだ。まぁ、名前を見れば『調理師』のスキルなのは一目瞭然だな。


 体中の鱗が落ちたAドラはあまりのことに悲鳴のような叫び声を上げる。

 Dドラは何が起きたのか分からず動きが止まる。

 ここで俺は更に追い打ちをかける。

「喰らえ、【皮剥ぎ】!」

「ギャオォォォォォォォ!」

 この【皮剥ぎ】もアンティアとの戦いの後に発現していたものだ。


 鱗と皮を剥がれ素っ裸?になったエンペラードラゴンは結構痛々しかった。

 そんなAドラはDドラに守ってくれるんじゃなかったのかよ!?といった感じの視線を向ける。

 それに対してDドラはその程度自分で回避しろよ!と視線で返す。

 険悪になる二体。

 と俺は勝手にセリフを入れてみた。


 よく見れば穴だらけの二体の連携。

 何だか興ざめしてしまったので、パパッと片づける。

 先ずは【超再生】が発動しているはずだけど全く再生する兆候がないAドラを【三枚おろし】でおろしてやる。

 この【三枚おろし】もアンティアとの戦いの後で発現していたものだ。

 アンティアとの戦いの後で発現したスキルは【皮剥ぎ】【鱗落とし】【三枚おろし】だ。

 本来は【解体】でできることが分割された感じだが、この三つのスキルは【解体】を使うよりも素材が高品質になる効果があるようだ。

 試しで使ってみただけだ!


 【三枚おろし】によって高品質の素材に切り分けられたAドラを【素材保管庫】に素早く回収してDドラを殴り飛ばす。

(おい、何故私を使わぬ!?)

(偶々だ、偶々)

(そ、そうか?)

 黒霧の抗議をひらりとかわし今度はDドラに蹴りをいれる。

(おい、わざとやっているだろ!?)

(偶々が重なっただけだ)

 顎を大きく上に向けたDドラ。ブレスだ。

「させるかよ!あーたたたたたたたたた!」

 俺の戦い方は黒霧を使うだけじゃないんだぞ!

 某漫画(アニメ)の末っ子で有名な無数の手で殴るシーンを思い浮かべながら殴る!

(絶対にわざとだ!)

(五月蠅いな、トドメはささせてやるからいいだろ!)


 黒霧が五月蠅いので黒霧を構え流星牙斬衝を放つとDドラの頭部が吹き飛び戦いはあっけなく終わった。

 最後のDドラの目は怯えた子猫のようだった。

 皇帝などと大そうな冠名がある絶対的な存在だったのだからあんな目はしてはいけないと思う。

 だけど俺は手加減をしない。

 手加減をして油断したところに大打撃を受けてはシャレにならん。


 最初は三体ものエンペラードラゴンが相手だから苦戦するかと思ったけど、やってみれば意外とできるものだな。

「圧勝!」

(エンシェントエルフにぼろ負けしたくせに)

(ぐっっ!それを言うな!?)

 根に持つ奴だな!?


 

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