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014_訓練

 


 黒霧を横に一閃しオーガキング(レベル百二十)の胴体を上下に分断し倒す。

 周囲にいたオーガ系の魔物は逃げようと三々五々と走り出す。

 それらのオーガたちに黒霧を振ると剣先から真空刃が放たれオーガたちを切り裂く。

 スキルでも何でもなく、剣を振るだけで真空刃が生まれレベル八十から百程度のオーガ種を紙のように切り裂いてしまう。

『ふむ、大分良くなったぞ』

「当然だ、今の俺なら剣であのエンペラードラゴンと戦って勝てるからな!」

『ふふふ、現代の剣聖殿はいつからそんなに自信家になったのだ?』

「お前の訓練に生き残ったのだ、自信だってついて当たり前だろ?」

『そうだ、私が訓練を施したのだ、剣においてツクルに並ぶものなどこの世にいない!』


 エンペラードラゴンを倒した俺は、レベルアップしただけではなく奴の肉を食べたことで多くのスキルを手に入れた。

 そしてダンジョンのクリアボーナスガチャで得た【等価交換】も馬鹿げた性能のスキルだった。

 そんな俺はそれから数ヶ月その場に留まった。

 それはエンペラードラゴンがダンジョンのボスだという特性を生かした経験値稼ぎと剣の訓練を黒霧から提案されたからだ。

 ダンジョンボスであるエンペラードラゴンは三日経つと再POPする。

 再POPしたエンペラードラゴンと戦い再び三日待ちエンペラードラゴンがPOPするのを待つの繰り返しだ。

 三度ほど再POPしたエンペラードラゴンを倒し、レベルが二百九十を超えたところで黒霧が剣の訓練を行うと言ってきた。

 何をするのかと聞いたら先ずは基本の型を体に覚えさせる為の素振りの反復だ。

 剣の型を覚えるのが優先だとひたすら黒霧を振る。


 そして三日するとエンペラードラゴンが再POPするので黒霧を握っての戦闘を行う。

 流石にこの戦闘では何度か死にかけたが、初代エンペラードラゴンの肉を食べて得た【闘神】や【絶対防御】、他にも【鉄壁】などのスキルを駆使して何とか勝つ。

 死にかけた時には片腕をなくしたりもしたが、エンペラードラゴンから得た【超再生】や【究極調理】の焼肉によって腕は元通りとなっている。

 そしてまた三日は型の訓練してエンペラードラゴンとの死闘、反復訓練、死闘を繰り返す。

 そのおかげで剣の扱いを体に覚え込ませた俺はレベル三百を超えた。


 レベル三百一になった時の黒霧の驚きと言ったらなかった。

『ななななななな、何でレベルが三百一になっているのだっ!?』

「何でって、限界突破の三段階目の条件をクリアしているからだけど?」

 気が狂ったのではと思うほど半狂乱となった黒霧。

 黙っていたのは悪いけど、あの時の話の流れなら俺が三段階目の限界突破をしていると気付いても良いものだけどな、と思う。


 氏名:ツクル・スメラギ

 ジョブ:調理師・レベル三百十

 スキル一:【究極調理】【着火】【解体】【詳細鑑定】【素材保管庫】【湧き水】【道具整備】【食材探知】

 スキル二:【暗視】【俊足】【投擲】【気配感知】【臭覚強化】【野生の勘】【連携】【集団行動】【囁き】【怪力】【屈強】【剛腕】【頑丈】【鉄壁】【格闘術】【直感】【剣術】【気配遮断】【偽装】【逃げ足】【絶対防御】【闘神】【覇動】【超再生】【物理攻撃耐性】【魔法攻撃耐性】

 スキル三:【木魔法】【風魔法】【影縫い】【闇魔法】【死霊召喚術】【土魔法】

 ユニークスキル:【等価交換】

 能力:体力S、魔力S、腕力S、知力S、俊敏S、器用EX、幸運EX

 称号:変出者、魔境の覇者、剣聖


 気配遮断 ⇒ 気配を消して、さぁ、女風呂へ♪

 偽装 ⇒ 姿やステータスなど何でも偽装しちゃうぞ!今日から君も詐欺師だね!

 逃げ足 ⇒ 一時的に『俊敏』を二段階引き上げるけど逃げるの?

 絶対防御 ⇒ 一時的にダメージを完全に遮断するよ。あの娘のスカートの中へ逃げ込むような感じ?

 等価交換 ⇒ 素材や魔力を消費して何でも創り出せるぞ!でも命大事にね♪

 闘神 ⇒ 全ての武器を使った戦闘術の神だぞ!総合格闘技じゃないからね♪

 覇動 ⇒ 覇者の波動を放出し、その金色のエフェクトはもう神だよ?

 超再生 ⇒ トカゲの尻尾のように切れてもまた生えてくるからね♪

 物理攻撃耐性 ⇒ 殴られるのが趣味の君にぴったりのすきるだお♡

 魔法攻撃耐性 ⇒ 魔法で焼かれたって丁度良い快楽に変えてくれるかもよ?


 クリアボーナスガチャで引き当てた【等価交換】はユニークスキルだった。

 このユニークスキルというのは世界に一つしか存在しないスキルだと【詳細鑑定】が教えてくれた。

 つまりそれだけ強力なスキルだということだ。


 俺はレベル三百十になるまでエンペラードラゴンと戦った。

 別に三百十が目標だったわけではない。剣の訓練をするためにエンペラードラゴンと戦っている内にこのレベルになっていたのだ。

 そして得た『剣聖』という称号。

 他に初代エンペラードラゴンを倒したことで『魔境の覇者』という称号もある。

 称号があっても能力アップやスキルの効果があるわけではない。

 もしかしたら何かしらの効果があるのかも知れないが、今現在は何もない。


 それから黒霧も進化した。

 見た目は殆ど変わっていないが、剣身の長さがほんの数センチメートル伸びたようだ。

 それと嬉しいのが進化したことで新たなスキルを覚えていたことだ。


 銘:黒霧(第二形態)

 スキル:【不壊】【鋭利】【浄化】【進化】【必殺技(二)】【経験値倍】

 能力:体力EX、魔力S、腕力G、知力S、俊敏G、器用G、幸運S

 称号:闘神剣


 経験値倍 ⇒ 所持者が得る経験値が倍になる。

 闘神剣 ⇒ 剣を極めし超越者が持つに相応しい神剣。


 実際、俺のレベルが三百十にもなったのはこの【経験値倍】の効果が大きいと思う。

 エンペラードラゴンのレベルは何度POPしても三百なので三百を超えた俺には経験値的に美味しくはない。

 それでも【経験値倍】があることである程度実感できる経験値が入っていたのだ。

 まぁ、レベルアップが目的ではなく、剣の訓練の為にエンペラードラゴンを狩りまくっただけなんだけどね。


 そしてついに俺の称号に『剣聖』が追加されたので、それを機に弱い者いじめのようなエンペラードラゴン狩りを止めて人里を目指して森を出ようと思ったわけだ。

 その途中で俺にチョッカイをかけてきた魔物は容赦なく倒している。

 そしてボルフ大森林の外円部で群れていたオーガたちが俺に戦いを挑んできたので、俺も容赦なく皆殺しにしたのが今現在の状況となっている。

 周囲は雪に覆われているのだが、一面真っ赤に染まっている。

 踏み固められた雪がオーガの血で染まり鉄が錆びた時のような臭いを出している。


 オーガとの闘いを終えてやっとボルフ大森林を抜ける。

 俺の目の前には雪に覆われた草原と思われる平地があり、周囲には魔物の姿も見えた。

 しかし草原の魔物は俺の姿を見るや否や尻尾を丸めて逃げ出した。

 どうやら草原の魔物のレベルは高くても八十程度で俺が圧倒的強者だと感じ取ったようだ。


 やっとボルフ大森林を抜けた感慨に浸っていた俺だったが、そろそろ町に向けて進もう。

 意気揚々と一歩踏み出す。

『なぁ、そのままで行くのか?』

「ん?」

『自分の姿を見た方がよいぞ』

 今の俺の姿は……そう言えば数ヶ月も森の中で暮らしていたわけで……髪の毛は伸び放題、そして隠者のコート以外は身に纏っている衣服はない。

 これで町に行ったら確実に衛兵に呼び止められるレベルだろう。

「……風呂に入って髪の毛をまとめるか」

 そう思い立ったら善は急げというからな、俺は【土魔法】で地面を掘り起こし石でコーティングして硬く固める。これを二ヶ所造る。

 そこに石を置き【着火】で火をつける。石は何個も置いてあるので結構燃え盛っている。

「そろそろ良いかな、【湧き水】」

 ジュワーーッと音を立て水蒸気が立ち上る。

 できたお湯の中に手を入れてお湯加減を確認するといい感じだ。

 隠者のコートを脱ぎザブンと湯船に飛び込む。

「あぁぁぁぁぁ、気持ちいいなぁ~」

 疲れた体を癒すのに風呂は最高のアイテムだ!

 お湯がぬるくなると焼けた石を追加して温度を保つ。

 十分に温まってから【素材保管庫】から石鹸を取り出す。

 今までに何度か同じ方法で風呂に入った経験があるので石鹸も作っておいた。

 石鹸の材料は魔物の脂身から取れる油程度しかなかったが、俺には【等価交換】がある。

 この【等価交換】を使えば素材がなくても俺がほしいと思ったものを創り出せるのだ。

 石鹸を泡立てこれも【等価交換】で作ったタオルでゴシゴシ体を洗う。

 お湯の中で洗うのはマナーがなっていないが、今はこれで良い。だって周囲は雪が積もった草原なんだぞ、湯船から出たら寒すぎる!

 頭から足のつま先まで洗う。

 湯船から上がり綺麗な湯の方からお湯を汲み石鹸を流す。

 タオルで体を拭いて【素材保管庫】からドライヤーを取り出し魔力を流す。

 魔力に反応してファンが回り、魔力伝導率の悪いアダマンタイトの線が発熱するので温かい風が出てくるドライヤーも【等価交換】で作った。

 乾いた髪の毛を後ろで束ねると少しはましになった。

 残るは服と靴だ。

 服は今まで必要性を感じなかったので作らなかったが、今回はそうはいかない。

 【素材保管庫】からスリーピングシープという魔物から得た白い羊毛を取り出し【等価交換】で肌着に変える。

 魔力が抜けていく感じがし、スリーピングシープの羊毛は肌ざわりの良い肌着に変わる。

 次に【素材保管庫】から取り出したのはハイエナウルフの毛皮だ。

 名前は雑魚っぽいがレベルは百五十もあるのでボルフ大森林以外なら絶対的な強者のハイエナウルフの毛皮でズボンとシャツを作る。

 ズボンとシャツには毛は付いていないので革といった感じだ。

 最後にヘルベアーの毛皮をコートとブーツに変える。

 コートは短いヘルベアーの毛を残し、ブーツは革にして靴を作った。

 そして作ったこれらのアイテムを身に着ける。

「よし、行くか!」

『ちょっとまった!』

「なんだよ?」

『ステータスもそのままじゃマズいぞ』

「あ、あ~そうだな。んじゃ、【偽装】しておくか」

 俺は自分のステータスを【偽装】した。


 氏名:ツクル・スメラギ

 ジョブ:調理師・レベル二十

 スキル:【調理】【着火】【解体】【鑑定】【素材保管庫】


 眠り羊の肌着(上下) ⇒ シルクなど比較にならないほど肌触りが良い下着。こんなの履いて何するの?

 ハイエナシャツ ⇒ 腕力強化(大)の効果がある漆黒の革シャツ。くろいぜ~♪

 ハイエナジーンズ ⇒ 俊敏強化(大)の効果がある漆黒のジーンズ。革なのにジーンズなの?

 死熊のコート ⇒ 温度調整、物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性の効果がある黒い熊の毛皮。熊の頭部がフードとなっており異様な存在感を放っているので間違って撃たれないようにね♪

 死熊のブーツ ⇒ 超丈夫、防蒸加工、蹴撃ダメージアップ(大)の効果がある黒いブーツ。足の臭い対策もバッチリよ♪


 それでもハイエナシャツとハイエナジーンズはできればウルフの方を冠にしてほしかった。ハイエナが冠だと雑魚臭が……

 そして死熊のコートの最後のコメントは危険だよな?……まぁ、黒霧の説明を聞く限り人間界でレベル百を超えている奴なんて滅多にいないだろうから大丈夫かな?


 

一章(ボルフ大森林)終了です。

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