プロローグ
黒歴史開幕。
むかし、むかし。あるところに女の子がいました。と、言うものの女の子…即ち私がいないと物語は始まらない訳で、この駄文を読んでるなんて事は起こらなかっただろう。
時間の無駄とは言わない、ただこれから話す私の事を聞いて欲しい。
例えば鏡に写った自分に向かって毎日のように「お前は誰だ」と繰り返し呟くと精神が崩壊するみたいに今の私はゲシュタルト崩壊を起こしそうである。このゲシュタルトの元ネタはドイツ軍らしいが生憎世界史はジャンヌダルクしか興味がない。おっと、雑談はここで辞めておこう。
いつからかは分からない。気がついたら繰り返し黒マントの暑苦しいジジイが出てくる夢を見た。その胡散臭いジジイはやたら夢に出て来て、「選ばれし者」だとか「世界を救え」とか何処ぞの厨ニ病ことを強調した。しかしその言葉に従うかのように、私の瞳には人の目を覗くだけでその人の“死相”が見える力が宿っていたのだ。どう、信じられる?
唯、不思議な事に自分自身の死相は見えないのだ。見えたところで発狂して自分の机の引き出しにどら焼きをぶち込み、有りもしない青い猫型ロボットにすがる事しか出来ないのだが。
私は元々人見知りで巷に言うコミュ障(末期)の為、友人関係は壊滅的だった。しかもこのふざけた能力のお陰で人の顔なんて見えやしない、根暗人間へと堕ちていった。
能力が発動する度、吸ったことないけど初めて覚せい剤を吸ったDQNみたいな感覚に見舞われ一言で表すと最悪とかしか言いようがない実に不快な人生であった。もうこれ何の例えだか分からない。
自分以外の、それも赤の他人の死が見えたって何の特にもならない。
世界は何故あって、人は何故生きて、そして死ぬのか。
能力は自分で制御出来ず見たくないものまで見え苦しい想いもした。泣いて叫んで終わりのない迷宮を彷徨い続けた。
裏切り、騙し合い、傷付け合ったとしても、私はあの人たちの、あの4人の大切な仲間は忘れたくない。
見えない道は、この未知はどこまで続いているのかは知る由もない。楽しい事も辛い事も所詮は人間なのだからこの思い出もやがて直ぐに忘れ灰になってしまうのだろうか。
私が今彷徨ってる場所、その名前は。
廃迷宮ーーーー