気が抜けました。
なにこれ…
暖かくてふにふにしてて、時々唇をはむはむと啄まれる。
まるで何かを食べるように。
目の前にはイケメンのドアップ。
毛穴とか全然ないなー。
まつ毛ながー!
「よし。」
はっ現実逃避しちゃってた。
「なっなにすんのよ!!」
はっ初めてだったのにぃ!
絶対好きな人とするって、そう思ってたのに!
「なにとは?精気を摂取していただけだが。」
どこが悪いの?と小首を傾げるルドルフ。
くっカッコいいだけじゃなく可愛い!が、私は怒っている猛烈に!!
「これから毎日精気を貰う。」
毎日…
「これが俺の食事だ。」
あぁ、なんてこと!
ありえない!!
「私のファーストキス…が。ルドルフの食事なんて。」
と言うか、セカンドもサードも間違いなくルドルフだろう。
乙女の純情をなんだと思ってるんだ!
あ、食事か…
「泣いてるのか?」
「え?」
私は頬を触ると濡れていた。
知らぬ間に泣いてたんだな。
思ったよりショックだったみたいだ。
「どうして泣いてる?どこか痛むのか?」
ルドルフが指の腹で私の涙をぬぐい、抱き寄せる。
目の前にはしっかりとした男の胸で背中には腕がまわされる。
お日様の匂い。
「大丈夫だ。」
「だっ大丈夫って!あっあんたがキスするからっ」
背中に回った手のひらでとんとんとされる。
「ジーナ泣いてなかっただろう。」
「えっ」
「コーナーが亡くなってから泣いてないだろう。」
コーナーは父の名前だ。
あまりに急に亡くなって、あっという間に遺産整理とか始まって、住むとことか、仕事とかそっちばっかり気にして。
そっか、気張ってたんだね、私。
「泣けるときに泣いとけ。」
背中の手が心地よくて、私はルドルフの胸にすがって泣きまくった。