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ブーツをはきたい猫  作者: いちもも
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出ていくことになりそうです。

先月お父さんが死んでしまった。


貧しい粉引きだった父、そして兄が二人。母さんはいない。


兄たちは財産整理をした。自分達の都合のいいように。



「おい、ジーナ。これがお前の遺産分だ。」


「え!なんで?」


「三人で平等に分けた結果だ。」


「どこが平等なのさ?」


「まず、長男である俺が父さんの後を継ぐんだから粉引き小屋は俺のだ。」


「そして、俺はこのロバで行商に出る。兄さんのひいた粉を売るんだよ。」


家も追い出される、長男が結婚するからだ。

もともと次兄は行商に出るので特に家は必要ないと倉庫兼寝るだけの部屋を借りる予定だった。


なんで実家なのにとは思ったが、家を建てたときの借金が残っていてそれを兄達にが払うらしい。

兄や兄嫁に気を使って住むのもしんどいし。

お父さんがいるときは兄夫婦が出ていく予定だったので、何も準備できていない。


出ていく期限は結婚式までの1ヶ月の間。

そして私の18歳の誕生日も1ヶ月後、そして成人になる。

成人になれば、親の庇護から外れる。追い出されても何も文句は言えない。計画的?なのか。

ちょっとは喪にふくせ、そしていきなり成人になるからとこれ幸いと追い出すのはどうかと思うよ。


「だからこれがお前の取り分だ。」



にゃぁん!


猫…


他にもあるだろーがぁぁ!

お金とかお金とかお金とかぁー!


金なし、家なし、そして猫…。


もう笑うしかない。


これからどうしたらいいの?


にゃあ!

にゃあん!


足下にすり寄る猫、ルドルフ。

粉引き小屋でネズミの番をしている子だ。

お父さんが賢い猫だと教えてくれた。


クリーム色の少し毛足の長い猫でふわふわでブラッシングをしてやるとサラサラとした毛になって気持ちがよい、耳はピンと立って、割りと大柄な子だ。

そして私が一番好きなのは目だ。濃い青で時には深緑のようにも見える。



私も粉引きを手伝った時に一緒に遊んだりしたことがある。


「ルドルフ」


にゃっ


尻尾をピンとたてて私を見上げてる。

うん、賢い。返事した。


ルドルフは私が出ていくまで粉引き小屋で生活をする。

兄嫁があまり猫が好きでないようで、家にはいれてもらえないんだそうだ。


とりあえず、仕事と家を見つけなきゃ

今働いているのは農家のお手伝いとか、簡単な店番程度で少しは貯めてあるが、一人暮らしをするには全然足りない。


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