おばけ屋敷
「5ー4ー3ー2ー1ーGO!」
掛け声をかけて同時に建物内に入った。
建物内は真っ暗。薄暗い暗闇の中、手にしているのは小さな懐中電灯のみ。
建物内に配置されている景色は古ぼけた屋敷のようだ。襖もボロボロに破れており、隙間から見える向こう側も暗い。
畳に敷かれた布団は膨らんでいる。
道順でいくと布団に近づかなくてはいけない。
ドキドキが止まらない。
ユックリとユックリと近づいていく。
そして真横を通った時、布団がばっとめくれ上がり中から老婆が姿を現した。
「うわっ!」
俺はビックリしたが、友人は大して驚いていない。ちょっと悔しかったが、仕方がない。
次に期待することにした。
しかし、驚くのは俺の方ばかり…なので、頭にきてここで怖い話を聞かせることにした。
効果音とか他の客の悲鳴が聞こえ、大きな声で話さないといけなかったがそれでも怖がればいいと張り切った。
【ガタッ。】
何かが動く音が聞こえた。
またアトラクションの一部かと思ったが、明らかに何もない場所から聞こえてきていた。
友人も一瞬驚いた顔をしたが、ほんの一瞬ですぐにもとの顔に戻った。
「なんかちょっとおかしくね?」
「何が?」
「さっきの音だよ。」
「ああ、確かにな。だけどアトラクションの一部かもしんないぜ。結構凝ってる作りみたいだしな。」
「リアルっぽくて怖すぎだろ。俺はあんまし好きじゃないな。」
「ほんと、お前怖がりすぎ。こんなのただの作り物じゃん。」
「けど、それでもこえーよ。」
「先行こうぜー。」
そう言って先に歩き出す。
俺はさっきの音が気になっていた。
しかしその間もアトラクションで驚かされることが多々あった。心臓はばくばくものだ。
「なぁ〜ちょっと待てよ。」
友人は振り返ったが、またすぐ前を向いてしまった。
「なんで無視すんだよ。」
「おま、何肩に乗せてんだよ。」
「肩?」
そう言いながらも、左肩の方が寒いということに気がついた。
「なぁ〜、何が乗ってんだよ。」
「後ろ見てみろよ。」それ以上は見たくないと先に進もうとする。
「待てよ。ったく何があるってんだ?」
そう言いながら振り返るとそこにいたのは顔だけの女だった。ニヤリと不気味に笑う姿は恐怖以外の何者でもない。慌ててその場から逃げ出した。
友人も走ってくるが御構いなし。一刻も早く出口に出たかった。
途中非常出口を見つけ慌ててそここら逃げ出した。
友人も一緒だ。
「はあ、はあ、はあ、はあ。」
「あれ、見たか?」
「ああ、見た。」
「マジやばかったな。まさかおばけ屋敷で本物に出くわすとは思わなかっよ。」
「お前が恐怖話始めたからだろ。」
「わりい、わりい。けどさ、涼しくなったな。」
「ああ。」
そう言って友人は俺の方を向いたが、顔を見るなり逃げ出した。そう、霊が俺についてきてしまったのだ。俺はどうしたらいいかわからなかった。