8021E列車 寝付き
夜。どうしても眠ることができなかった。どうしてだろう。お母さんは昼寝すると夜眠れなくなるって言ってるけど・・・。僕って今日そんなに昼寝したかなぁ。全然覚えてないからいつ昼寝したのかもわからない。
耳を澄ませると部屋の外から笑っている人の声がしたので、部屋を出た。明るい部屋があったので、中を覗いてみると、
「あっ。智ちゃん。もう寝る時間だよ。」
雪姉ちゃんが僕に気付いた。
「どうしたの。眠れない。」
お母さんが心配して聞いた。
「うん。」
「そうか。じゃあ、智ちゃんが寝れるようにしてあげるからな。一緒に部屋行こう。」
雪姉ちゃんは僕を抱っこして、部屋まで戻ってきた。
「雪姉ちゃん。どうしたら眠れるようになるの。」
「そうねぇ。羊の数数えてみたらどうかなぁ。」
「ひつじ・・・。」
「うん。羊が一匹、羊が二匹って。」
「・・・。」
言われるがままやってみる。でもなかなか眠ることができない。
「羊が59匹・・・。羊が70匹・・・。」
「まだ眠れないか・・・。それに智ちゃん一個間違えたよ。」
「えっ。」
「5の次って何。」
「えっ。6。」
「60が抜けてたよ。」
「フアァァァァァ・・・。」
授業っぽくなったとたんあくびが出た。これなら眠れそうである。
「おやすみ。」
そういう気を察したのかは知らないけど、雪姉ちゃんは部屋を出ていった。
朝。起きたのは7時ぐらいだった。雪姉ちゃんが起こしに来たからだった。なんで雪姉ちゃんが僕のこと起こす時はいつも肩のあたりがくすぐったいんだろう・・・。
「おはよう。」
雪姉ちゃんの顔が寝ぼけている目に映る。
「おはようございます・・・。」
「眠そうだね。目開いてる。」
「・・・。」
うーん。なんでそう聞くんだろう・・・。