8019E列車 雪授業
大きな駅は名古屋であるということが後で分かった。そこからまた特別快速と同じ電車に乗ってまた途中の駅で降りた。電車はこの駅に着く手前でとても高いところを走り始めていた。なので、ここから駅の外を見ると下に家などが密集しているのが分かる。
「智ちゃん。次はどこに行くと思う。」
雪姉ちゃんはそう聞いてきた。そういえば僕は今までこの旅行でどこに行くのかってことをまだ聞いていなかった。自分もどこへ行くのかは聞いてみたかった。
「ねぇ。雪姉ちゃん。どこに行くの。」
「うーん。別にどこに行くってことは決めてないんだけどねぇ・・・。どこか決まってたほうがいい。」
「うん。」
「そう・・・。決まってたほうがいいかぁ・・・。」
雪姉ちゃんはそう言ってから、後ろを見た。僕はそっちに何かあるのかなぁと思い、雪姉ちゃんの後ろを覗いてみた。でも、何かがあるわけではない。あったのは止まっている電車だけだった。
「ねぇ。どこに行くの。」
もう気になって仕方がない。
「・・・。電車にタダ乗ってるだけじゃ退屈。」
「うん・・・。どっかで遊びたい。」
「遊びたいかぁ・・・。遊び疲れて寝ちゃうってことがないようにね。」
雪姉ちゃんの顔がちょっとだけニヤリとしたように感じた。
しばらくしてホームにディーゼルカーが入って来た。これでどっかに行くみたいだ。でも、今度のディーゼルカーは特別快速みたいにひょいと乗れる高さに床がなかった。ドアのすぐ後ろで大きな壇があって、壇の頂上が床だった。ここは雪姉ちゃんに引っ張り上げてもらって、中にはいる。中に入ってしまうと今までの疲れて寝てしまった。
「雪姉ちゃん・・・。」
「もう。今日という今日は許してあげないからね。」
「・・・ご・・・ごめんなさい・・・。」
妙にくすぐったく感じる。
「智ちゃん。」
「えっ。」
何だ。さっきのは夢だったのかぁ・・・。
「ここで降りよう。」
と言って降りたのはなんて読むんだろう。すっごく難しい感じが一つだけある。他のは大と田んぼ・・・。それに一文字目はなんて読むんだろう。
「ねぇ。これなんて読むの。」
僕は二文字目が気になって仕方がなかった。
「これ。美濃太田って読むんだよ。」
「濃・・・。」
「うん。」
「一文字で美濃太田って読むんだ。」
「プッ。」
雪姉ちゃんは珍しく声を出して笑いだした。
「これは全部で美濃太田って読むの。」
「えっ。じゃあこれだけなら何て読むの。」
「そうねぇ・・・。のうとか、のとか。いろんな読み方があるね。他にも色が濃いとかっていう感じもこれ使うんだよ。まぁ、この漢字は難しいから覚えなくてもいいよ。別に常用漢字じゃないんだから。」
一つ雪姉ちゃんから教わって駅の外に出た。近くには公園みたいなところが広がっていたけど、僕の知ってる公園とか違っていた。遊具みたいなものがほとんどないのだ。雪姉ちゃんは芝生の上で寝転がっている。
「雪姉ちゃん。」
「智ちゃん。おっぱい触んないの。」
起き上がると、
「何。暇。」
「うん。」
「ちょっと休憩するのもいいと思うけどなぁ・・・。」
と言ってまた芝生の上に体を置く。
「ねぇ・・・。」
「・・・智ちゃん。お腹の上に乗るのもダメ。おっぱい触るのもダメ。」
また起き上がって、
「退屈か。」
うなずく。
「はぁ。じゃあ、お昼でも食べに行こっか。」
お昼を食べることになって、近くのカレー屋さんまで歩いたのだけど、途中で疲れて、雪姉ちゃんに抱っこしてもらった。でも、疲れたっていうのはウソなんだけどねぇ。
永島は天然。よしっ。