表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ボケとツッコミの社会問題会議

ボケとツッコミの社会問題会議 ・資本主義&民主主義編

 「資本主義といえば、何よ?」

 と、立石望が口を開いた。彼女はそれなりに頭が良い。だから、恐らくその発言には、この会議の焦点の一つが、資本主義の特性にあるのだと見抜き、まずはそこから議論を始めさせようとする意図があったのだろう。そして、彼女がその問いに答えるだろうと最も期待した相手は、吉田誠一という奇妙な知識をたくさん持った男だった。

 しかし、吉田はそれに答えない。ただし、答えられない訳じゃない。この時吉田は、全く別の事を考えていて、ほとんど会議に集中をしていなかったのだ。立石は、吉田の不滅のマイペースを甘くみていた。もっとも、彼女に落ち度はないだろう。ここにいる誰一人として、吉田の行動は予想できない。それに、吉田が答えなければ、他のメンバーが口を開くはずだ。例えば、村上アキ、または火田修平。塚原孝枝もいる。彼らには充分な知識がある。あと一人、久谷かえでにも、実は知識があるが、彼女は補佐的にしか議論に参加しないので、普段から期待できない上に、今はある事情から普段よりももっと期待できなかった。彼女は、意図的に口を開かない。

 「資本主義といえば、やっぱ自由市場じゃない?」

 そして、それにそう答えたのは、それら博識メンバーではなく、長谷川沙世という女の子だった。彼女は主に質問役である。あまり難しい話には詳しくない。

 「あんたが、答えるな」

 と、それで立石は言う。沙世は返す。

 「何よ、それは」

 ツッコミである。沙世はツッコミ役でもあるのだった。天然ボケもするが。

 「いや、でも、確かに沙世ちゃんの言うのは正しいよ」

 と、そう言ったのは、村上アキだった。火田がそれに続ける。

 「ああ、資本主義といえば、自由主義経済ってのは、まぁ、定番だよな」

 塚原がそれに頷いてから言う。

 「もっとも、その資本主義にも様々なタイプが存在するのだけどな。金融資本中心から福祉国家型まで…

 と、今回はどんなタイプの資本主義を論じれば良いのだろうな?」

 その塚原の問いには誰も答えない。誰もそれを知らないからだ。それで、皆の視線が自然と久谷に集まる。今回は(今回も?)、なんとなく雰囲気がダレている。そう、皆は感じていた。原因の一端は久谷にある。そしてその視線は、それに対して抗議しているような、救済を求めているような微妙なものでもあった。

 立石が言う。

 「あんた、久谷。そろそろ、なんか言いなさいよ。いつも以上に、グダグダじゃない。方向性なりなんなりを漠然とでも示すのが、あんたの役割でしょう?」

 それを聞くと、久谷はこう返す。

 「ですから、先ほども言った通り、これが今回の方向性です」

 それにアキが「アハハハ」と、困ったように笑った。

 「いつも、無茶振りとか、強引とか色々と文句を言っているけど、なんだかんだで久谷さんのありがたみが分かる感じだね。会議に補佐がないときついや」

 長谷川がそれに頷く。

 「吉田君が会議に参加する気を見せないから、尚更ね」

 「いや、吉田は議論を破壊する可能性もかなり高いがな」

 と、そう応えたのは火田。

 そのやりとりを聞いても久谷は何も言わなかった。

 断っておくが、彼女はすねているのでも怒っているのでもない。これは、先ほど彼女自身からも発言があった通り、今回の彼女の方針なのだ。


 少し前… いつも通りにボケとツッコミ奨励の社会問題会議…… その名も“ボケとツッコミの社会問題会議”というそのまんまなネーミングの、なんとかマンネリを打破しようと、がんばってみている感じで(書いている人間が)続けているその会議…… をやる為に集まったメンバー達。開始早々、彼らは久谷からこんなタイトルコールを聞かされたのだった。

 「資本主義、民主主義がその限界を露呈しつつある今だからこそ問いたい! その価値と今後の可能性を! 果たして、どのようにこれら主義を制度に活かしていけば、人間社会は良くなるのか! わたし達はそれを考えていかなければならない! だって、神聖○テ○テ王国なんて建国されたら、堪らないから!

 今回の議題は、ずばり“資本主義&民主主義” さぁ、議論していただきましょう! 因みに、今回、わたくし、できる限り発言しません! 皆さんの自由に任せます!」

 その最後の部分に一同は戸惑いを覚えた。もっとも、一人、園田タケシこと、ソゲキだけは妙に嬉しそうに、「今は第三世界の長○~」と、喜んでいたが(そして、その発言は当然のごとく無視されたが)。 ……このネタ、誰か分かる人いますかね?

 そして、その瞬間から、会議の空気は微妙なものになったのだった。なんだか、投げっぱなしのまま放っておかれたかのような気分に皆はなってしまったのだ。その空気の所為なのか、議論は弾まなかった。


 「――もしかしてさ」

 と、弾まない空気の中、アキが口を開いた。

 「久谷さんが、冒頭で皆さんの自由に任せるって言ったのは、民主主義も資本主義も“自由”というキーワードが重要になってくるからなのかな?」

 久谷はそれに何も答えなかったが、なんとなく、この会場の雰囲気全体が、それを肯定していた。その雰囲気を受けて、立石が言う。机をバンッと叩きながら、

 「くだらない!」

 続ける。

 「議論ってのは生き物なのよ! ちゃんとみんなの中に、そういう流れを作らなくちゃいけないの!

 こんな雰囲気じゃ、やり難いったらない! ほぼ久谷の所為なんだから、何とかしなさい。久谷!」

 それに久谷はこう答える。

 「話は分かります。分かりますが、その話は受けられません。自由ですから。

 ――が、こういう事もあるかと思って、今回、わたしは助っ人キャラを呼んであります」

 立石はこう返す。

 「それは、もしかして、初めからずっといるのに、まだ一言も喋っていない、そこの彼女の事を言っているの?」

 久谷は頷く。

 実は、今回初めて会議に顔を出した女性がいたのだった。大人しそうな外見で、何気なくずっと座っていた。

 「はい。猪俣種さんです。特徴は喋らない事で、特技はハグです」

 「喋らないんじゃ、会議にいる意味ないでしょうが!」

 立石は思わずツッコミを入れる。それを受けて猪俣さんは何故か微笑む。……因みに彼女は、ボケです。喋らないけど。

 久谷はそれにこう答えた。

 「ふふふ… 果たしてそうでしょうか?」

 因みにこの時、猪俣さんも久谷と同じ様に笑った仕草をした。ただし、声は出さなかったけれど。

 「猪俣さんだって、がんばりますよね?」

 それを受けて猪俣さんはガッツポーズを取る。その動作を見て、立石が言う。

 「いや“がんばります”っても、無理でしょうよ。会議で発言しないで、どう参加するっての?」

 すると、猪俣さんは、指を一本だけ立ててそれを頭にやる。そして、何かを考えるような感じで目を泳がせてから、直ぐ横にいた沙世を抱きしめた。

 「え? なに?」

 と沙世は思わず言う。久谷がそこで解説を。

 「これが猪俣さんの得意技のハグです」

 それを受けて立石が言う。

 「まさか、スキンシップで参加するとでも言うつもり?」

 それを聞くと、久谷と猪俣さんは、同時に親指を立てて『グー』の合図をした。それを受けた瞬間、立石は叫んだ。

 「無理よ!」

 それにまた久谷はこう言う。

 「果たして、そうでしょうかね?」

 立石が答える。

 「果たして、そうよ!」

 その瞬間、久谷が言った。吉田を指差しながら。

 「猪俣さん、次!」

 その言葉通り、猪俣さんは吉田に抱きつく。それまでずっと何か他の事を考えていた吉田は、それに狼狽した。

 「え?」

 突然抱きつかれて、顔を赤くしている。それを見て、火田が言った。

 「おい、珍しいな。吉田がこんな反応するなんて」

 それに立石が頷く。

 「確かに。これは、この猪俣さん、いる価値があるかもしれないわ。会議に参加している訳じゃないけど」

 沙世がツッコミを入れた。

 「いやいやいや…」

 その後でソゲキが叫ぶ。

 「ボクも抱きしめられたいです! ボクも抱きしめられたいです! 大して重要な事じゃありませんが、二回言いました!」

 それに火田がツッコミを。

 「重要な事を二回言おうな」

 塚原がこの一連の流れを見て言う。

 「どうでも良いが、今回、無駄話がやたら長くないか?」

 「いつもの事のような気もしますけどね」と、それに困った笑顔で答えたのは、沙世だった。

 塚原が続ける。

 「まぁ、何にせよ、議論に戻ろう。確か、資本主義といえば何か?だったな。それなら、少し面白い話があるぞ。資本主義の発想を理解する上で、重要なのは実はダーウィンの進化論だという話だ。

 ダーウィンの進化論は、自由競争による自然選択の結果、生物がより良く進化してきたって理屈だろう? 資本主義の発想とよく似ているものだから、資本主義を肯定する理由として早くからこの日本でも説明されていたんだ。

 因みに、日本は科学をイデオロギーから切り離して、純粋に技術の為の道具として輸入して来た国だが、この進化論は例外的に資本主義の発想の正しさを裏付けるものとしても、入って来たのだな」

 吉田がそれに続けた。

 「西洋社会、キリスト教圏では、自然法則と社会の法律を同じ様に神の定めた“法的規制”だと捉える考え方があった。だから、自然界の法則でそうなっているのであれば、人間社会でも同じ様に取り入れるべきだ、という考えにも容易に結びついたのかもしれない。飽くまで、仮説だけど」

 火田が吉田が発言したのを見て、笑った。

 「ははは、吉田が発言したぞ。これが、ハグ効果か?」

 それを聞いて、猪俣さんはガッツポーズを取る。

 「呼んだ甲斐がありました」と、それを受けて久谷が。

 立石がそれに、「面倒臭いから、もうツッコミは入れないわよ」と、そう言う。その後で火田がこう続けた。

 「ただ、ま、言わせてもらうなら、それが進化にとって有効だからって、それを取り入れれば、社会が良くなるって訳じゃないからな。効率良く進化はしたが、そこに暮らす人々は不幸。そんな社会になってちゃ意味がない」

 その発言を聞いて、ふと思い付いたような顔をすると、ソゲキが言った。

 「なら、共産主義みたいな発想がやっぱ良いって事ですかね?」

 それに立石が言う。

 「共産主義が駄目だっていうのは、歴史が証明しているでしょうよ」

 すると、それに沙世が反論をした。

 「でも、共産主義の発想自体は、別に消えた訳じゃないでしょう? 福祉とか、そういうのに生き残っているのじゃない。福祉国家型の資本主義社会だって存在するのでしょう?」

 それにアキが頷いて言った。

 「スェーデンとか、そういう国だね。ただ、そういう国々でも、高齢社会の影響で福祉財政が逼迫して、危なくなってきているのだけど…

 少なくとも、年金だけは諦めるべきだと思うな。正確には、福祉って訳じゃないけど」

 それに続けて立石が言った。

 「高齢社会編参照」

 猪俣さんが首を傾げる。“なに?”という感じで。沙世がそれで説明をした。

 「ちょっと前に高齢社会って議題で議論をやったのよ。その時に、年金だけは諦めないと駄目だって結論に至ってね」

 アキが説明を加える。

 「医療や介護は、まだ若者の雇用を創るって効果があるから、上手くやれば通貨の循環ができて、何とかなるかもしれない。でも、年金は違う。高齢者は基本的に消費意欲が低いから、若い世代の負担を増やして高齢者に年金を支給すると、そこで通貨の循環が止まってしまう… だから、年金だけは諦めて減らさなくちゃいけない。

 ま、そんな話だね」

 それを聞くと猪俣さんは、大きく頷いた。どうやら、納得したらしい。

 「今の説明だけで納得できるとは… 卜部よりも遥かに頭は良いみたいね」

 そう言ったのは、立石だった。そして、こう続ける。

 「でも、その説明でも分かる通り、共産主義の発想に大きな欠点があるってのは確実よ。モラルハザードの問題点が特に大きい。国に自分の生活を頼るような人が、山ほど現れたら、誰が社会を支えるっていうのよ?」

 それに吉田が淡々とこう言った。

 「そうだね。ただし、共産主義、或いは社会主義を否定できる人間なんて、この世の中には一人もいないはずだけど」

 その発言にソゲキが驚きの声を上げた。

 「おお、吉田さんが共産主義を擁護するとは思っていませんでした。意外、意外」

 するとそれにこう吉田は返す。

 「別に僕は共産主義を擁護したつもりはないよ」

 沙世がそれに首を傾げる。

 「どういう事?」

 立石もそれに続ける。

 「わたしも分からない。否定できないっていうのは、擁護じゃないの? というか、共産主義が駄目だっていうのは、歴史が証明しているのだから、否定はできると思うけど。ソ連に中国、共産主義で失敗しているわ」

 それに吉田は軽く首を振る。

 「違うね」

 「何が違うの?」

 「それらの国々は、自称“共産主義”なだけだよ。その実態は、専制政治だ。つまり、共産主義から早々に堕して、専制政治になってしまった国家だ」

 それに塚原が頷く。

 「そうだな。“共産主義”と侮蔑の意味で使われる時の国家体制は、実は専制政治である場合が多い。

 と言っても、共産主義を掲げる国が、どうして専制政治になってしまうのか、といった点は問題だし重要だとも思うが」

 火田がそれに続けた。

 「専制政治に陥る原因は簡単だろ。“権力の集中”を抑えるシステムを持っていないからだよ。民主主義には、選挙ってなシステムがあるからそれを抑えられるが」

 それを聞くと、「そういう論点が重要だね」と吉田が言った。そして、こう続ける。

 「実は、共産主義理論なんてものは、提唱されていないんだよ。だから、そもそも“共産主義”社会なんてものは、誕生すらしていないんだ。

 だから否定もできない。一体、誕生していないものを、どうやったら、否定できるんだい?」

 それに村上アキが疑問の声を上げた。

 「共産主義理論が提唱されていない? マルクスは?」

 吉田は淡々とそれに答える。

 「マルクスは、資本主義を否定しただけ。何をどうすれば、共産主義社会が上手くいくかなんて、論じていないらしいよ。だから、その経済理論もない。共産主義下の経済は統制経済と呼ばれる。だからなのか、権力の集中を抑える為のシステムも考えられていない。それで、いとも簡単に専制政治になる」

 それを聞いて、ソゲキが感想を漏らすようにこう言う。

 「これは確かに、擁護していませんね。馬鹿にしているのか、微妙なくらい」

 塚原がそれに「少なくとも、否定はしていないだろう」と、返した。それに火田が続ける。

 「まぁ、共産主義者を名乗る連中は、理想を語るだけじゃなくて、まずはその理想を実現する為の理論を構築するべきって事だな」

 立石が頷いた。

 「それなら分かるわ。少なくとも、モラルハザードを回避する為の方法くらいは考えてもらわなくちゃ、納得がいかない」

 それに沙世が、「例えば、どんな?」と尋ねる。が、そこでアキが声を上げた。

 「ちょっと待って。今回は、共産主義についての議論じゃないよ。飽くまで、資本主義&民主主義。ちょっと、話がずれている」

 それを受けて、立石がこう言った。

 「おお、いつもは久谷がやっている役割を村上君がやっているわ」

 塚原が続ける。

 「何かの役割が欠ければ、その穴を埋めるように、他の何かがそれを補う。人間社会だけに限らず、“生きているシステム”で、よく見られる現象だな」

 「いや、あの、資本主義に話を戻しませんか?」

 と、アキ。それに吉田が口を開く。

 「資本主義システムってのは、“生きているシステム”の一つだから、ある意味じゃ、資本主義の話題だけどね… 共産主義経済が、静的なのに対し…」

 しかし、そこで立石がその発言を止めた。

 「ストップ。そういう方面に話を進めると、吉田君しか語れなくなりそうだから、ちょっと控えて」

 それを聞いて、猪俣さんが吉田に抱きつこうとする。

 「いや、猪俣さん。ハグしなくても大丈夫だから」

 と、それに沙世がツッコミを。その後でソゲキが続けた。

 「僕になら、ハグしてもらっても構いません。構いませんよ! 大して重要な事じゃありませんが、二回言いました!」

 「だから、重要な事を二回言おうな、ソゲキ」と、それに火田が。しかし、それを受けて猪俣さんはソゲキにハグをしようとする。で、「やめなさい」と、立石がそれを止めた。

 「その“生きているシステム”辺りの話題から無理に繋げるのなら、市場万能主義の是非の話とかですかね?」

 その後で逸れた議論を元に戻すべく、アキがそう言う。

 「おお、本当に久谷さんの役割をアキ君が担っている感じねぇ。ちゃんと、話を次に繋いでいるわ」

 それを聞いて、沙世がそんな感想を。そしてこう続ける。

 「飽くまで無知なわたしの判断だけど、普通に考えて市場万能主義なんて、有り得ないと思う。“万能”なはずないのじゃない?って。神様でもないのに」

 それに塚原が頷いた。

 「それはもっともな意見だな。実際、市場原理は万能じゃないよ。優秀なシステムではあるが、決して万能じゃない」

 「例えば?」

 と、そう質問をしたのは、ソゲキだった。それに塚原は淡々と答える。

 「簡単に分かるのは金融経済だな。ほら、有名なバブル経済があるだろう? 金融経済において市場原理が失敗したケースだな。価格が上がれば需要は下がる……、はずなのに、売って儲けるって目的で売買を行うものだから、需要が却って上がってしまって、遂には崩壊するって現象だ。需要と価格の間にあった、負のフィードバックの関係性が、正のフィードバックに変わるのだな」

 それに火田が頷きながら言う。

 「それは“国家破産編”の時に出た話題だな。むしろ、読み返した方が早いのじゃないか?」

 「そんな、おざなりな」と、ソゲキはそれに返す。それを聞いて塚原が言う。

 「今までに出ていない話題ってのなら、医療と市場原理は相性が悪いってな話なんかが良いかもしれないな」

 火田はそれに同意した。

 「良いな。理論的にも重要だし、現社会を考える上でも捨ておけない話だ。医療関係者の市場原理批判の中には、市場原理を強引に悪者にするような“トンデモ”なものもあるが、それでも医療と市場原理の相性が悪いってのは本当だからな」

 それに沙世がこう声を上げる。

 「ああ、なんか医療を市場原理に任せると、物凄く高くなっちゃうとかってよく聞くわよね」

 アキがそれに頷く。

 「そうだね。典型例がアメリカ。もっとも、何でもかんでも市場原理が悪いって訳でもないらしいのだけど。

 ただし、実力主義バリバリなイメージのアメリカだけど、ちゃんと弱者に対するセーフティネットは張られていて、所得の低い人は、安い値段で医療サービスを受けられるみたいだよ」

 塚原が続けた。

 「この話題、どうして市場原理を医療に当て嵌めると、医療費が高くなるのかって説明がほとんどされていない点は、問題だと私は思うな」

 ソゲキがそれを聞いて頷く。

 「うん。だから、今からここで、それを説明する訳ですね」

 「ソゲキ君が説明する訳じゃないけどね」と、それに沙世がツッコミを。それから、こう質問した。

 「で、どういう事なの?」

 立石がそれを聞いて「他力本願な奴らね」と一言。沙世が「あんたもね」と、ツッコミを。火田が口を開いた。

 「まぁ、これはそんなに難しい理屈じゃない。市場原理といったら、需要と供給と価格だよな? この三つを、医療に当て嵌めてみると、簡単に分かる。

 仮に供給が不足したとしようか。すると、需要が供給に対して大きくなったことで、価格は上昇する。ここで、普通の商品だったなら、価格が高くなれば、需要が下がるってな自動調整が為される訳だが、医療においてはこれが起こり難い」

 それに沙世が「ああ、なるほど」と、そう言った。

 「病気が治る訳じゃないから…」

 火田はそれに頷く。

 「その通りだな。軽傷や軽い病気くらいなら、我慢するようになるかもしれないが、重い病気でこれは無理だ。さて、となるとどうなる?」

 アキがそれに続けるように答えた。

 「価格が上がっても、需要は下がらないから、価格が高止まりする事になるのですかね、やっぱり。いや、最悪、病気を治療してもらえない人が増え続けて、高くなり続けるなんて事も起き得るか…

 あ、でも、価格が高くなれば、供給量を増やす方向に動くのじゃないですか?」

 しかし、それからアキは自分の言った内容の誤りに気づいたらしく、「あ、そうか、それも難しいのか」と、少しの間の後でそう言った。火田はそれに応える。

 「その通りだよ。薬や器具を供給すれば、それで改善するような病気や怪我なら、また話が別だが、医療ってのは基本的には専門職の人間が提供しなくちゃ成り立たないサービスだ。そして、医師にしろ看護師にしろ、簡単には育たない。

 つまり、供給を増やし難いんだよ。だから、価格はやっぱり下がり難い。だから、厄介なんだ」

 そこまでを火田が説明し終えると、塚原がそれを引き受けるようにしてこう言った。

 「で、さっき村上も言っていたが、ま、アメリカではそれが如実に起こっているんだな。アメリカは極端に医療費が高い。だから、火田の話は単なる机上の空論じゃなくて、証拠もあるって事になる。

 ただし、アメリカは食文化等、あまり国民が健康的な暮らしをしているとは言い難い。肥満が多いのは、有名な話だしな。医療の世話になる機会が多く、その分、医療需要も高いだろうってな事は言える。日本は肥満も少ないから、市場原理を積極活用しても、アメリカほどには酷くならないかもしれない」

 そこまでを聞いて、ソゲキが訊いた。

 「えっと、要するに、医療には市場原理を持ち込まない方が良いって事ですかね?」

 しかし、火田はそれに首を振る。

 「いや、そうとも言い切れない」

 「どういう事ですか?」

 「難しく言うとな」

 「簡単にお願いします」

 「市場原理を活用しない事には、活用しない事のデメリットがあるんだよ。医療関係は、行政絡みの黒い話題には事欠かない。有名なのは薬害問題だな。官僚は天下り先への配慮で、エイズ、肝炎に感染する可能性のある商品の流通を止めなかったんだ。これは、ほぼ直接的な殺人と言える。

 もし仮に、市場原理を活用していれば、危険な薬なんて誰も買わないで、安全な薬を選択するから、これは起こり難かったんだよ。情報が適切に提示されている前提だがな」

 その火田の説明の後で塚原が続けた。

 「火田の言った事も重要だが、それ以前に市場原理を導入した方が、コストが安くなる部分もあるんだよ。薬や医療機器なら、市場原理が有効利用できるものもあるはずだ。市場原理は万能じゃないにして、やっぱり優秀なものだって点は変わらないのだから。だからこそ、ロシアも中国も市場原理の導入を行ったんだ」

 それを聞いて沙世が言った。

 「つまりは、見極めが重要って事ですか?」

 塚原は頷く。

 「そうだな。その有効性の限界を理解して、使うべきポイントで使っていく。ま、当たり前の話だがな」

 「でも、資本主義が勝手に暴走するなんて事はないんですかね?」

 そこでソゲキがそんな疑問の声を上げる。

 「資本主義経済がコントロールできなくなって、社会が混乱するなんて事はないのかなぁ なんて、ボクは思っちゃったりするのです! 思っちゃったりするのです! 大して重要な事じゃありませんが、二回言いました!」

 「だから、二回言うなって。……どうでも良いが、それ、今回のお前のネタなのか?」

 と、それに火田がツッコミを。そのやり取りを無視して、塚原が言った。

 「先の金融の“バブル経済”もそうだが、確かに資本主義が暴走する事もあるよ。それ以外にも、大きくなり過ぎた民間企業が、政治に強い影響力を与えるなんてのもある。が、だからこそ資本主義は民主主義と相性が良いと言えるのかもしれない」

 それに沙世が頷く。

 「ああ、選挙制度があるから、民間企業が社会を支配するって事が起こり難いのですね」

 それにアキが続ける。

 「そうだね。ただ、アメリカで、金融機関にとって不都合な法律が通り難いなんて事が起こっているから、もしかしたら不充分かもしれない。もっとも、リーマンショック以降、その状況は緩和しているみたいだけど」

 それを聞くと立石が言った。

 「って事は、経済では資本主義を採用したけど、国全体の体制は共産主義って事になっている中国は問題ありってなるのかしら?」

 火田がそれに答える。

 「ありありだろうな、間違いなく。色々な問題をよく耳にするじゃないか。全部が全部、本当の話って訳じゃなさそうだが」

 そう言い終えると、しばらくの間ができた。話題が一区切りしてしまったからだ。何かの使命感を感じたのか、その状況を受けて、猪俣さんが吉田に抱きつこうとする。吉田はそれに驚いて、慌てて話題を繋ごうと口を開いた。恐らく、“何か話せ”と促されていると思ったのだろう。

 「資本主義が知らない間に社会を変えるって意味なら、もう少し別な話もあるよ」

 それを受けて立石が言う。

 「お、猪俣さん効果で吉田君が自分から発言した。期待半分不安半分って感じだけど、聞いてみましょうか。別な話って何?」

 「うん。資本主義経済が、社会と社会を繋げていくって現象があるって話だ」

 そう吉田が言うと、「ああ、グローバリズム」とアキがそう呟いた。吉田は続ける。

 「EUを観ると分かり易いけど、経済が結びつくことで社会の垣根が消えていっている。もちろん、簡単にはいかないし最近では様々な問題点も指摘されている訳だけど、それでもこの影響は無視できない」

 火田がそれに頷いた。

 「中国が尖閣問題で日本製品のボイコットをやったが、今の時代では、それほど効果はないと言われているな。日本製品って事になっていなくても、製造過程の何かしらで日本が関わっている場合が多いし、それに、日本経済を傷つければ、中国経済もダメージを受けるからだが。

 これは、まぁ、言い換えれば、中国と日本が一つの社会になりかかっているって事でもある」

 ソゲキがそれに「うわ、一部の人達が聞いたら、嫌がって悶えそうな話ですね」とそう言った。それを引き継ぐように吉田が言う。

 「本当は不可分になっているのに、その社会で暮らす人達はそれを実感できていない。そんな事が起こっているのだと僕は思うよ。中国もそうだけど、韓国もそうだよね。経済的には反日なんてするべきじゃない。と言うよりも、実際に積極的に日本へのマーケティングを行おうとしている。のに、反日感情はそのままにしている。これは大いに矛盾のある話だと思う。日本への輸出を増やしたい韓国企業、或いは日本の企業を誘致したがっている人達は、本心では反日なんかして欲しくないと思っているのじゃないかな?」

 それをフォローするように塚原が言った。

 「かなり怪しい点はあるにせよ、比較的情報公開がオープンな日本ですら、既に経済では不可分に繋がっているという現実を分かっていない人達がいるくらいだから、情報が制限されている社会じゃ、尚更だろう。文化相対主義すら知らないかもしれない」

 その話を聞き終えると、「なるほどね。民主主義ってのは、国民主権。国民の意思や知識が重要な制度だけど、それらの元になる情報が制限されているから、そもそもどうにもならない、と」と、立石が感想を述べるようにそう言った。

 「あ、一応補足しておくと、中国経済へのダメージを観て、日本への経済制裁を見直そうという話も、中国では出てきているそうですよ。どれくらい脚色されている話なのかは分かりませんが、それでもこれからの中国の態度には注目するべきだと思います」

 それにアキがそう注釈を入れる。それを聞いて、立石が「おお、ナイスなフォロー。久谷より良いのじゃない?」と言う。火田がそれに続けて「確かに。理不尽さがない分、村上の方がやり易いな」と同意する。ソゲキも「ボクも何となく村上さんの方が良いと思います」と。

 それを受けて久谷が言う。

 「なにか、こう、数の暴力な気がしてきましたが…」

 やや話が逸れている。そこで軌道修正すべくアキがまた言った。

 「数の暴力と言えば、民主主義の問題点の一つだね。多数決の世界だから、人口割合の多い人達の有利になり易い。だから、民度っていうのかな? 国民の意識がとても重要になって来る。さっきの情報統制の話とも関係があるけど」

 それを聞いてまた立石が言う。

 「おお、ナイスフォロー村上君。やっぱり、久谷より良いのじゃな…」

 「エンドレスになるから止めてね」と、それに沙世がツッコミを。そこで猪俣さんが何故か沙世に抱きついた。

 「なに?」

 久谷が言う。

 「きっと、わたしを庇ってくれた長谷川さんの言動に感動しているのだと思います」

 それを聞いて猪俣さんは頭を掻いた。

 「出番が少ないから、無理矢理に行動したのじゃないの?」

 と、その後で立石が。それを聞いて、また猪俣さんは頭を掻いた。

 「図星みたい…」と、沙世。

 「まぁ、話を進めよう。数の暴力の話だったな」と、そこで仕切り直しをするように塚原が口を開いた。

 「数の暴力って言うと、表現があれだけど、高齢社会の今は、やっぱ高齢者問題がそれに当たるのだろうな。さっきも話題に出たが、年金はどうにかして減らさなくちゃならないが、高齢者が反発をすればそれも儘ならない」

 火田がそれに続ける。

 「このまま何も対策を執らなけりゃ、年金は2033年には破綻すると言われているからな。これを野放しにすれば高齢者達自身も被害を受ける。で、増税でそれを補おうとすれば、若い世代への負担が大きくなり過ぎて、社会全体が疲弊していくことになる」

 立石がそれを聞いてこう言った。

 「頭の痛い問題よねぇ。結局は、権利が強い人達の我侭で世の中が捻じ曲げられていく… 何だか、悲しくなってくるわ」

 火田がまた言った。

 「ま、高齢者達本人に若い世代を犠牲にしているって意識はないだろうがな。……せめて、裕福な高齢者世代が金を使ってくれれば良いのに。太陽電池でも買ってくれねぇかね。そうすりゃ、若い世代に金が回って、しかも将来世代へのプレゼントにもなる」

 塚原が言う。

 「権利が強い人間達の都合で世の中が捻じ曲げられるっていうのなら、また別の話もあるぞ。“一票の格差”だ」

 すると沙世がそれに質問をした。

 「“一票の格差”があると何か問題なんですか?」

 「一票の格差ってのは、簡単に言えば、選挙投票において一部の人が得をしているって話だ。政治家は当然、その得をしている人達が有利になるように政策を決めるだろう? そして“一票の格差”で得をしているのは地方な訳なんだが、実際、地方が得をしているんだよ。無駄な公共事業の多くは、その所為もあって行われていると言われている。

 更にそれは財政負担増、財政赤字増、税負担増と悪い連鎖を生む」

 アキがそれに補足する。

 「その昔、多く税金を納めた人に多く投票の権利を与えた事で、世の中は既に富を持っている人に都合良く捻じ曲げられちゃった訳だけど、それと同じ事が“一票の格差”でも起こっちゃうのだね。

 そして、この“一票の格差”は実は“高齢者優遇”を強めてもいるんだよ」

 「なんで?」と、それに立石が。

 「簡単な話。地方には高齢者が多いから。投票で得をしているのが高齢者だから、高齢者優遇も強くなる訳。だから、若い人達は例え投票する人がいないって言っても、投票はするべきなんだね」

 火田が繋げる。

 「若い連中が投票にいかないのも明らかに問題を大きくしているからな……。若い世代の投票率が高くなれば、政治家達も若い世代を無視できなくなる」

 そこまでを聞いて、吉田がポツリと呟くようにこう言った。

 「そういう問題点を汎化するのなら、民主主義でも起こってしまう、“権力の集中問題”って事になるのかな。ま、日本の場合、一部組織が権力を握る訳じゃないから、ちょっと捉え難いけど。

 とにかく、民主主義でも、権力の集中は完全には抑えられはしないんだ。だから、それら問題点の特性を理解した上での対策が必要になってくる。“一票の格差”みたいに分かり易いものなら良いけど、それだけじゃないからね…」

 その吉田の説明を聞くと、ソゲキがこう疑問を口にした。

 「その問題点を放っておくと、どうなるのですかね?」

 吉田は淡々と説明をし始める。

 「まず、相互作用する事で成り立っているどんな組織だろうと、自己組織化臨界点は存在する。その点を頭に入れておいて欲しい……」

 その説明にソゲキはビビった。

 「自己組織化って…?」

 吉田の暴走である。それを敏感に察した猪俣さんが吉田にハグをして止めようとしたが、それに立石がストップをかけた。

 「待った。話を聞いてみましょう。吉田君、もう少し簡単にお願い」

 吉田は軽く頷くと続きを語り始めた。

 「例えば、砂山を高くしていくのを思い浮かべて欲しい。ある程度高くなれば、増加した質量に耐え切れず、砂山は崩壊を起こすだろう。つまりは雪崩。それが自己組織化臨界現象の一例。組織全体の様相が、ある一点で突然に変化する現象だね。これは、先も述べた通り、相互作用で成り立っているあらゆる組織に起こるものだ。当然、人間社会でも起こる。革命はその一つだろうし、バブル崩壊だってそうだね。つまり、資本主義社会、民主主義社会にだって当然起こる。

 もっとも、だからって絶望する必要はない。自己組織化臨界現象をできる限り無害なものにすれば良いだけの話だから。緩和させる、とかで」

 立石がまた言った。

 「で、具体的には?」

 吉田はまた説明をする。

 「例えば、一部の金持ちに通貨が集中していったとしよう。すると、金持ちには貯金が増えて、それは使用されない死蔵された通貨となってしまう。経済は通貨が使われる事で成り立っているから、それが酷くなっていけば当然、景気は悪化する。そして、それが極限にまで達すれば、崩壊が起きて、通貨価値は下落してしまう。つまりは、経済の恐慌だね。

 これを防ぐ為には、だから、通貨を持ち過ぎた者から、通貨を徴収して、再分配すればいい。もちろん、これは累進課税制度などによる財政の景気自動安定化作用、“ビルト・イン・スタビライザー”だ。民主主義のように富める者にも貧しい者にも同様に権利を与える社会システムは、この効果を支えてもいる。

 もっとも、今、通貨を死蔵させて景気を停滞させている要因は、高齢社会化とそして、消費需要が飽和点を迎えているって点だろうから、富裕税って発想じゃ決定打にはならないだろうと思う。それに、問題点も色々とありそうだし。だから、それに合わせた対策を考えなくちゃいけない。まぁ、今の日本なら、年金の支給額の上限を15万にするだとかいった事かな?」

 吉田の説明が終わると、立石は「ソゲキ、沙世。どう? 吉田君の話を理解できた?」とそう尋ねた。

 「理解率、50%ってところですかね?」と、それにソゲキが答え、「わたしも似たようなもん」と沙世も答える。それを受けて、立石が言った。

 「よし。ギリギリ、分かるレベルだったって事ね」

 それに沙世が「わたし達を検査用に使うな!」とツッコミを。立石は構わず続けた。

 「なんか、今の説明、資本主義と民主主義の組み合わせの要点を捉えていたって気がするから、そろそろ、今回はこんなもんでどうかしら?

 少しはまとめ的な何かを期待したけど、この議論、各論ばっかだったから、やりようがない気がするし」

 それにアキが同意を示す。

 「確かに。今回は、議論が野放しだった分、まとめられる要素がなさそうだね」

 火田や塚原もそれに頷いた。それを受けて久谷が言った。

 「ふふふ、やはりわたしの存在が重要だったという事ですかね…」

 それに立石は言う。

 「いや、初めから全て村上君に任せられてるんだったら、あんたよりもよっぽど良かったと思うわよ。いきなりで代役やった割にはとても良かったわ」

 火田も同意した。

 「確かに。さっきも言ったが、理不尽な訳の分からない振りがない分、村上の方がいいな」

 塚原もそれに頷く。

 その皆の反応に、久谷はこう返した。

 「……これは。今回、わたしはこういう役回りってことですかね?」

 それに「自業自得」と立石が言う。すると、久谷を猪俣さんがそっとハグした。

 「おお、ありがとうございます。傷ついたわたしを癒してくれるなんて。まさに、猪俣さんはこの会議の福祉政策ですよ。資本主義にも福祉は必要だと、実感しました、わたし」

 そして、その猪俣さんの行動に対し、そんな事を久谷は言った。

 「何を言っているのやら…」と、それに沙世がツッコミを。そこで「ちょっと待って!」と立石が口を開いた。

 「まさか……、この最後のオチの為だけに、今回この“猪俣さん”ってキャラを登場させたのじゃないでしょうね?!」

 ノーコントと、作者記しておく。


 以上、2012年11月現在でした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ