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図書館の絵本の小さな旅

作者: CHLOE

 立葵たちあおい市にある、ふくろう図書館は、少し不思議な図書館です。

 たいていの人は気づかないけれど、時々あれ?と思うような魔法のような不思議なことが起こるのです。


 ふくろう図書館は西立葵にしたちあおい駅から5分、3階だての茶色のレンガでできた建物の1階が図書館、2階と3階が市民博物館になっていて、2階には博物館と一緒に小さなカフェがあります。

 図書館の左隣にはふくろう保育園、右隣には小さな公園がありました。

 公園は動物や昆虫、魚、それから大きなドアの形をしたオブジェや、クマやクジラの形にかられたツゲの木があり、水色のゾウの形のすべり台、赤や青、黄色のカラフルなベンチがあります。小さな子どもが遊びに来るのはもちろんですが、おしゃれなので時々映画や雑誌の撮影にも使われました。


 実は博物館や公園にも時々、不思議なできごとが起こるのです。

 でも今回は図書館のおはなしです。


 図書館のご近所にはふくろう保育園のほかにも幼稚園が2つ、小さな通りを1つ過ぎた所に立葵第二小学校がありました。

 保育園や幼稚園の子どもたちは集団でお散歩の時に、途中でふくろう図書館の子どもトイレを利用して、ほかの子たちがトイレに入っている時に好きな本を選んで、最後に先生がまとめて持つと、みんなで図書館のカウンターに行って「かしてくださーい」と借りていくので、子どもたちにとってふくろう図書館は、身近な大好きな場所でした。


 ほかにも子どもたちがふくろう図書館が好きな理由がありました。

 『三びきの子ブタ』という昔話があるでしょう?

 子ブタの3兄弟がいて、それぞれお家を作ります。一番上の子ブタはなまけもの、麦わらのお家を作ります。二番目の子ブタは面倒くさがり、木のお家を作ります。三番目の末っ子の子ブタは臆病で、丈夫なレンガのお家を作りました。

 ある日、おなかをすかせたオオカミがやってきて、子ブタの家にそれぞれぶーっと大きな息をふきかけました。麦わらの家と木の家はふきとばされて、一番上の子ブタと二番目の子ブタはオオカミに食べられてしまいました。

 でも三番目のコブタのレンガの家だけは丈夫で吹き飛ばされず、仕方なく煙突から入ってきたオオカミは、ぐつぐつ煮たったおなべの中に落ちて、三番目の子ブタに食べられてしまうのです。

 絵本によっては二匹の兄さん子ブタはお家が吹き飛ばされた時に逃げて、末っ子子ブタのレンガの家に逃げ込んで助かったというのもあります。


 『三びきの子ブタ』のお話を聞いた子どもたちはみんな、茶色のレンガでできたふくろう図書館は安全な場所だと思うのです。



 ある日、ふくろう図書館に新しい絵本がとどきました。

 その1冊が、さぎむらはるこ作・絵『だるちゃんまるちゃん ふうせんのたびにでる』です。


 大きさはたて18センチメートル横18センチメートルの小さな絵本で、ふたごのだるま、赤だるまのだるちゃんと白だるまのまるちゃんが活躍するシリーズの最新作です。

 「だるちゃんまるちゃん」シリーズは47年前に最初の1冊が出た人気のシリーズで、これまで11冊の本が出版されました。最新作『ふうせんのたびにでる』は12年ぶりに発売されました。

 絵本作家として50年間活躍し、75歳になった作者の鷺村さぎむら治子はるこ先生は、この本が先生の最後の本になると宣言しました。


 日本中のどの図書館にもこの本は入りましたが、ふくろう図書館ではたらく青路アオジさんはこの本を見た時、何かがおこりそうな予感がしました。


 アオジさんは45歳の女の人で、3つの会社で働いてやめた後、半年前に子どもの頃からずっと夢だった図書館司書になりました。少しドジな所がありましたが、本が大好きでした。


 図書館の本は本屋さんから図書館に来る前に、別な場所で、この本はどの図書館の本ですという情報が入ったバーコードのシールがはられます。

 そして本を湿気から守ったり、汚れないように、ブッカーという透明のフィルムがかけられます。


 『だるちゃんまるちゃん ふうせんのたびにでる』のブッカーをはったのは、自宅でブッカーはりのアルバイトをしている72さいのたまえさんでした。


「まだこのシリーズがあるのね。懐かしい」


 たまえさんは3人のこどもを育てましたが、子どもたち全員に一番最初に出た『だるちゃんまるちゃん』を読みました。一番下の3番目の子ども、といってももう43歳ですが、誕生日に2作目の『だるちゃんまるちゃん うみへいく』が贈られました。


 こうして図書館の本として装備されてから、ふくろう図書館に届いた『だるちゃんまるちゃん ふうせんのたびにでる』にはられたバーコードを、アオジさんがバーコードリーダーで読み取ると、レシートプリンターから予約レシートが出てきました。

 予約が入っているのが自館のふくろう図書館なら、カウンターの後ろにある予約の棚に置きます。同じ市の他の図書館から予約が入っている場合は、折りたたみコンテナ、通称オリコンに入れて他の図書館に送りました。


 『ふうせんのたびにでる』は自館ふくろう図書館の予約でした。予約が入ると、自動的に自動音声の電話やメールで連絡が、10時と12時に予約者さんにいきました。連絡がつかない場合は図書館員が直接電話をして、それでも連絡が取れない場合はハガキを送りました。


 『ふうせんのたびにでる』も予約者さんに連絡がいったはずでした。

 ところが午前10時半になった時、同じ市内のこぐれ図書館から電話で連絡がきました。


「そちらで予約が入っている『だるちゃんまるちゃん ふうせんのたびにでる』が間違ってこちらに届いていますよ」

 ふくろう図書館館長の鳩山ハトヤマさんは大あわてです。もう予約者さんには連絡がいっているはずなので、大急ぎでハトヤマさんが通勤につかっている自転車に乗ってこぐれ図書館に『ふうせんのたびにでる』を取りにいきました。


 確かに自館の予約棚に入れたはずなんだけどなあとアオジさんは思いましたが、確信が持てなかったので、ハトヤマさんに謝りました。

 ハトヤマさんは38歳の男性。年の差は、ハトヤマさんが小学1年生の頃、アオジさんは中学2年生です。人生では先輩なのに、本当に申し訳なくて、アオジさんは自分で取りに行きたかったのですが、アオジさんは電車で通勤しているので自転車はなく、こぐれ図書館の場所も知りませんでした。


 新刊『だるちゃんまるちゃん ふうせんのたびにでる』は、こうしてオリコンに入れられてこぐれ図書館に行き、ハトヤマさんの自転車でふくろう図書館にもどってきました。これがこの本の最初の旅でした。


 『ふうせんのたびにでる』は3日後の日曜日に予約者さんが取りにきました。

 土曜日と日曜日は利用者さんたちで、図書館が1週間で一番にぎわう日です。


 図書館には図書消毒機という、ちょっと電子レンジに似た機械があります。

 本を立たせて開いた状態で、30秒紫外線を照射し、ページの中まで除菌するのです。ふくろう図書館の消毒機は6冊まとめて消毒できました。本にしみついてしまったタバコの匂いなども3〜5回除菌すると、匂いが薄くなりました。

 最初にこの機械が入った時には、使う人はわずかでしたが、コロナが大流行してからは多くの人が利用するようになりました。

 本の下から風をあてるので、ページがパタパタと踊るような感じで、見ているのが楽しく、子どもたちにも人気がありました。機械を動かすボタンは一番高い所にあるので、小さな子どもは、お母さんやお父さんに抱っこされてボタンを押しました。


 その日曜日、消毒機を使おうとした5歳くらいの男の子とお父さんが絵本を持って、アオジさんがいるカウンターに来ました。

 男の子は『ふうせんのたびにでる』の絵本をカウンターによいしょとのせました。

「この本、消毒機の横の机にあったよ」

 男の子が言うとお父さんも言いました。

「誰かが忘れていったみたいです」


「ありがとうございます」

 アオジさんは本を受け取りました。


 せっかく予約したのに、ほかの本と一緒に借りて消毒機を使った時に忘れたのでしょう。1冊だけ新しい本だったので、よけたのかもしれません。

 図書館で借りられたけれど、図書館に忘れていかれた本は、後で忘れた人が取りに来る可能性もあるので2、3時間ほど置いた後、予約の人が100人以上などたくさんいる場合には借りた人に連絡しますが、たいていは返却をかけてしまいます。


 大人向けの本は、直木賞や本屋大賞など、賞をとって話題になったり、人気の作家さんが書いた本は、1000人以上の予約が入って1年以上も待つ場合がありました。

 けれど子どもの本は人気の本でも、そこまで予約は入りませんでした。

 『ふうせんのたびにでる』の予約は30人。アオジさんは一応借りた人に電話しましたが、その人は出なくて、留守番電話にもなっていなかったので、2時間後に返却をかけました。

 予約票が印刷されました。次の予約者さんの受け取りは、こぐれ図書館でした。それは『ふうせんのたびにでる』が、間違えて運ばれた図書館で、『ふうせんのたびにでる』は再びこぐれ図書館行きのオリコンに入りました。


「結局こぐれ図書館に行くんだ」

 アオジさんはためいきをつきました。


 ひと月がすぎたころ、ふくろう図書館に警察署から電話がかかってきました。

「そちらの図書館の本が届けられました。こちらでお預かりしているので利用者の方に連絡を取っていただけますか?」


 本にはられているバーコードにはふくろう図書館の名前も印刷されているので、こちらに連絡があったのです。


「バーコードの下にある数字を教えていただけますか?」

 館長のハトヤマさんは本の番号をきくと、パソコンに入力して、借りた人を確認すると、その人に電話連絡をしました。


 図書館の本は借りた人が紛失すると、弁償しなくてはなりませんでした。お金を払うのではなく、同じものを購入して図書館に返すのです。


 幸い『ふうせんのたびにでる』は借りた人が警察署に取りにいって、ふくろう図書館にもどってきました。



 1年がたちました。

「うちの『だるちゃんまるちゃん ふうせんのたびにでる』のろわれてない?」

 図書館にかかってきた電話に出た百川モモカワさんが、電話を切ったあとで図書館じむ室にいたみんなに言いました。

 モモカワさんは図書館で一番若い22歳の女の人でした。


「今度は借りた人、おばあさんなんだけど入院しちゃって、しばらく返しにこられないんだって。確認したらその1冊が『ふうせんのたびにでる』だった」


 図書館事務室には数人の図書館スタッフがいましたが、それを聞くと口々に言いました。


「ええっ?前は別な人が電車に忘れてきたから、返却日が過ぎたけど待ってくれって連絡きたよね。面倒だから弁償でいいのに、結局見つかって持ってきてくれた」


「旅行先のホテルに忘れたから待ってくれってのもあったよ」


 『ふうせんのたびにでる』はしょっちゅう行方不明になりました。

 人気の絵本なので、もう1冊購入しましたが、行方不明になるのはきまって最初にきた本でした。

 でも何度行方不明になっても、必ずふくろう図書館にもどってくるのです。


 借りられた時だけではありません。

 図書館の中でも、絵本コーナーの並んだ本の後ろに落ちたり、予約棚でも『ふうせんのたびにでる』を予約していない別な人の本の束にまぎれこんでいたりと、何度も行方不明になりました。


 さらに2年がたち、たくさんの人に借りられて古くなった、最初に来た『ふうせんのたびにでる』は、新しい本が買いかえられたので、除籍されることになりました。

 役目を終えた本は、パソコンの本のデータで除籍されると、本の後ろにはられた図書館のバーコードの上に「リサイクル本」のシールをはられて、図書館の入り口にあるリサイクル本のコーナーに置かれて、ほしい人に持っていってもらうのです。


 リサイクル本コーナーは、図書館のカウンターからよく見える場所にありました。

 そうしないと、そのコーナーに関係ない本を置いていく人がいるからです。

 宗教や勧誘の本もありますが、多いのは自分の家でいらなくなった本です。

 図書館では一般の人から寄付された本も受け取ります。カウンターで寄贈の手続きを取り、中には図書館の本棚に並べられるものもありますが、古くなっていたり、既に図書館が持っている本は、除籍された本と同じくリサクル本のシールをはって、利用者の人に提供されます。

 その手続きを知らないのか、面倒なのか、いい人にもらってねと自分の古くなった本を無断で置いていく人がいるので注意します。手続きを取らない本は、3ヶ月ほど忘れ物として図書館に保管されますが、持ち主が現れない場合はゴミとして捨てられてしまいます。


 『ふうせんのたびにでる』はリサイクル本コーナーに並べられたのを見たアオジさんは仕事が終わってもし残っていたら、もらいたいなと思いました。

 何度も行方不明になったり、警察にお世話になってもどってきたりと、たくさんの冒険をしてきた本でしたから。

 でも午後5時に仕事を終えたアオジさんがリサイクル本コーナーを見ると、本はもうなくなっていました。



 そしてさらに1年がすぎました。

 図書館では毎月、小さな子どもへの読み聞かせや小さなコンサート、本に関する講演会、読書会など、さまざまなイベントを行いました。

 その中でも今回のイベントは大人気で、あっという間に参加希望が埋まってしまいました。


 『鷺村さぎむら治子はるこさん 「だるちゃんまるちゃん」50周年』という絵本の人気作家さんの講演イベントでした。


 鷺村先生は人気絵本シリーズ「だるちゃんまるちゃん」を始めとする童話や絵本を50冊も出した、偉大な作家でした。

 本来なら小さな図書館での講演会などありえなかったでしょう。

 小学生の頃に立葵市に住んでいたことがあるということで、今回の講演を引き受けてくれたのです。


 アオジさんは講演会の担当ではありませんでしたが、カウンターからも講演会が行われている視聴覚室の拍手や笑い声が聞こえてきました。

 アオジさんも幼稚園から小学2年生頃まで、鷺村先生の絵本や童話を読んだので、先生がいらっしゃるだけどドキドキしました。


 講演会の参加者は30名でしたが、事前に数人の方から電話で、先生に花束やプレゼント、お手紙をお渡ししても良いだろうかと問い合わせがありましが、それはお断りしていました。質問コーナーは設けていましたが、それ以外の交流はありませんでした


 会が終わったようで参加者の方たちが図書館出入り口の方から帰っていきました。

 これまで図書館で講演をしてくれた人たちは、講演が終わってしばらくして関係者出入り口の方から、たいていはタクシーに乗って帰りました。


 ところが鷺村先生は図書館も見ていきたいと、講演が終わった30分後に館内へハトヤマ館長ともう1人の関係者の男性と出てきました。

 鷺村先生は文学雑誌でインタビューを受けたり、テレビにも出演されたことがありますが、先生は目立つファッションをしているわけではなく、見た目は普通の優しそうなおばあさんでした。


 鷺村先生は優しい表情で、児童本コーナーや、幼児のためにカーペットが敷いてある絵本コーナーを案内されていました。

 講演会のために鷺村先生の著書のほとんど、特に「だるちゃんまるちゃん」シリーズは閉架書庫からも持ちだしてすべてが会場の視聴覚室にあり、本棚にある「さぎむらはるこ」と書かれた仕切りのところに本は1冊もありませんでした。


「ふだんはこちらに先生の本がたくさんあって、たくさんの児童が借りていくんですよ」

 とハトヤマ館長が説明しました。鷺村先生はうなずきます。


 講演会があることは、入口に小さなポスターがはってあるので、知っている人は多くいたでしょう。

 館内の利用者の人たちの何人かも、先生の方をふりかえっていましたが、気をつかって見て見ぬふりをしていました。


 先生は館内の真ん中にあるカウンターの前に立ち止まると、左右におじぎをし、最後にカウンターのアオジさんたち図書館員にもおじぎしました。


 その時、講演会に参加していた「たちあおい絵本の会」の3人の高齢女女性たちが拍手して言いました。

「鷺村先生、すてきな本をありがとうございました!」


 アオジさんたちカウンターの3人の図書館員たちは、いいの?と手が止まりました。

 ところが、図書館にいた多くの利用者の人たちもまた一斉に拍手しました。


 それにつられてカウンターのアオジさんたちも、先生をご案内していたハトヤマさんも先生に拍手しました。


 先生はもう一度、館内を右左、そして入口の方にもおじぎしました。


 拍手が続く中、ハトヤマさんが視聴覚室へ戻ろうと鷺村先生をエスコートしかけた時でした。


「あら?」

 鷺村先生が言いました。


 鷺村先生の目線は図書館入口の横になるリサイクル本コーナーに向けられていました。


「あっ!」

 ハトヤマさんがあわてた声をあげました。


 目が悪いアオジさんは最初何があったのか分かりませんでしたが、隣にいたモモカワさんが小さな声で言いました。

「やばいよ。リサイクル本にだるちゃんまるちゃんの本があったみたい」


「え?」

 そんなことはないはずです。朝見た時にはそんな本はなかったし、今日リサイクル本は追加されていないはずです。


 先生はリサイクル本コーナーの方に行き、すっかりよごれた『だるちゃんまるちゃん ふうせんのたびにでる』の本を手に取りました。

 ふくろう図書館でリサイクル本として出した『ふうせんのたびにでる』は、1年前の何度も行方不明になった1冊だけで、すぐにもらわれていきました。


 リサイクル本コーナーで一度もらった本は、読み終わっていらなくなっても、もう図書館の本ではないので、図書館にもどさず、その人が処分しなくてはなりませんでした。

 もしかしたらほかの図書館のリサイクル本の『ふうせんのたびにでる』がそこに置かれたのかもしれません。でもアオジさんにハトヤマさん、モモカワさんは、それがあの本だと思いました。


「この本、わたしがいただいていいかしら?」

 鷺村先生は、ぱらぱらと本をめくると言いました。


 その『ふうせんのたびにでる』は、見返しのページには大きく折られたあとがあり、いくつかの破れた所には専用のテープ、ブッカーがはってあり、本のページとページがくっついている、本ののどの部分が割れたのをボンドで修正した所もありました。汚れもたくさんありました。

 小さな子どもを中心に、たくさんの人に読まれた本でした。


「もちろんです。ぜひお持ちください」

 ハトヤマさんは冷や汗をかきながら言いました。


「ありがとうございます。図書館からのすばらしい贈り物だわ」

 鷺村先生は言いました。


 鷺村先生は、館内をまわる前に「ふくろう図書館さんへ」と図書館にあてた色紙を、だるまのだるちゃんまるちゃんのイラストと先生のサイン付きで書いていましたが、帰る前にその色紙のだるちゃんまるちゃんに、追加でそれぞれ風船を持たせました。



 こうしてふくろう図書館の絵本『だるちゃんまるちゃん ふうせんのたびにでる』は、いろんな人に出会って、さまざまな旅をして、最後にお母さんである鷺村先生の元へと帰っていきました。


 ふくろう図書館の絵本の棚の上には鷺村治子先生が描いた、風船を持った双子のだるま、だるちゃんまるちゃんの絵の色紙が飾られています。


 ごくごく普通の絵本が、日本中のどこにでもあるような図書館に来て出会う、小さな冒険(図書館スタッフにとってはトラブル)の数々です。


 2024年には私が子どものころに読んだ大好きな絵本の作者の方が3人お亡くなりになりました。『おつかい』のさとうわきこさん、「ぐりとぐら」シリーズの中川李枝子さん、『ねないこだれだ』のせなけいこさんです。このお話に出てくる絵本作家、鷺村治子先生は架空の人物ですが、3人の先生たちに思いを込めて作りました。


 このお話に出てくる、絵本の双子のだるま「だるちゃんまるちゃん」の名前は、実は私が飼っていた桜文鳥2羽、ダルとマルからとっています。本名はベルギーのチョコレートのお店から「ダルシー」と「ピエール・マルコリーニ」ですが、ダルちゃんマルちゃんと呼んでいました。


 だるまさんの絵本は、加古里子 (かこさとし) さんのだるまちゃんシリーズ、かがくいひろしさんの「だるまさん」シリーズが特に有名な気がします。かわいくて私はどちらも大好きです。「だるちゃんまるちゃん」は、内容は全然出ませんでしたが、他にも絵本の「ぐりとぐら」や「チリとチリリ」をイメージしています。

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「ぐりとぐら」 どういう内容だったか思い出すのが難しいのですけれど、タイトルは覚えています。 小さな頃夢中になって読んだお話があるっていうこと自体がその人にとって大切なものになるのだろうなって改めて感…
絵本の冒険、アイディアが斬新で引き込まれました。 最後は自分を描いてくれた作家さんの元へ帰れて、充分旅をした絵本は本望だったでしょうね。 鷺村先生の人柄も素敵で、あとがきに書かれていた三人の大作家さん…
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