物語がゆっくりと動き始める
ある朝、ガリュウが目覚めると奴隷商人がガリュウ
に話しかけてきた。
「起きてるか?ガリュウ、お前の試合が決定したぞ」
ガリュウが驚いた顔で、
「もう、決まったのかっ?この間、試合を行ったばかりだろ?」
奴隷商人がガリュウの疑問に答える
「お前の戦闘を見たいと大金を支払った客がいてなな」
ガリュウが話を聞いて近くにいたベルに話しかける
「ま〜それならしょうがないしな、ベル!300勝目の偉業達成は俺が先かなぁ〜」
ベルが不機嫌そうに、
「ちっ、まだ勝てるかわかんねぇだろ、勝ってからドヤ顔しろ」
奴隷商人がその話を聞いて言う
「ガリュウだけじゃないお前もだベル、試合が決まっている」
ベルが驚いた顔で言う
「ど、どっちが先に試合をやる日程なんだ?お、俺か?俺かっ?」
ベルが催促するように聞くと、奴隷商人は不気味な
笑みを浮かべた後に答えた
「2人とも同日に試合を行う、試合順はまだ秘密だ。2人とも300勝目がかかっているからな特別な相手を用意した」
ガリュウとベルに緊張感が高まった。偉業達成をで
きるかを不安に思う気持ちもあるが、それよりも30
0勝目を達成した後に自分が外の世界に行けるとい
うことに心の準備ができず、現実味が湧かないでい
た。
「試合の日は、1週間後だ。試合に備えとけよ」
奴隷商人はそう言うと、2人の前から立ち去った
その日は、コロシアムで誰の試合もなかった為、奴
隷達はコロシアムの掃除作業を行なっていた。
ガリュウとベルが観客席の掃除をしていると、黒髪
の4人組のうちの1人が話しかけてきた。
「お前らついに300勝目がかかった試合決まったんだってな」
話しかけてきたのは、黒髪の背の高い鬼人族の少年オーガである。
「2人とも頑張ってね〜」
黒髪の猫耳の獣人族の少女、アリスが欠伸をしながら2人に話しかけた。
近くにいた黒髪の魚人族の少年、アクアはつられて欠伸をした。
「ふぁ〜」
「おい!お前らっ!シャキッとしろ!」
黒髪の真面目そうな竜人族の少女、マイが叱責する
彼ら4人とガリュウとベルは黒髪であり、全員が同
い年であった為、彼らの仲が良くなるのは必然であ
った。
「しかし、お前らがここを出ていくというのも少し寂しいな」
オーガが少し寂しそうに言う
「まだ勝ってないのに、気が早いよ〜オーガァ〜」
オーガの発言にツッコミを入れるアリス
「でも、ランキング1位と2位で2人ともすごく強いじゃん、勝ちは確定みたいなものだよ!」
アクアは少し興奮気味に話す
マイはアクアの話に続けて話す
「あぁ、2人とも他の者とは一線を画す力だからな。しかし、驚きだよな、戦闘において誰もが使用するはずの、
[魔法の力]
を2人とも使えないのにコロシアムの最強がお前らなんだからな」