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【完結】弱男だけどなぜかお天気お姉さんと付き合うことになった件  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
最終章 本物の恋

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第64話 年末特番3・地獄恋バナ

 カウントダウンが終わり、特番もすぐに終わった。


 俺は、いつの間にか起きていた母親とリビングでテレビを見ていた。手元には年越しそば……の汁だけ。麺は食べたわけではない。そんなものは初めから存在しないのだ。


「そばスープ美味しいわねぇ」


「麺が食いてぇよ」


「たかが年越しくらいで()らないでしょ」


 コイツ色んなものを敵に回しそうなこと言うよな。ま、その結果が我らぼっち一族なんだよね。ハァ、死にてぇ。


「ねぇ、空雄ちゃん。風華ちゃんは次いつ来るのかしら?」


「……もう来ないかもな。アイツも(いそが)しいし、こんな汚ねぇ家には二度と入りたくないだろ」


「もう、空雄ちゃんたら(ひね)くれたこと言わないの」


「事実だろ」


「あのね、よく聞いて空雄ちゃん。この機を逃したら空雄ちゃんは二度と結婚できないわよ」


 すげぇ失礼なやつだな。事実だけどな!


「逃そうが逃さまいがどちらにせよフラれて終わりだよ。俺には無理だ。何の魅力もないからな。孫の顔が見たいなら諦めな」


 空子が眉を寄せて梅干しみたいな顔になった。


「あのね、恋愛を複雑なものだとみんな口を揃えて言うけれど、なんてことはなくて、ただ同じ時間を共有するだけで好きになるものなのよ」


 ケッ、そんなの一部だけだろ。


「空雄ちゃん、恋愛は数式のようなものなの。一見難しくて誰にも解けないように見えても答えは簡単だったりするの」


 俺と同じ底辺高卒がなに言ってんだよ。できる計算なんて掛け算がギリだろ。


「今、あなたの心にある言い訳を全部取っ払って考えてみなさいな。相手がお金持ちだからとか、顔や学歴や歳の差だとか、そういう(ぞく)な考えは捨てて、自分の気持ちに素直になった方がいいわ」


「そんな簡単に取っ払えるものじゃねぇんだよ」


 劣等感の塊なんだぞ俺は。


 つーか、年始早々、親と蕎麦(そば)の汁(すす)りながら恋バナって地獄過ぎるだろ。


 空子がため息を吐く。そしてとんでもない事を言い始める。


「じゃあ仕方ないわね。デキ婚を狙いなさい」


「んぐ!?」


 俺は蕎麦の汁を吐き出しそうになるもどうにか飲み込んだ。


「はああ!? 何言ってんだババア!」


「避妊具の節約にもなるわ!」


 このババア倫理観おかしいだろ! そりゃあ俺もクズに育つわ!


 親ガチャN過ぎんだろ! リセマラしてぇ!

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