表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】弱男だけどなぜかお天気お姉さんと付き合うことになった件  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
最終章 本物の恋

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/68

第63話 年末特番2・カウントダウン

 年末特番の今年の振り返りランキングが続いていた。


「それでは気を取り直して第三位の発表ですわー! ピュイピュイピュイピュイ——」


 人妻口笛助かる。


「ででん! 第三位は、梅雨(つゆ)の服装特番ですわー!」


 あー、あれかー。俺がビッキーと初めて会ったのがこの放送の少し前だったよな。


「風華ちゃんが枝豆のコスプレをしたせいでグリーンバックの背景と同化してしまったのですわ」


「ソラマメじゃなかったでしたっけ?」


 どっちでもいいだろ! コスプレなら大して変わんねぇよ!


 過去の映像が流れる。マヌケな枝豆が阿鼻叫喚(あびきょうかん)している。今見ると面白いなー。お天気お姉さんがやる事ではないけどな!


「どんどん行きますわ。続いて第二位は、ピーヒョロロロロロロ——」


 人妻トンビは……まぁカワイイか。ちょっと信者力を試されるな。


「ででん! 社員寮破壊事件ですわー!」


 はいはい、あれね。風華がバット振ってビッキーの部屋の壁を破壊したやつ。


「風華ちゃん、覚えていますの?」


「悲しい冤罪(えんざい)事件でしたね」


 よし、コイツを死刑にしよう!


 ビッキーの軽蔑(けいべつ)した視線が風華に向けられる。俺に向けてくれ!


 社員寮の映像が映し出された。風華が壁を破壊するシーンが流れる。穴をカレンダーで隠し、スタッフを飴玉(あめだま)で買収していた。コントにしか見えねぇ。


「この犯人にモザイク掛けた方がいいですよ」


 自分で言うな。


 そして次へ。


「いよいよ第一位の発表ですわ。映えある一位は……カレーぶち撒け事件ですわ」


 テンションが低い。ビッキーが最大の被害者だもんな。


 風華はニヤニヤしている。性格悪いなコイツ。


「とても(から)い、じゃなかった、(つら)い事件でしたね……」


 (あお)ってんじゃねぇぞ。


「それでは映像があるので観てみましょうか……」


 公園。ヒールを()いた風華がビッキーに走り寄る。直後、バランスを崩してカレーの容器が(ちゅう)を舞った。


 そしてカレーがビッキーの頭に掛かった瞬間。


「キャハハハハ!」


 スタジオの風華が大笑いしていた。


 よし、ビッキーよ、コイツを煮込んでカレーにしてやろうぜ!


 ビッキーが無言で風華をにらむ。


「あ、すみません」


 さすがにビビったのか風華は真顔になった。


「コホンッ、私のぶち撒けレトルトカレーも公式サイトで販売していますので、よければお買い求めくださいな」


 笑顔で宣伝するビッキー。さすが、プロ意識高い。


「さて、これで今年あったことの振り返りランキングは終了ですわね。本当に風華ちゃんの年でしたわ」


 一位から五位まで埋めやがって。シーズンMVPじゃねぇか。


「せんきゅーせんきゅー」


 またドヤ顔。誇っていいことじゃねぇだろ。不名誉な称号だぞ。


 それから雑談していると、(れい)時が近づいてきた。


「あ、そろそろカウントダウンが始まりますわ! 皆様準備してくださいまし」


 画面に数字が表示される。


「あわわわ、どうしますか!? 天気でも予報しますか!?」


 世界の終わりじゃあるまいし、もう黙っとけよ。


 残り十秒。


 色々あった一年だったな。弱男としては、この一年に人生の全てのイベントが凝縮(ぎょうしゅく)されていたと言っても過言ではない。……もう二度とこんな濃厚な年はないだろうな。


 五、四、三、二、一、ゼロ。


「あけましておめでとうございますわー!」


 拍手が巻き起こる。


 一方で空子はスヤスヤと寝息を立てて寝ていた。ま、そうなると思ったよ。コイツはこういうイベントに興味ないだろうしな。俺も風華が出ていなければ寝ていただろう。起きてても腹が減るだけだし。


 その時、スマホが鳴る。なんだ? もしかしてあけおめメールか? 俺に友達はいないし、ないか。年賀状も学生時代に出したっきりだしな。


 見ると、メールは風華からだった。あれ? 生放送中だよな?


 スタジオが映った画面を見るが、楽しげに新年を祝ったままだ。


 とりあえずメールを開く。


『あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします』


 なるほど、予約か。


 俺も送っといた方がいいよな。


 『あけましておめでとう。今年も』


 そこまで打って止まる。


 今年、どうだろうな。このままの関係が続くとは思えない。


 俺は一度、文を消去し、『あけおめ』とだけ打ち直して素早く送信した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ