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【完結】弱男だけどなぜかお天気お姉さんと付き合うことになった件  作者: 一終一(にのまえしゅういち)
第1章 弱男だけどなぜかお天気お姉さんと付き合うことになった件
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第15話 マスコットキャラ1・ダンス

 乃和木風華がマスコットキャラとして出演する生放送当日。俺はまたしても仕事が休みだったのでパソコンの前で待機していた。本当は見たくもないけど切り抜きしないといけないからな。未だに収益化できないのによぉ!


 不満を垂れながらもしっかりと見ていた人妻キャスタービッキーの天気予報が一段落ついていた。彼女はこの後も乃和木の補助として司会進行してくれるらしい。食レポで頭にカレーを掛けられたにも関わらず、まだ乃和木と共演してくれるってどんだけ聖人なんだよ。


 仕事と割り切って表面状は付き合ってくれてると思ったら、裏でも前と変わらず仲良く話しているらしい。早くノーベル平和賞差し上げろ!


「さて、天気予報は一度置いといて、本日は特別なゲストが来ておりますの。洗濯王国から来た洗濯精霊のドライくんですわ」


 クソみたいな王国名だな。国中、生乾き臭してそう。


「それでは登場していただきますの! ドライくーん!」


 ビッキーの気品ある声の後、画面端からムンクの叫びみたいなキャラが出てきた。顔はミイラで、体はマスコットらしくふっくらしている。乾燥からミイラを連想して作ったっぽい。子供が泣いちゃうタイプのマスコットだな。早く処分しろ。


「みんなー! こんにちはドラー!」


 声は完全に乃和木風華だ。フラダンス風の動きをしたり、親指を立てて上下に動かしたりしている。このクソみたいな動き、中身も乃和木だな。頼むから中指は立てるなよ。


 つーか声も中身も同じってキャスターの負担デカすぎだろ。食レポの時も思ったがスタッフもちょっと無能だよな。無能な俺に思われるってヤバいぞ。


「ドライくん、今日は遠路はるばる来てくださりありがとうございますわ」


「金をくれるというので仕方なくきたドラ」


 黒い発言やめろ。ハリウッド映画に出てくる毒舌系マスコットかよ。


「あはは……ともかく歌と踊りを見せてくださるのですよね?」


「積まれる金次第ドラ」


 早く祖国に送り返せ。


「えー、そこはプロデューサーさんと応相談ということでお願いしますわ。ということで! まずはダンスを披露していただきますわー! ミュージックスタートですわー!」


 強引に始めちゃった。まぁしゃーない。クソマスコットが悪い。


 すぐにリズミカルでハイテンポな曲が流れる。


「よーし、頑張るぞー」


 おい、乃和木の音声入ったままだぞ。音響スタッフ仕事しろ。


「チャッ、チャッ。チャッ、チャッ」


 何だよそのリズムの取り方。ラーメンの湯切り音かよ。


「小ジャンプ、小ジャンプ、しゃがみ蹴り!」


 そう言ってぴょんぴょんしたり蹴りの動作をし始めた。


 格ゲーかよ!


「弱攻撃、中攻撃、強攻撃!」


 空中に向かってパンチやキックを連打している。


 格ゲーのチュートリアルしてんじゃねぇぞ!


「ビーム、ビーム、ビーム!」


 格ゲーで開幕遠距離攻撃連打する系の人かよ! まぁ挨拶がわりだよな! てか格ゲーじゃねぇって!


「壁際に追い詰めて起き上がった直後に叩く!」


 ハメ技やめろ! まず誰を追い詰めてんだよ!


「くるっと回ってターン!」


 字面だけ見たら何回まわってるかわかんねぇよ!


「ピヨピヨ」


 だから格ゲーかよ! 気絶してんじゃねぇよ!


 今度は膝をついて肩で息をし出した。


「コンティニュー?」


 負けてんじゃねぇぞ!


 その後、仰向けに倒れた。


「ゲームオーバー」


 諦めてんじゃねぇぞ! 追加のコイン投入しろ! てか踊れよ!


 続いて起き上がって腰を左右に揺らし出した。


「腰フリフリ」


 格ゲーで舐めたプレイ(舐めプ)してるやつにしか見えないぞ! 早くアクセス禁止(アク禁)にしろ!


「ここで必殺!」


 必殺いうな! 格ゲーみ増しただろ!


「ハニワの構え、歌舞伎の構え、印籠の構え!」


 よくわかんねぇけど必殺技演出なげぇぞ! クソゲー確定だな!


「K.O.」


 完全に格ゲーじゃねぇか! 誰に勝ったんだよ!


「コンティニュー?」


 いや、負けてたのかよ!


「ROUND2 FIGHT!」


 二本先取かな? じゃあコンティニュー演出要らなかったな! ムダにイラつかせるんじゃねぇよ!


 次は肩を揺らしながらファイティングポーズを取っている。完璧な格ゲーキャラだね!


 しかし、あまり体の大きさを把握できていないためか後ろのスタジオセットにぶつかった。


「当たり判定厳しいですぅ!」


 ゲーム脳帰れ!


 そして曲が佳境に入った。


「ここでヘッドスピン……はできないです」


 ヘッドスピンにこだわるなよ。物理的にクビが飛ぶぞ。


「からの!」


 やめろー!


 乃和木がヘッドスピンをするべく、頭を下げるが、床につっかえて転倒。


「ヴゥワッ!」


 格ゲーで攻撃受けた時の野太い声やめろ!


 気を取り直してすぐに起き上がる。しかし、フクロウのごとく顔が逆になっていた。ある意味ヘッドスピンの完成だな!


 スタッフが慌てて助けに入るが、頭を直そうと振り上げた乃和木の腕が偶然スタッフのみぞおちにめり込んだ。


「アウチッ!」


 スタッフが素っ頓狂な声を出して腹を押さえながら吹き飛んでいった。


「YOU WIN!」


 自分で言うな! 謝れよ!

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