6 殿下視点
この世界は『乙女ゲーム』の世界だ。生まれてから3歳位の時に気がついた。
姉達はみな優しかったが故に末っ子の俺を猫っ可愛がりした。
父も母も同様で、綺麗な顔と甘え上手な俺を甘やかした。
甘やかされて育った自分が初めてヤキモチを焼いた相手。
それがエリィだった。
初めて会った時は当然チヤホヤしてくると思っていた1歳上の従兄。
エルドガルド、通称エリィは王弟である辺境伯の子供で、幼い頃から鍛えていたらしく甘やかされてぷよぷよした真ん丸な身体の子豚の様な自分と違いしっかりとした礼儀正しい子供だった。
強い意思を秘めた黒に見える濃い紫色の瞳と烏のような黒髪に怯んだ事を覚えている。
その晩俺は熱を出した。
そして前世を思い出した。
あ、この世界乙女ゲームの世界じゃん、と。
ハッピーエンドは下位貴族の少女が俺の王妃になるという今考えると荒唐無稽なもので夢見る夢子ちゃんなお花畑エンド。
そしてバッドエンドは俺は愚かな王子のまま育ってしまい、王立学園で女性問題を起こして廃嫡される。
そして俺の代わりの王太子として立太子するのがエリィだったのだ。
姉達は国外の王族達に嫁ぐ事が決まっていて王位継承権を持たない為、王弟の子息である彼に白羽の矢が立ったのだ。
そして俺は、王城の北の離宮で幽閉され一生を終える。
うわあ~! ヤベえじゃん!