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まあ、そんなわけで。
入学式で見初められた男爵家(大嘘)の少女を片時も離さない王子殿下に理由を知ってる側近達が苦言を呈する筈もなく。
まるで周りから見れば下位貴族のご令嬢が王子を筆頭に高位貴族の嫡男達を侍らせているように見えるわけで。
毎日のように嫌がらせや不幸の手紙が届き、下位貴族からは腫れ物に触るような扱いをされつつ、小者感満載の奴らを鼻で笑いながら学園に通うこと3年目。
ようやく明後日は殿下が卒業する運びとなり、やっとお役御免になるとホッと胸を撫で下ろしていた矢先の階段から突き落としである。
くっそ腹の立つ女どもめ。
「エリィ大丈夫か!?」
バタバタと廊下を走ってくる音が聞こえる。
どうも殿下と何時もの側近達が警備員と護衛を引き連れて走ってくるようだ。
「あ。大丈夫ですよ殿下。普段から鍛えてますんで」
階段下ですっくと仁王立ちになるご令嬢は勿論エリィだ。
「犯人はあいつ等です。まあ、今迄の嫌がらせの主犯も一緒でしょう」
階段の上に固まって怯えた表情で此方を見ていた4人組が指をさす私と指差す先に目を向ける殿下に気が付き
「「「「ヒッ!」」」」
と引き攣った様な声を上げた。
「公爵家の令嬢とその派閥の伯爵家の令嬢達ですね」
殿下が、ムッとした顔を一瞬したが直ぐに表情を正した。
流石は王族だ。
表情筋が卒なく動く。