15
「そういえば」
「ん?」
「何で突然あんなに強引に私との婚姻を望んだんです?」
その夜寝室で就寝前の読書中に、ふと気が付いたエリィ。
「あの時は物凄い熱烈なプロポーズすぎて、踏ん切りがついた切っ掛けを聞きそびれてました」
あの時、そう。
布団に包まり駄々を捏ねていた日がプロポーズされて、受け入れた日でもある。
いいですよ、と返事をした途端侍従の御仕着せを無理やり脱がされ、押し倒されキスをしまくられたのには驚いた。
そのせいで他には嫁に行けなくなったのもまぁ事実でもある。
ナニがあったのかは割愛する。
「ん~、階段の宙返りを見た時にエリィを女性として認識した? いや違うな」
「宙返り?」
「あの姿が目に焼き付いてさ、性別なんかは関係なく、エリィじゃなきゃ嫌だって気が付いた。偶々女性で良かったけどね」
「偶々・・・」
「うん。エリィなら男でもいいやって思ったんだ。女性でラッキーだった」
ハハハハと陽気に笑う王太子。
何だろう莫迦なのかな? 世継ぎどうすんだよ?! と顔色が悪くなるエリィは・・・
何だか自分が女性で良かったよ、と。
ソファーで夫にキスをされながら、本気で神に感謝したらしい・・・・
了――
『やっかみで階段から突き落としを喰らったヒロイン(仮)のお話し』
by.hazuki.mikado