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 「そういえば」


「ん?」


「何で突然あんなに強引に私との婚姻を望んだんです?」



 その夜寝室で就寝前の読書中に、ふと気が付いたエリィ。



「あの時は物凄い熱烈なプロポーズすぎて、踏ん切りがついた切っ掛けを聞きそびれてました」



 あの時、そう。


 布団に包まり駄々を捏ねていた日がプロポーズされて、受け入れた日でもある。


 いいですよ、と返事をした途端侍従の御仕着せを無理やり脱がされ、押し倒されキスをしまくられたのには驚いた。


 そのせいで他には嫁に行けなくなったのもまぁ事実でもある。


 ナニがあったのかは割愛する。



「ん~、階段の宙返りを見た時にエリィを女性として認識した? いや違うな」


「宙返り?」


「あの姿が目に焼き付いてさ、性別なんかは関係なく、エリィじゃなきゃ嫌だって気が付いた。偶々女性で良かったけどね」


「偶々・・・」


「うん。エリィなら男でもいいやって思ったんだ。女性でラッキーだった」



 ハハハハと陽気に笑う王太子。



 何だろう莫迦なのかな? 世継ぎどうすんだよ?! と顔色が悪くなるエリィは・・・



 何だか自分が女性で良かったよ、と。



 ソファーで夫にキスをされながら、本気で神に感謝したらしい・・・・












了――




『やっかみで階段から突き落としを喰らったヒロイン(仮)のお話し』


by.hazuki.mikado

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