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隣国の王女は乙女ゲームの続編のヒロインなのだ。
勿論攻略対象はこの国の王太子と、その側近であるエルドガルドも攻略対象。
「エリィが僕の妻なら、この世界は乙女ゲームじゃないって思ってくれると思うんだけど」
「まあ、兄とほぼおんなじ顔ですからね私」
「辺境伯の嫡男が王子の側近な訳無いよねえ」
はぁ、とため息をつくが自分だって最近気が付いたのだ。
思い込みとは恐ろしい。
「王太子の執務室に私の机を運ぶの終わりましたよ」
「え、終わるの明日じゃ無かった?」
「ええ。でも急いで終わらせましたから」
「ありがとう! コレで安心できる」
「顔の判別は出来る様になったじゃないですか」
エリィを妻に迎えた途端、女性の見分けが出来るようになった王太子殿下である。
何だろう呪いだったのだろうか?
「いや? 君が側に居てくれると安心できるだけだよ?」
クソ真面目な顔になり、エリィのつむじにキスをする王太子殿下。
エリィはちょっとだけ、はにかみながら微笑んだ。
「それは良かったです」
「うん」
2人は仲良く手を繋いで一緒に使うことになった部屋へと帰っていった。
大きな樫の木がサラサラと風に吹かれて優しい葉擦れの音をさせていた――