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「イヤだ! 行きたくない」
「ナニ馬鹿なこと言ってるんですか! お茶会ですよ!! お・茶・会!!」
卒業式の翌日から殿下の妃候補選考会を兼ねたお茶会が始まったのだが、何故か羽毛布団を丸めて頭を突っ込み叫ぶという幼い頃からの悪癖を再発した王子殿下である。
「だって、皆香水臭い!」
「何を言ってんですか今更」
「同じ顔だし!」
「流行りの化粧だから仕方ないでしょうが!」
「同じ服だし!」
「殿下の色使わなくてどーするんです?」
この幼馴染は未だに反抗期なのか?!
「乙女ゲームは終わったでしょうが!!」
「まだエンディングが終わってないっ!!」
「ええええぇ~・・・なんですかそれ?」
羽毛布団の中から真っ赤な顔をした金髪碧眼の王子様が這い出てきた。
散々抵抗していたので美しいサラサラヘアーもぐっちゃぐちゃで台無しである。
「ヒロインと結婚するハッピーエンドがまだだッ!!」
「ぅヘ?!」
「俺は、お前以外の女の顔が全部一緒に見えるんだ! 責任取れっ!!」
「えええええぇ~、そんな無茶苦茶な・・・」
「俺と結婚してくれ! 子供の時からお前しか居なかった。俺の事を全部理解してくれるのも、信頼できるのも・・・」
「え~と、私は一応殿下の『影』なんでそう言われましても」
「大丈夫だ。昨日のうちに叔父上には婚姻の申し込みの許可をもらったからな!」
「え」
ニコニコ麗しい笑顔を披露しながら、エリィの黒いお仕着せの上着のボタンを勝手に外しにかかる王子様。
ジャケットの前が開いて、下の白いドレスシャツの胸の辺りを何故か凝視する。
「やっぱり・・・胸がある。結構ボインだ・・・」