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筋肉?は己を救うだけじゃなくて王国も救う?
『ドンッ』
背中を誰かに押されて私が手に持っていた荷物は放り出された。
気がつけば、私の身体は宙に浮き落下していく真っ最中。
階段の上へと目を向けるとそこに居たのは、王家に嫁ぐという触れ込みを自分で吹聴していた令嬢とその取巻き達が固まってニヤついていた。
放課後の学園内は閑散としていて、目撃者は少ないと踏んだ犯行だったのだろうが、いくらなんでも人を階段から突き落とすとは・・・
『死んだら末代まで祟ってやる』
そう思いを込めて『キッ』と睨みつけてやった。
×××××
「でさあ、悪いんだけどエリィその役引き受けてくんないかなあ?」
『何を言ってんだこの顔面偏差値だけが異常値の男は?』
不敬かもしれないという考えはこの際頭の隅のゴミ箱に放り込み、視線で殺人が成り立ちそうな冷たい視線で王子を睨む。
「謹んでお断りします」
執務室の机の上に黒い御仕着姿で決済の書類を
『ドンッ』
と置いた。
「そんな事『影』に頼んでないでさっさと仕事してください」