第9話 言易行難の冒険者
カイムに連れられて約3時間(そのうち1時間半は道に迷っていた時間だ)。ようやく洞窟が見えてきた。
「さて、到着だ」
「本当にやるの?」
「本当にやるぞ」
正直な話……というか、普通に不安だ。
疲れてるし、敵の情報もろくに知らない。
僕は死ぬのだろうか。
「ま、死にやしねえよ。少なくともビクついてるうちは」
「だったらカイムが死ぬことになるよ」
「そんときはそんときだな」
「その時になったら僕も死ぬんだけどな……」
「ま、さっきも言ったが、俺らに頼むようなことだ。死ぬほどのもんじゃないだろ」
そうは言っても、やっぱり怖い。
相手が弱かったとしても、命のやりとりをする羽目になる。
冒険者になるということがどういうことか、僕はわかっていなかったのだろう。
「つっても、あれはどうしようもないことだ。今から起こることだけに集中しろ」
カイムはそう言って洞窟に入っていった。
仕方ないので、僕も後に続く。
「おっと、そうだ。ここで魔法のレッスンってのもアリだな」
「唐突だね」
「今思いついたからな。んで、肝心の内容だが、この場で松明を創り出してくれ」
こいつ、松明を忘れたな……。