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 旅立つ前に今一度、ロイさんにリグラルト王家の現状をお聞きしました。


 魔導具『Gふなずし』での返答は、もう二度と僕たちを煩わすことはないとのお墨付き。


 ありがとうございます、ロイさん。


 後顧の憂いを断っていただけたこと、感謝の念に堪えません。



『申し訳ないんだけど、フォリス君にひとつお願い事があるんだけど』


 何なりと。



『うちのリノアが、アレを欲しがってるんだよね』

『ススケ鳥、だっけ』

『今度狩れた時にでも、お裾分け、おねだりしてもいいかな』


 お安い御用ですっ、と言いたいところなのですが、


 なにせ魔灸の森でも滅多に見かけない上に、狩人泣かせな獲物なのです。


 リノアさんにも、その旨ご理解ご容赦いただきたく……



『ごめんね、わがまま言っちゃって』

『ルルリエさんやヒメルミネアさんと食通談義していたら、どうしても味が知りたくなっちゃったみたいなんだよね』


 そういえばルルリエさんって、魔灸の森の南部のケルミシュ村ご出身でしたね。


 東側街道沿いのあの辺りは、僕の狩り場とは魔物や動物の生息状況が結構違いますし、今度あちらまで遠征してみようかな。



『ありがとう、でも無理だけはしないでね』

『もしフォリス君に何かあったら、リノアからはお仕置きどころの騒ぎじゃないだろうからね』


 えーと、それもごちそうさま、で合ってます?



 ベテランご夫婦の熟成具合は、らぶらぶだってひと味違うのです。



『おっと、もうひとつだけ』

『アリシエラのことなんだけど』


 ?



 ---



 アリシエラさんは、ご存知、天才魔導具技師。


 結婚祝いでいただいた各種便利魔導具たちの生みの親なのです。



 ロイさんとは古くからのお付き合い、


 って、そういう意味でのお付き合いではなく、


 ナイスバディネコミミメイドとしてお世話したりお世話されたりの間柄だそうです。


 で、そのアリシエラさん、僕に関して、何やらお悩みとのこと。



 幾度かお会いする機会はありましたが、ゆっくり落ち着いてお話しする機会が無いのです。


 お誘いしているのですが、未だ僕の家にいらしていただけず。


 もしかして、僕、嫌われてるのかも。



『フォリス君の狩人としての矜持について、だそうだよ』


 はて、僕の矜持?



『"狩人は、狩りの腕前を磨く以上に、自身の装備の全てに責任を持つべし"だったよね』


 はい、我が家に伝わる狩人としての心構えですね。


 要は、狩りに使う道具は用意するのも手入れするのも人任せにしないで、自分で責任持ってやりなさいってことなんです。


 特に弓は、自分に合ったものをイチから自作できるよう、厳しく教わりました。



 あーなるほど、僕が武器を自作しちゃってる件ですか。



『そうなんだよ、まさにそれ』

『アリシエラは俺たちみんなの専用魔導具を作ることが、趣味っていうか生き甲斐っていうか』

『フォリス君が弓の自作にこだわっていること、分かってはいるんだろうけど、魔導具技師としての魂がうずいちゃう、みたいな』


 そういうことでしたら、ぜひアリシエラさんにお願いしようかな。



『いいのかい?』


 元々自作にこだわっていたのは、狩りの最中に装備に何かあった場合でも、きちんと自分で直せるようにってことなんです。


 ちゃんと最初からアリシエラさんと相談して、出先でも僕が自分で直せるような弓を作ってもらえば良いってことですよね。



『本当、フォリス君は大人だよね』

『そりゃああの真面目一辺倒なシュレディーケさんも惚れちゃうよ』


 えーと、おそまつさまでした?



『今回の旅には間に合わないだろうから、戻ってきたらじっくり話し合ってみてね』

『アリシエラは何というか、かなり賑やかなんで、フォリス君に我慢させちゃうこともあるかもしれないけど、言いたいことがあったら遠慮せずに、だよ』

『これからも、うちのみんなのこと、よろしくね』


 こちらこそ、よろしくお願いします。



 ---



 ロイさんのおかげで、旅の懸念もアリシエラさんとのわだかまりも解消。


 めでたしめでたし、です。



 ススケ鳥も、頑張って探さないとね。



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