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03 相談


 まずはツァイシャ女王様へと御相談。


 この件は、ふたり揃ってお伺いすべきであろうと、


 お互い正装にてエルサニア城へ。



 いえ、おろしたて冒険者服姿で凛とした佇まいのシュレディーケさんはともかく、


 僕の正装は、普段よりはちょっとマシな程度の、よそ行きの旅服姿なのですが……



 ---



 衛兵さんたちにご挨拶して、堂々と正門から入城。


 ようやく覚えた城内の道順、迷わず真っ直ぐ謁見の間へ。


 玉座に座すは、いつもの気さくなイーシャさんとは違うおすましモード、


 もとい、女王様モードのツァイシャ女王様。



 溢れる威厳と静謐なる佇まい、そして類い稀なる美貌、


 厳かなるこの場をさらに厳粛な空気で支配する圧倒的な存在感、


 その御姿、まさに女王様。



 あの御方こそが、エルサニアの象徴にして頂点、


 この栄華なる地を統べる尊き大輪の才華、


 ツァイシャ・エレイス・エルサニア様!



 ---



 ……えーと、すぐにいつもの小部屋に連れてこられちゃいましたよ。


 どうやら、僕たちの前でおすましモードはお嫌だった御様子……



「里帰り、私もご一緒してよろしいかしら」


 いえ、よろしくないですっ、国の行く末を左右するような行動、厳に慎んでくださいっ。



「だって、シュレディーケさんもお姫さまですし……」


 いえいえ、現役女王様と隠れお姫さまでは、傾国度合いが段違い、


 おみやげたくさん買ってきますから、自重してくださいね。



「そんなにふたりきりが良いのですね」

「もう、好きになさいな」

「でも、いかに熱々新婚旅行とはいえ、あまり羽目を外してはいけませんよ」


 外しませんって、むしろ自重して普段より大人しく……


 そもそも今回の旅行は、シュレディーケさんのお父さんへのご挨拶の旅なのですから。



「マクレルガさんは、とてもお元気だそうですよ」

「今は城での騎士勤めではなく、城下にある御自宅を道場として子供たちや門下の騎士たちと汗を流す武術師範としての毎日、ですって」


 まさに何よりも知りたかった情報、ありがとうございます、イーシャさん。


 お父さん、壮健そうで何よりでしたね、シュレディーケさん。



「……確かに壮健達者は嬉しいのだが、少々心配になってきた」


 何がです?



「父は、強い」

「武術師範として生涯現役を貫く人生、まさに本望であろう」


 お元気そうで何よりです。



「そして、とても真っ直ぐな人なのだ」

「自由な道を歩めと送り出してくれたが、己自身の想いに真っ直ぐ向き合うという生き様は、全て父から教わったもの」


 シュレディーケさんを見ていると、とてもよく分かります。



「人と人とが分かり合うには、剣を交えるのが一番、と」


 つまり……



「フォリスさんは、まず間違い無く父と苛烈な手合わせをすることに……」


 えーと、クロ先生に、良く効く傷薬をたくさんお願いしてきますね。



「本当にごちそうさま、ですね」


 イーシャさん、ひとつお願いしてもよろしいですか。


 手心加えていただけるよう、父上宛にぜひ一筆。



「しっかり手合わせして、しっとり看病されてきてくださいな」

「どうせ看病だって、ふたりきりで熱々なのでしょう」


 心得ました……



 三国一の妻を娶った代償、高く付きそうなのです……



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