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16 覚悟


「おふたりとも、満ち足りた良いお顔ですこと」


 はい、お腹いっぱい、旅を楽しんできました。


 イーシャさんたちのお力添えあってこその、家族水入らずな里帰りでした。


 本当にありがとうございます。



「……私も会いたかったな、可愛いお母さま」


 フリエミスさんは、とても恥ずかしがり屋さんの可愛らしい方でしたね。


 シュレディーケさんとお話ししている姿は、まるで仲良し姉妹のようでした。



「……マクレルガさんには、ひと言申さねばなりますまい」


 がっつりお願いします。


 いかに"らぶらぶに貴賎無し"とはいえ、歳の差にも程があろうってもんです。


 でも、なんだかライクァさんと意気投合しちゃいそうな、奥さま大好き鍛錬大好きの優しいお父さんでしたよ。



「王都リグラートには、まだ『ゲートルーム』の設営許可が下りていませんので、家族団らん、もう少しだけご不自由を我慢してくださいね」


 もう全力での立ち合いはこりごりです……



「おや、男の勝負には武芸以外にも道があるのでは」


 誰から聞いたのですかっ、ソレ!



 大国の君主の情報収集能力、誠に侮りがたし……



 ---



 謁見、というか、イーシャさんにイジられまくった歓談の席もつつがなく終わり、いよいよ我が家へ。


 魔灸の森へは歩いて帰りましょうと、シュレディーケさん。


 分かっております、少々急ぎ過ぎた帰りの旅、最後くらいはふたりきりでのんびりしっぽり、ですね。



 お任せください、奥様。


 紳士としての礼節を保ってのエスコート。


 お手手繋いでのらぶらぶふたり旅に、いざ!



「残念ながらこの旅で悪化してしまったようだな」

「召喚者の皆さんは、今のフォリスさんのような症状を、こう呼んでいたぞ」

「"変態紳士"と……」


 なんだか照れますね、それ。



「夫が"紳士"だろうと"変態"だろうと、生涯添い遂げると誓ったのだ」

「私にだけでは無く、皆に優しいフォリスさんであってくれれば、それで良い」

「ただ、そのアレな態度は、他の女性に向けて欲しくは無いな」


 もちろんですとも。


 僕が全てをさらけ出すのは、僕の全てを捧げたシュレディーケさんだけですから。



 今回の旅は、往路復路共に勉強させてもらいました。


 皆さんと直に触れ合うことで、家族の形にもいろいろあるんだって学んだのです。


 どれが正解とかじゃなく、全てが僕たちの目指すべき家族なんだなって。


 この先どうなるかは予測できませんけど、僕たちが僕たちである限りは大丈夫、ですよね。



「初めて出会った時、初めて……受け入れた時、いろいろな初めてがあったおかげで深く理解できたと思っていたが、フォリスさんには未だに驚かされることばかりだ」

「一緒に暮らして全てを知れば相手を思うがままに、などというのは思い上がりなのだろうな」


 僕にとって大事なのは、シュレディーケさんとふたりで暮らせるってことですから。


 まあ、夫婦ですし、いろいろと思うがままにアレコレしたいっていう気持ちも、もちろんありますけど。



「まさに"変態紳士"の面目躍如だな」

「頼むから人前ではもう少し自重して欲しい……」


 おやおや、何か勘違いなさっておられる。


 僕がヤリたいアレコレって、今回みたいな楽しい旅とか、仲睦まじく家事仕事とか、


 そういうことだったんだけどな。


 はてさて、新妻のシュレディーケさんは、どんな想像をしちゃったのやら。



 ゴツリ



 痛ぇっ、


 こぶしはご勘弁……



 ---



 お久しぶりのアウド村。


 みんなに冷やかされるのも、もう慣れっこなのです。


 各地で手当たり次第に買ってきた大量のおみやげにみんながワイワイしている間に、華麗に脱出。



 そして、我が家へ。



「おかえりなさいませ、ご主人様、奥様」


 ただいまです、ルルナさん。


 通いのお留守番、長々と家のことをお任せしちゃって、すみませんでした。


 本当にありがとうございました。



「おみやげとして旅先でのらぶらぶ話しを詳しくうかがいたいところですけど、さすがに今日これからは、ね」

「では、おじゃまメイドは退散しますので、おふたりとも、まずはゆっくり身体を休めること」

「おうちらぶらぶはほどほどに、ですよ」


 お疲れさまでした……



 ルルナさんが用意してくれていた美味しい夕食、


 久方ぶりの我が家でのお風呂、


 そして……



 ---



 夜、居間のソファでふたりきりのくつろぎタイム。


 お風呂あがりのシュレディーケさん、


 いつにも増して、匂い立つような新妻感。



 おうちらぶらぶ、解禁してもよろしいでしょうか、ルルナさん……



「答え、まだだったな」


 ?



「旅の途中で話し合った、ルルナさんの事だ」


 ……どうぞ。



「私は……賛成だ」

「らぶらぶ候補では無く、本命として、我が家に迎え入れたい」


 ……シュレディーケさんの覚悟は、受け止めます。


 でも、僕の覚悟は、まだ……なのです。


 今はまだ、シュレディーケさんひと筋で……



「らぶらぶに無理強いは厳禁、だな」

「今は、私の覚悟を心に留めておいてくれるだけで良い」


 ……寝ましょうか。



 このあと、無茶苦茶熟睡しました……



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