13 家族
帰りの旅も徒歩で、の予定。
つまり、きっちり完治するまでじっくり療養しなきゃ。
そんなこんなで数日過ぎて、
シュレディーケさんとフリエミスさん、
いつの間にやら、すっかりしっかり仲良しさんに。
「父上の嫁とか、歳下の母とか、そんな些細なことよりも女性として尊敬出来る人なのだ」
「幸せを願いたくもなろうというもの」
「ジオルシア家に嫁ぐことが幸せな道かどうかは、これからの私たち次第だが、な」
本当に、姉妹のように仲良しさんですよね。
もちろんシュレディーケさんがお姉さん、かな。
「ずっと可愛い妹が欲しかったのだ」
おめでとうございます、夢が叶いましたね。
「良き夫、可愛い妹、優しい母、今の私の何と幸せなことか」
えーと、おひとり足りませんよ。
「知らんっ、もう父と呼びたくは無いっ」
「とまでは言わないが、もっと反省してもらわねば困る」
頑張れ、マクレルガさん……
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マクレルガさんから詳しい経緯をうかがいました、その、こっそりと。
シュレディーケさんが旅立った後、城勤めを辞し、しばらく謹慎していたマクレルガさん。
やむを得ない事情で娘と離れざるを得なくなった独り身の父親、生きる気力を失った状態に。
そんな時、日増しに権勢を失っていく王家から暇を出されて路頭に迷う歳若い見習いメイドさんを預かる事となった。
天涯孤独で行く宛のないメイドさん、甲斐甲斐しくお世話してくれるのみならず、実の父のごとく慕ってくれる。
いつしか情も深まり、お互いを必要とし合うように。
いろいろと取り戻したような心持ちのマクレルガさん、
邸宅を道場として開放し、師範として若者たちと研鑽し合ううちに、すっかり元気を取り戻す。
ってか、以前よりも胆力がみなぎるような、要するに武芸者として現役バリバリに。
男としても現役バリバリになったので、まあ、なるようになっちゃった、と。
実の娘より歳若い娘さんとのふたり暮らしに、身体も気持ちも若返る一方。
まさに人生絶好調の時、突然シュレディーケさんから届いた頼りは結婚のお知らせ。
で、そのむやみやたらと有り余る元気を、僕にぶつけちゃったわけで。
えーと、何はともあれ、おめでとうございます。