12 祝い事
何とか動けるようになり、お庭でのお茶会に参加できる程度には回復しました。
師範のマクレルガさんがこんなんですし、道場の方はしばらくお休みなわけで。
どうやらお弟子さんたち、親娘水入らずになるよう、あらかじめ気を利かせてくれていた模様。
長い水入らずになっちゃったけど、ありがとうございます。
普段は鍛錬するお弟子さんたちでいっぱいの広いお庭で、
シュレディーケさんに付き添われた僕と、
メイドさんに付き添われたマクレルガさん、
仲良く、午後のお茶。
「美味いお茶だ」
シュレディーケさん、凄く嬉しそう。
メイドさんは、フリエミスさん。
シュレディーケさんが旅立ってしばらく後、このお屋敷に雇われて、ずっとマクレルガさんを支えて続けてくれていたそうです。
それって、もしかしたら……
「フリエミスさんには感謝しか無い」
「今まで父を支えていてくれて、ありがとう」
頬を赤らめるフリエミスさん。
やっぱり、ね。
たぶんシュレディーケさんは気付いてないだろうけどさ。
「実は、これからも生涯支え続けて欲しいという我が懇願に、フリエミスから了承を得たばかりだ」
えーとつまり、おめでとうございます、ですよね、マクレルガさん、フリエミスさん。
「父と呼んでくれぬのか、婿殿」
僕は、妻ではなくシュレディーケさんと呼んでいますので、
マクレルガさんも、こうお呼びしたいです。
「何がめでたいのだ?」
シュレディーケさん、きょとん顔。
本当にもう、鈍感さんにも程があるでしょ。
ぱたぱたぱた
あちゃあ、照れ顔のフリエミスさんが、逃げるようにと邸内へ。
確かに、お年頃の乙女には、この場の空気は不躾すぎたかも。
って、フリエミスさんて、おいくつなんだろ。
「ふたりとも、これからはフリエミスを家族として支えて欲しい」
「歳下の母ともなれば、ツァイシェルには何かと気苦労をかけるやもしれんが、フォリス殿とは同い歳でもあるし、少々人見知りなフリエミスも安心して相談事なども出来よう」
「母、だと……」
シュレディーケさん、見たことないような表情のまま、固まっちゃいました……
本当に、この先どうなるんだろ、ジオルシア家。