01 生活
『リヴァイス 66 静かな森の狩人のうつろううつろい』の続きで、
『若狩人(自称)』フォリスのお話しです。
お楽しみいただければ幸いです。
僕は、フォリス。
魔灸の森での狩人暮らし、日々の食卓は弓次第。
獲物が狩れずに干し肉をかじることもあったけど、
今日は良い狩りができました。
この辺りでは滅多に見かけない、ススケ鳥を狩れたのです。
とても臆病な鳥なので、ちょっとでも危険を感じると脱兎の如くダッシュで飛び去ります。
我ながら、矢よりも早く飛ぶ鳥に、よく当てられたなと。
ちょっとだけ、自慢しても良いですよね。
ススケ鳥のお肉は、幻にして極上の美味と噂されるほどの逸品、商店での買取価格も驚くほど高額。
普段は、魔物じゃない普通の動物は買い取りしてくれないギルドですら、コレを持ち込むと激レア魔物扱いで対応してくれます。
でも、どこにも売りません。
もちろん、シュレディーケさんへのおみやげですよ。
見た目はちょっと、いや、かなりアレな鳥なのですが、
じっくり炙ると、濃厚な旨みたっぷりの油が炭火に滴り落ちてきて、
その香りだけで硬パン3枚イケちゃうほど。
そしてもちろんお味の方も、こりゃたまらんってな感じの、まさにごちそう。
絶妙な弾力のお肉は、噛めば噛むほど旨みが溢れてくる、これぞ鳥肉の王。
調理がさほど難しくないところも、未だ料理修行中の僕たち夫婦には嬉しいポイントですね。
昔、父さんが狩ってきたススケ鳥はもっと大きかったけど、
残念ながら今日の獲物はちょっと小ぶり。
でも、それが良いのです。
シュレディーケさんとふたりで、仲良く分け合っちゃうのです。
「あーん」とかしちゃったりしてさ。
……タマランッ。
そんなこと考えてるうちに、
愛しの我が家に到着です。
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ふたりでいっしょに楽しくお料理。
調理中もパラダイスでしたが、
もちろん、食卓もパラダイス。
"ススケ鳥の炭火焼き ふんわり香草風味"、まことに美味しゅうございました。
美味しそうといえば、指についた油を美味しそうに舐め舐めしているシュレディーケさんの色っぽいことといったら……
そしてもちろん、食後の諸々もパラダイス。
つまりは、こんな感じの、幸せ新婚生活であります。