そめいよしの ライトグレーの キャンパスに
玄関を出ると、ちょうど桜の花と同じ視線の高さで、満開になりつつある桜の花と目が合った。
毎日こうしてすれ違っているが、日々開花が進む様は、普段忘れがちな四季を想起させる。
あいにくの曇天だけど、私にはこれぐらいの、ぼんやりとした春の方が好みかもしれない。
少なくとも雲一つない青空に、桜色のコントラストが「春ですよ!」と主張してくるようなのは、ちょっと遠慮したい。
なんて思うのは、私も年を取ったからなのかな。
一枚また一枚と重ね着が薄くなっていき、気がつけば寒さを怖れることもなくなってきた。
これからはむしろ、気温の低さを涼しさと捉えて求めるようになるのだろう。
その前に、ジメジメとした梅雨が来るのか……まあ、それはそれで、今から想像する分には楽しみだけど。
さて。
一月一日に気持ちを新たにしてから、早くも三分の一が過ぎたわけだ。
果たして私はこの期間で、何かを成しただろうか。
たった四ヶ月と捕らえることも出来るかもしれないが
ミクロな単位で成長のない者に、何かを成し遂げられるいつかが来ることはない。
何かを成そうと、もがき続けていただろうか。
成果は、そんな簡単に現れるものじゃないことは知っている。
分かっているつもりでいても、焦りは常に背後に控えている。
このまま何も残せずに人生を終えるのか。
それだけは嫌だと焦りながらジタバタと全身全霊をもがかせる。
四月一日を期の区切りとするのは、忘れがちだが日本の変わった風習だ。
季節の変わり目を転換期に据えるのは、理に適っていると個人的には思う。
元日から四ヶ月というこのタイミングも、気を引き締め直すのにちょうどいい。
さて諸君。
別に私は君たちに、頑張れなどと言うつもりはない。
普通に暮らせば、ありきたりな人生を歩むことぐらいは出来るだろう。
だけどもし、何かを成し遂げたいと思うのならば
目標を立てるのは、元旦にすでに終えたはず。
四ヶ月という時間をかけて、準備は十分にできたはず。
不安は常に目の前にある。
だけど今は、ぶつかって、あるいは乗り越えて、前に進むべきタイミングだと。
誰かに迷惑をかければ良い。
そんなのは他人なんだから。
それよりも私たちはまず、私たち自信が幸せになるための努力をするべきだ。
目先の利益を追って、衝動的な行動をしても良い。
あるいはその結果、後悔をしても良い。若い頃の後悔は、いつか笑い話に出来るから。
挑戦をしないことも良い。
挑戦したいけれども勇気が湧かない。そういう人は大勢いるし、私もそうだ。
いざ戦おうと視線を上げると、たちまち足が震え出す。
だからこそ、勇気を持って行動する人に憧れるし嫉妬する。
そうやって足を引っ張ることが「良いこと」などと言うつもりはな良けれど、それもまた、人間なのだからしょうがない。
要するに結論は「だからどうしろ」などと言う権利は私にはないということなのだけど。
まあ、この季節に環境が大きく変わる人も多いでしょうから、もはや蚊帳の外にいる作者から一言だけアドバイスを。
周りがどうだとか、ルールがどうだとか。
親だとか上司だとか教師だとか。
彼らは好き勝手に言うでしょう。
だけどそれらは所詮、彼らがそう言っているだけのことです。
あなたがどうするか。それだけは、あなた自身が選びましょう。
なんて、この言葉に従うのかも、それこそ私が決めることではないと思いますが。
無責任なことを言うけれど
まあ、頑張れる範囲で、全力を尽くせば良いんじゃないかな。