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人見知り最強魔女は仲良くしたい  作者: Guen
3章『新たな家族』
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59話『別の製薬法発見した』

 畑を少し拡張して大元となる水薬の薬草に加えて、2種類の耐性ポーションに使う薬草もそれぞれ持って帰ってきて植えたのだが、水薬の薬草と同じく植えた翌朝には採取できるほどに葉が育っていた。


「こっちもかぁ……」


 と呟いて薬草畑の前でしゃがみ込み、葉に触れて状態を確認するが問題はなさそうだった。


「むしろ、森にあるやつより生き生きしてる気すらする……」


「それはそれでいいのでは?」


「まぁそうなんだけどさ……それじゃあ、今日はこれを使って耐性ポーション作ってみようか」


「かしこまりました。また私とお兄様で抽出します?」


「その方が早く作れるかもしれないし、折角だからお願いね」


「ゴォ!」


 そう言うと使えそうな葉を数枚採取して製薬室へと向かう。


 水薬の方は前回ので問題ないと分かっているが、今回は少し方法が変わってくる。


「さて。水薬の方は元々煮出すものを抽出してもらったんだけど、今回のこの2つは乾燥させたものを砕いて混ぜて使うものなんだよね」


「ということは水分を抜いて粉砕すればいいのですか?」


「そうだけど、一応抽出した液体の方も使ってみようか。乾燥させてから混ぜて使うやつだから、水分の方はあまり期待できないけど……ゴウは水薬用の方の抽出おねがい」


「ゴォ」


 そう言うと2人はそれぞれの薬草を取り込み抽出し始めたので、その間に手早く機材の準備をする。


「ゴォ!」


 ゴウがコップの形に変形させた手を差し出してくるので、その中の液体を耐熱瓶へと移す。


「こちらもできました」


 マーシャが手元においてあった瓶に抽出した液体、もう片方の手に水分を抜いた薬草を出してくれた。


「そのまま粉砕してこの中に入れてくれる? あと液体の方はこっちに」


「かしこまりました」


 言われたとおりにそれぞれの器に投入し終わると、片方を火にかけて通常通りの作り方をする。

 液体を入れた方は火にかけず魔力を込めながらクルクルと混ぜていく。


「これくらいかなぁ」


 通常通りの製薬方法の方が濾したあと冷ます段階に来たので、クルクルと混ぜていた手を止めて火にかけていた耐熱瓶の中身を移す。

 移した瓶を片手で氷魔法を弱めに使って冷ましつつ、液体の方で作っていた方を確認する。


「んー。んー? 見た目は問題なさそう……」


 色や匂いは今冷ましている物と同じにできていたため、服用して確認することにした。


「……ん」


「どうですか?」


「うん……問題なく恐怖耐性ポーションになってるね」


「それは良かったです」


「抽出した液体の方でもできたのかぁ……まぁ同じ効能でも作り方は色々あるけどさ……いや、そもそもあのレベルの抽出すること自体が難易度高い? マーシャたちはマッドゴーレムだから簡単に出来てるだけで、魔法でやろうとすると余計な魔力やら水分やらが混ざるだろうし……」


「ゴオ」


 などと考えていると、冷ましていた瓶が結露するほどに冷えていた。


「あぶな……ゴウに言われなきゃ凍らせるところだった」


 冷ました方も少量服用してみるが、こちらのほうも問題なく出来たようだった。


「つまり、今までの倍近い量が作れるのに、手間は3割増しくらい……乾燥させたものはしばらく持つから、急に必要になったときには抽出した液体でパパっと作れるようになったかな……」


「採取する量が少なくてすみますね」


「今のあの小さい畑だけで賄えそう……大成功だね」


「よかったです」


「ゴォ!」


「次は緊張耐性ポーションの方も試してみようか」


 新しく別の容器を準備して再び製薬作業を始めた。




 お昼ごはんを食べてお茶を飲みながら、午前中に作っていたポーションが入っている瓶を眺める。


 結果は緊張耐性ポーションの方も同じ手順で精薬可能ということが分かった。


「作れる量が増えるのは勿論だけど、なにより急に必要になったときに液体の方だけでパパっと作れるのが一番ありがたいかなぁ」


 そうつぶやきながらお茶を一口のみ、ゴウとマーシャを眺める。


 マーシャは食器の片付けが終わったあと、いつでもお茶のおかわりを入れられるように台所の入口に待機していて、ゴウは相変わらず卵に興味を示し、優しく触っていた。


 ――マーシャにはあの卵の親の魔石を使ってるけど、特に何も感じないのかな? まぁ魔石だけだし、それでも不思議ではないけども。あ、マーシャで思い出した。ちょっと本棚を確認するか……


 今までも暇なときに少しづつ読んではいたが、マーシャの言うような本に当たったためしがない。


 というのも研究ノートを含めて相当な数があるから不思議ではないのだが。


 席を立ち、本棚からまだ確認していない本を3冊ほど手にとって戻ると、マーシャがお茶のおかわりを入れてくれていたので、「ありがと」といって席に座る。


 ――せめて表紙か、欲を言えば背表紙に内容がわかるものを書いていてくれればなぁ……まぁ私だもんな……一応まとめはするけど、そうそう読み返さないしその手間の分、別の事をするよね。


 1冊目の本をめくってみると、ここから結構離れている地域のモンスター情報みたいだったので、今は必要ないと次に移る。


 別にマーシャが詠んだであろう本を探し当てるつもりではないのだが、すぐに必要にはならないような本は流石に後回しである。


 2冊目の本は製薬に関するノートのようだった。


「お。これはなにか役に立つこと書いてあるかなぁ」


 1ページ1ページしっかりと隅々まで目を通して読み進めていく。


 ――んー。このあたりの知識は覚えてるなぁ。まぁ私はメインは戦闘だし、製薬知識の内容も少ないからなんだろうけど。現に耐性ポーションの別の作り方を発見したしね……


 ぺらぺらと読み進めていくと、耐性ポーションのページがあった。


 書いてあることは今まで私が製薬していた方法だったため、次のページに移ろうとしたとき、隅のほうに小さくメモらしき走り書きが目に留まった。


「んっと、『拠点周りより山のほうで採取したものの方が効果が長続きした』かぁ。なるほどなるほど……」


 ――まだこの家の周りでしかまともに採取してなかったもんなぁ。確かにあの山まで行けばまた別の薬草とかも多そうだ。


「採ってきましょうか?」


 いつの間にか近くに来て一緒に本をのぞき込んでいたマーシャがそう提案してくる。


「うーん。そうだねぇ……」


 とワイバーンと戦った山のことを思い出して考える。


 ――まだあんまりマーシャには戦闘訓練してないけど硬質化はしっかり使えるし、【ファイヤ】とかいつの間にか魔法も放つようになってるし麓くらいまでなら平気かな? 1人で行動することにも慣れてほしいしね。


「それじゃあ、お願いしようかな。多分見た目は同じ薬草だからわかるだろうし。ただ危ないと思ったら全力で逃げてきてね? 戻ってきたときに手ぶらでも怒らないから。傷だらけになってたら怒るけど」


「かしこまりました。私もこの服を傷つけたくありませんので、危険を感じたら即撤退いたします」


 ――その服に対する愛着がすごいな……


「1人で大丈夫? ゴウもつれていく?」


 ゴウには戦闘訓練をしていたため、一緒に行動してくれるならそのほうが安心できるため提案してみる。


「いえ、私1人で大丈夫です。お兄様は卵のお世話に忙しいようですし」


 マーシャと一緒にゴウに視線を移すと、こちらに気づいた様子もなく優しく卵をなでていた。


 ――あれはお世話というのだろうか……まぁマーシャが1人で行くというなら任せてみてもいいかな。


「そうだね。それじゃあお願いね。見つからなくても日暮れくらいには帰ってきてほしいかな」


「かしこまりました。それでは準備して行ってまいります」


 そういうと採取に行く道具を取りに部屋から出て行った。

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