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人見知り最強魔女は仲良くしたい  作者: Guen
3章『新たな家族』
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53話『完成!』

本日2話目&新章です!

 木造の広めの部屋に、壁掛けのランプによって2つの人影が映し出される。


 1つはただ立っているだけのようだが、もう1つの小柄な影は立っている人の太ももをペタペタ触り、お腹を触り、胸を触りと好き放題していた。


 触られている人物は秘部が見えないように布は巻いてはいるようだが、裸同然の格好だった。


 そんな格好で触られ続けているにも関わらず、微動だにせずただただされるがままに立っていた。


 あちこち触り終わって満足したのか、小柄な人影が伸びをして頷く。


「よっし! これで完成かな!」


「ゴオー!」


 小柄な人影、ミリーのそばで待機していたゴウが、パチパチと両手を叩いてくれる。


 ――いやぁ2日はかかったかなぁ。集中し過ぎて時間感覚がおかしいけど……下半身を作り切って乗り切ったと思ったら、胸を作るときのほうが恥ずかしかったな……そりゃ自分の下半身より胸のほうが視界に入ることは多いもんね……そのうえ、あんな形状に指先で作るとか……もう……ほんと恥ずかしかった……でも細部まで正確にって決めてたし、やりきった! 偉い私!


 拳をグッと握ったあと、ふと自分の胸をペタペタと触る。


「今は子供だから仕方ないんだけど、成長したら大きくなるかな……? ミリアリアっていう成長後が確定してるようなものだから、リルあたりに聞いてみようかなぁ……まぁ小さくても別にいいんだけどね」


 独り言を言いながら作ったヒト型のゴーレムに向き直る。

 胸は魔石を2つ埋め込まないといけないため小さくはないが、大きいわけではない。

 というのも身長が160センチに満たない程度のサイズなので、アンバランスにならないようにと考えた結果だった。


 ――動くときの邪魔になっても困るもんね。この子がどういう動きをするのか楽しみだなぁ。せっかくのヒト型なんだから、ゴウのように形状変化は多用しないように教えるつもりだし。


 じいっと新しいゴーレムの素体を眺めているゴウを軽く撫でて、再度気になる箇所がないかの確認をする。


 髪は金髪で、肌となる本体部分は素材の関係で白いとは言えないが、一般的に見てほんの少し焼けているくらいの健康的な色合いになっている。

 瞳は右目が赤で左目が青のオッドアイという珍しい組み合わせになっているが、顔立ちが可愛いよりの美人に仕上がっているので、そこまで悪目立ちはしないだろう。


 ――あんまり子供っぽい顔つきだと、1人で行動させたときに不審がられるかもしれないしね。この子にはそのうち町への買い出しを頼むだろうし。私が行ければ一番いいんだけど、まだまだ先だろうし、それまでリルやカーウィンさんのお世話になるのも悪いしね……


 若干落ち込みそうになった気持ちを切り替えるために、最終チェックをして動力となる魔石を入れることにする。


「顔つき、オッケーカワイイ! 髪、オッケー、肩甲骨くらいまでで長すぎないから邪魔にならないね! 腕、オッケー、ちょっとフニフニし過ぎかもしれないけど、女の子だし問題ないね! 足もオッケー! 細すぎず太すぎない! 腰とお腹オッケー! いい感じにくびれも出来てるからここでも子供っぽさが減ってると思いたい! ……そして……」


 勢いでチェックしていたが、布の下を最終確認するための勢いづけだったため、止まることなく胸と腰の布をめくる。


「む、胸ぇオゥケー。大きすぎずいいサイズ……し、下もオッケー……こんなところ誰が見るのかわからないけど凝り性だから仕方ないぃ……流石に毛まではないけど……子供っぽさもあるし平気だよね……いやいやいや! こんなところ見られること自体普通ないよっ! 平気平気オッケー!!」


 スパンっとめくった布地を戻しつつ、顔を赤くしながらチェックを終える。


 魔石を入れるために胸の布は取り払ったが、せっかく恥ずかしがりながらも作ったものが崩れないように背中側から埋めるようにした。


「まずは1つ目のお父さんだった方の魔石を右胸に……」


 こちらには学習機能や行動系をメインに刻印している。


「そして左胸にお母さんだった魔石を埋め込んで魔力を補充」


 左胸には主に魔力タンクとしての機能の刻印と、場所が足りなかった刻印を少し刻んである。

 結局目に使った魔石が壊れても問題ないが、胸の魔石はどっちが破損しても機能停止してしまう。

 念入りに保護魔法と硬貨魔法が発動するようになっているので、早々傷つくことはないと思う。


 ある程度補充したところで、魔石を露出させていた背中側が徐々に元のヒト型に戻っていく。


 ふと見上げるとキョロキョロとあたりを見渡しているようだったが、後ろに私がいるのに気が付いて向き直してくれる。


「おはようござい――」

「まずはこれで隠してっ!!」


 と胸部分を隠していた布を目の前に突き出して、どこを隠すのかを指示する。


 ――うわぁぁ……動いて声も出してる状態で見ると恥ずかしさが増すなぁ……


「改めまして、おはようございますマスター」


「う、うん、おはよう。ちゃんと会話もできそうだね?」


「はい、恐らく問題はないかと思います。情報と照合しますと今は夜ですので、おはようではありませんでしたね。失礼しましたマスター」


「あなたは生まれて起きたばかりなんだから、おはようでもいいんだよ。それとマスターはやめてほしいかなぁ……」


 ――ゴーレムだし、たしかにマスターで合ってるのかもしれないけれど、会話できるヒト型のゴーレムなんて知らないし、私より年上に見えるように作った娘から、そう呼ばれるのはなんか違和感が……


「では……ご主人様、お嬢様あたりでしょうか?」


「うぅーん……普通にミリーでいいんだけどなぁ……」


「それではミリー様、もしくはお嬢様とお呼びいたします」


「まぁマスターやご主人様よりはましかな……あ、そうだ。あなたの名前はマーシャね」


「マーシャ……了解しました。名付けてくださり、ありがとうございます」


 そういうと深々と礼をしてきた。


「それと、この子はあなたの兄ゴーレムのゴウだよ。仲良くしてね」


 私の後ろで様子を見ていたゴウを少し前に出して紹介する。

 ゴウはリルやカーウィンさんから他のヒトに対する接し方を学んできているので、いつも通り元気よく返事するかと思いきや、若干戸惑っているようだった。


「お兄様ですね。よろしくお願いします」


「ゴ、ゴウ」


 マーシャが差し出した右手に、ゆっくりと手を伸ばして握手は出来たみたいだ。


「どうしたのゴウ、嫌だった?」


「ゴ、ゴオゴォ!」


 ブンブンと首を横に振り、何やら弁解しようとしているようだ。


「同族の仲間は初めてなので戸惑っているようです」


「なるほど……ってやっぱりゴウの言いたいことわかる?」


「えぇ、もちろんわかります」


 ――まぁゴウの場合ジェスチャーが上手いから、身振り手振りで伝えようとしてる内容は、私でもある程度わかるくらいだもんね。


「ゴ、ゴオ!」


 今度はいつもの調子に戻ったような声色で再度握手を求める。


「はい。これからよろしくお願いします、お兄様」


 マーシャもそれにちゃんとこたえているので心配はないだろう。

 強いて言うなら、ちゃんと喋れはするが表情が変わらないという点が気がかりだった。


 ――まぁゴウも最初は戦闘とか手伝いも出来なかったし、同じように教えていけばいいかな。


 などと考えつつ改めてマーシャを見ると、秘部だけなんとか隠しただけという、あられもない姿のままだったことを思い出す。


「まずは服! マーシャの服をどうにかしよう! ミリアリアの頃のだと少し大きいかなぁ……いや、そこまでサイズ差はないかな……マーシャなら別に違和感は無い?」


 ゴソゴソと今の自分用に改造していない衣類を衣装棚から探す。


 ――前々から思ってたけど……ワンピース系の服しかないなこの家……長めの靴下とかもあったけど、私にはブカブカでずり落ちちゃうし……マーシャなら平気かな? となると、この短めのワンピースと、これ袖も短いから薄手の上着とー。これでなんとかなるか。


 それらを持ってマーシャに着てもらう。下着もミリアリアの頃のを少しきつく縛って付けてもらおうとしたが、上の下着は多少きつそうだった。


「上の下着……ミリアリアの頃のやつでマーシャにちょっときつそうってことは……将来望み薄かなぁ。別にいいんだけど……リルに聞くまでもなかったね」


 着替えているマーシャの隣で再びペタペタと自分の胸をさわっているところを、2人は不思議そうな目で見ていた。

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